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フェンダー・ジャズベースの選び方/各年代毎のモデル

フェンダー・ジャズベース

エレキベースといえば、フェンダーのジャズベースを真っ先に思い浮かべるという方が圧倒的に多いのではないでしょうか?1960年に登場してからすでに50年以上が経過した現代においても多くのベーシストに愛用され続ける、文字通りエレキベースの定番であり、王道であると言えるでしょう。同時期からリッケンバッカーやギブソンなどがさまざまなスタイルのエレキベースを世に送り出していますが、ジャズベースの支持率は圧倒的なものです。

エレクトリックベースの完成型

プレイヤーが求める総てが凝縮されたジャズベースは、瞬く間に世界中に広がっていきました。ジャズベースの誕生が、音楽史の新たな道しるべを創ったといっても過言ではないでしょう。ジャズベースという名前とは裏腹にロック、ソウル、ブルース等のあらゆる音楽に見事にフィット。正にエレクトリックベースの完成系として世界中のプレイヤーに今尚、最高のベースという不動の地位と共に愛され続け、求められ続けているのです。

ベースプレイヤーは口を揃えて言います。

「フェンダーのジャズベースが一本あればどの現場でも事足りる」

と…

どうしてフェンダー・ジャズベースはこれほどまでに多くのベーシストに愛され続けているのでしょう?

その秘密を基本スペックや歴史と共に追ってみましょう。

ジャズベースの基本スペック

ジャズベースの基本スペックは1960年代の前半にほぼ完成していました。先に登場していたプレシジョンベースをより改良したことによって、より弾きやすく、幅広いサウンドを出力することが可能になったと言われています。プレシジョンベースが単に「大きな音でベースという楽器を鳴らす」という目的で設計されたのに対して、ジャズベースの場合は「より楽器としての可能性を追求する」という目的で設計されています。
もちろん、プレシジョンベースならではの中低域に膨らみのあるサウンドはとても魅力的なものですが、広いレンジ、そしてサウンドメイクのバリエーション、という点では圧倒的にジャズベースの方が有利であると言えます。この時点で、ジャズベースはエレキベースという楽器の1つに完成形を作り上げることに成功したのです。

特徴

ジャズベースのピックアップ

ジャズベースの一番の特徴は、ピックアップがフロント(ネック側)とリア(ブリッジ側)に2機搭載されている点です。シングルコイル(スプリットコイル)・ピックアップ2機搭載という全く新しい概念を採用し、フロント側とリア側のピックアップ同士が起動する事でプレシジョンベースで悩みの種だったノイズを発生させないという、当時としては画期的なサウンドを得ることができたのです。また各々のピックアップの音量、トーンを独自に調整する事でサウンド作りの幅が大幅に広がりました。

そしてもう一つの大きな特徴は、プレイアビリティ向上の為、細いネック幅が採用された事にあります。これにより、よりスムーズに多彩なフレーズを演奏する事が可能となり、ベースという楽器が「ギターの低音部分を支える」という役割から「楽曲の低音部分を彩る」という役割へと進化していく事となるのです。

音色

サウンド面では、フロント側で弦の振幅の大きい膨よかな低音を拾い、リア側でブリッジに程近い堅いくっきりとした音を抽出します。その正反対の2つの音が混ざる事で、コシのある中低域、柔軟な高音域、倍音成分が非常に豊かな伸びのあるサウンドになります。それはまるでピアノの鍵盤を弾いた時の低音と高音の全てがそこにあるような、唯一無二のサウンドです。

木材

誕生当初はアルダーが使用されていました。ボディの形状もジャズマスターの影響を受け、左右非対称になっています。初めからコンター加工が施されており、カッタウェイ加工も入り、プレイヤーの体にフィットする形が完成していたのです。

ネックはメイプルワンピースネック。指板にはローズウッドが採用されました。60年代初期には希少なハカランダが搭載されたものもあります。
1966年以降、指板にもメイプルが使用されたモデルが登場します。

