初めてのベースに愛着はあれど、違う感触のベースも弾いてみたい。そんな気持ちになってきたら、そろそろ2本目を考えるタイミングです。そんなわけで今回は、初めてのベースを弾いてきた人が「2本目に何を選んだら良いのか」を考えていきましょう。
グレードとしてはだいたい7万円以上、高いにしても10万円台までのものが現実的な選択肢となるでしょう。これくらいのグレードだと、各ブランドの特色がしっかり反映されてきます。またこの価格帯から、品質で世界的に支持される日本製のベースが狙えます。こうしたベースは上達してきたベーシストの要求に応じるだけのポテンシャルが充分にありますから、ライブや録音、動画撮影などの現場で愛用する「自分のトレードマーク」として長く付き合っていくことができます。
Yamaha BB Series Demo | BB734A
数々の独自構造を盛り込んで到達した、現代の「YAMAHAの音」。グレードの高い楽器には、品質や性能だけでなくメーカーのアイデンティティも反映されます。
ベースにもベーシストにもいろいろありますから、「ベストチョイス」を目指すと言ってもさまざまな選択肢があります。結局は「気に入ったものを選べばよい」のですが、「買ってみたけど気に入らなかった」みたいな哀しい事態だけは避けたいですね。では、ベース選びで後悔しないために、いろいろなことを考えてみましょう。
1本目と2本目ではベースの選び方が根本的に異なります。1本目のベースは深い愛情を注ぎつつも、ベースのことをあまり知らない段階で選ばれるでしょう。一方で2本目のベースは、やりたい音楽や出したい音のイメージ、弾き心地など、理想のベース像のある段階で選ばれます。
2本目のベースを生涯にわたって愛用する人もいるでしょう。それだけに、長期間の使用に耐えるしっかりした作り、長く愛用できる良い音を持ったベースが必要になるのです。
これから長く付き合っていくベースは、これから出会うであろういろいろなジャンルで使用できる、すなわち「汎用性」を持っていると有利です。ほかの音楽ができる「可能性を持っている」と言い換えてもいいでしょう。
今のところ一般的に、汎用性を持っているのは
だと考えられています。ジャズベやプレベに類する定番機種は、これまでさまざまなジャンルで使われた実績があります。そしてプリアンプが搭載されれば、サウンドバリエーションは大幅に拡充できます。
ベースはツマミの操作やアンプ、エフェクターでいろいろな音を作ることができます。しかし、「ベース本体の音」に注目し、やりたい音楽や出したい音のイメージに近いベースを選んだほうが近道です。ここではサウンドに大きく影響を与える3つの要素に注目してみましょう。
ベースのピックアップ配列は主に
の4つです。
2本目で違うものを検討するか、同じものでいくか。
あるいは1本目がパッシブだったら2本目はアクティブにするか、引き続きパッシブを選ぶか。
こうしたところを検討してみてください。
https://youtu.be/C7AxSC5vLyk
Abraham Laboriel, Sr. & Yamaha TRBX performance
ファンク・ベースの巨人、エイブラハム・ラボリエル氏。服装はいつも真っ白です。こうしたツブの細かい、またキレの良い演奏では、アクティブ回路が重宝します。
これは実際に弾いてこそわかる、逆に動画などの音を聞くだけではなかなかわかりにくいポイントです。トーンやボリューム、プリアンプといった「操作系」は、ツマミを回した時の変化がベースによっていろいろです。特にパッシブならばトーン、アクティブならばイコライザーの効き方が、弾き手の意向とマッチするかどうか。アンプとベースで欲しい音が作れるのか、しっかりチェックしてみてください。
弾きやすさも良い音のためには重要なポイントです。標準的なベースの弦長は「34インチ」ですが、ボディサイズと形状はモデル毎にさまざまです。トラッドなベースのボディを標準とするならば、現代的なベースのボディはやや小さめ。「コンパクトなボディは軽量で、取り回しが良く演奏性が高い」というのが一般的な意見です。しかし「デカくて重い方が良い」という意見もあり、ここはベーシストがこだわるポイントです。
弾き心地はボディ形状、ネック形状、弦高などに加え、ピッキングした時に手から伝わってくる感触もポイントです。これについては1本目のベースが比較対象になりますから、あらためて自分のベースはどんな感触だったのか、チェックしておくと良いでしょう。
1本目がプレベなら2本目はジャズべかPJ、パッシブなら次はアクティブ、という具合に、1本目と違うタイプのベースを選ぶと、場面に応じて1本目と使い分けができますね。また、ベースそのものについて深く理解することができるでしょう。
BB735A
そういう意味では、5弦ベースも有力な候補に挙がってきます。1本目のベースとしては、最もオーソドックスな「フレッテッドの4弦」がオススメでした。ですが2本目となると、5弦ベースに挑戦してもいいでしょう。本体が重い、不要弦のミュートが大変、弦が高いといった注意点を甘受して余りある「ローB弦の魅力」に取りつかれてしまうかもしれません。
Yamaha BB Series Demo | BB735A
意外や「5弦PJ配列のアクティブ」という仕様はなかなか珍しく、現実的な価格帯ではこの「BB735A」の独壇場と言っていいでしょう。アクティブのクッキリとしたサウンドもパッシブの柔らかいサウンドも出せて、二つのピックアップが使えてプレべの音も出せる、しかも5弦。これを万能と言わずして何と言おう。
では、「グレードは高くても現実的な価格帯」「汎用性がある」「5弦もアリ」という基準で厳選した、2本目にオススメのベースを見ていきましょう。これくらいの価格