時代によって変わり続けるジャズベース

ジャズベースは1960年に誕生してから基本的なシェイプは変更されていません。しかし時代の流れに合わせてさまざまなスペックチェンジが行われてきました。フェンダー・ジャズベースの魅力を知るにまず、それぞれの時代のジャズベースの魅力について考えてみましょう。

1960年〜1962年

Jazz_Bass_1960_9b
1960年ジャズベース

初期ジャズベースはコントロール部が同軸のスタックノブ(上内部がボリューム、下外部がトーン)が採用されており、各ピックアップが独立してボリュームとトーンのコントロールが可能でした。
エレクトリック特有のサステインが従来のコントラバスのサウンドとは掛け離れている事が悩みの種だったフェンダー社は標準装備として各弦に独立したミュートシステムを採用。弦の振幅を遮る事で古めかしいガット弦のサウンドに近づけようとしていました。

1962年

所謂ジャズベース黄金期。
この時から2ボリューム&マスタートーンの3ノブ仕様が採用され、サウンドメイクもよりシンプルに、よりまとまりのある音色を出せる様になりました。
ネックに対し指板を平貼りしたスラブ貼りが終了し、木材の使用量を減らせるラウンド貼りに変更される前の最後の年でした。

1963年以降

Jazz Bass 1963 Sonic Blue
1963 Sonic Blue

フェンダーエレクトリックの代表的な色「3トーンサンバースト」から、様々なカラーバリエーションが登場し、60年代のアメリカ経済を象徴する華やかなカラーが多数生産されていきます。ピックガードもべっ甲だけで無く、ホワイトミントカラーやセルロイド等も取り入れられていくようになります。

現在ではオリジナルカラー/オリジナルパーツを残している個体数が非常に少ない為、塗料の残り具合・ネジ一つの変更等で楽器の相場が倍近く変動するという事も多く、その微妙な違いがマニアコレクターの心を揺さぶるのです。

1965年

創始者レオ・フェンダーとそのグループはCBSに会社を売却。大量生産が始まります。
木材を効率的に利用する為の様々な変更が施された。それでも高品質の楽器を創り続けるという信念を持ち続け、熱心なコレクターの支持を手放す事なく会社は成長していくのです。

1960年代後半〜

Fender Jazz Bass USA año 2012 American Standard FSR Ash Satin Walnut
Ash材の American Standard Jazz Bass

1960年代後期にはプレシジョンベース同様、ジャズベースにも様々な変更が施されました。ポジションマーク、ブロックポジション、ネックジョイント(固定)の方法のほか、この頃から木材にアッシュ材が使われるようになりました(稀にポプラ材が使用される事もあった様です)。

60年代前半のモデルが非常に人気が高いことから、後半のモデルについては評価が低くなってしまいがちですが、Rのゆるい指板は近代的なテクニカルなプレイをする上では非常に大きなアドバンテージとなります。また、大型ポジションマークも暗いステージであっても視認性が高く、見た目も個性的でゴージャスなことから、このスタイルを好むプレイヤーも少なくありません。

1970年代後半〜

Fender_JB_1980_CapriOrange_3
1980 CapriOrange

音楽の多様化、デジタル化が進み、楽器も様々な用途に対応出来るように進化していきます。アクティブ回路を搭載したモデルや5弦仕様(60年代にも作られた事があったが使える代物ではなかった)、ピックアップの方式を直列から並列に切り替える事が可能となったりと、サウンドバリエーションは更に豊かになっていきました。それまでボディ材には基本的にアルダーが採用されていましたが、徐々にアッシュ材が使用されるようになります。より硬質なサウンド特性を持つアッシュをボディ材に使用することよって、ジャズベースはさらに抜けの良いサウンドを手に入れました。

また、ネックジョイントもそれまで採用されていた4点止めから3点止めに変更され、その代わりに自由にネック角度を調整することが可能となりました。これによって組み立て時のネック加工の手間を省き、生産効率を上げると同時に、プレイヤー自身がより好みに近いセッティングに仕上げることが可能となりました。この年代のジャズベースはその抜けの良いサウンドからハードロック系ベーシストだけでなく、スラップを多用するスタイルのプレイヤーからも強い支持を受け続けています。

1980年代以降

ハードロックブームが落ち着きを見せる80年代に入ると、再びオールドスクールなロックンロールが再注目を集めるようにあります。それに合わせるように、ジャズベースも原点回帰を果たしました。

60年代後半から70年代のジャズベースの象徴的なスペックであるブロックポジションマークや3点止めネックジョイントは廃され、60年代前半のスペックに倣ったモデルが主流となりました。しかし、それと同時によりモダンなスペックのジャズベースも登場し、人気を集めるようになります。テクニカルなプレイに対応することのできるよりフラットで細身なネックや、アクティブイコライザーを採用したモデル、さらには5弦仕様のモデルなども発表されています。


基本的なボディシェイプは変更されていないことから、一見するとジャズベースはまったく変わっていないないように感じられる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、時代と共に変化しながら、ジャズベースは音楽の歴史を作り続けて来たのです。

それぞれの年代のジャズベースを愛用するプレイヤーたち

それでは、時代によって変わり続けるジャズベースを愛用するプレイヤーたちをご紹介しましょう。

jaco pastorius


ジャズベのみならず、エレキベースのプレイヤーとして伝説的な人物です。その革新的な演奏で、ソロ楽器としてのエレキベースの地位を確立させました。「bass of doom」と名づけらた60年代のジャズベを自らの手でフレットレスに改造し、愛用していました。
ジャコ・パストリアス

john paul jones


led zeppelinのベーシスト。ツェッペリン以外にも多数のセッション活動も行っています。61年製のジャズベを愛用しています。
ジョン・ポール・ジョーンズ

フリー


ロックバンドの中で人気の高いベーシストといえば、レッドホットチリペッパーズのフリーの名を挙げる方も多いのではないでしょうか?フリーと言えば、初期から中期にかけて使用していたミュージックマン・スティングレイ・ベースや、モデュラスのシグネイチャーモデルをイメージされる方が多いかもしれません。しかし、1999年にリリースされたアルバム「カリフォリニケイション」以降はレコーディング、ライヴともに60年代前半のヴィンテージ・ジャズベースを使用する機会が多くなってきています。
フリー(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)

亀田誠治


ベーシストとしてはもちろんのこと、椎名林檎など多くのアーティストを手がけるプロデューサーとしても有名ですね。そのキャリアのほとんどでプレイしているのが1966年製のジャズベースです。ジャズベースならではの幅広いサウンドを聞かせてくれます。

マーカス・ミラー


1970年代のジャズベースといえばマーカス・ミラーを思い浮かべる方が多いでしょう。そのテクニカルで独創的なプレイスタイルは非常に多くのベーシストに大きな影響を与え続けています。大きな改造を施された愛用のジャズベースはモダンスタイルのジャズベースの基本になったとも言われています。
マーカス・ミラー


年代によって変化し続けてきたジャズベースですが、それぞれのモデルが個性的で非常に素晴らしい楽器に仕上がっています。あなたのお気に入りのモデルはどの時代のものでしょうか?

ジャズベースの選び方

ここまでジャズベースの基本スペックと各年代毎のモデルの特徴について紹介していきました。自分もジャズベースが欲しい!そう思った時にどんな選択があるのでしょうか?「ジャズベース」と正式に名乗ることができるのは、ジャズベースを作ったフェンダー社のモデルのみとなっています。フェンダー社の中でもいくつかのラインナップが存在し、それぞれ価格帯の異なるグレードのモデルが用意されています。

  • フェンダーカスタムショップのジャズベース:カスタムオーダーメイドができる、ジャズベースの最高峰
  • フェンダーUSAジャズベース:アメリカ・コロナ工場/メキシコ工場で生産される、本家ジャズベース
  • フェンダージャパン・ジャズベース:日本の工場で生産されるジャパン・エクスクルーシブ・シリーズ
  • Squier by Fenderのジャズベース:フェンダーの廉価版ブランドによるジャズベース入門機種

また、ジャズベースはエレクトリックベースのスタンダードであるため、他社からもジャズベースに倣った所謂「ジャズベース・タイプ」が数多くリリースされています。
ジャズベースタイプのベース特集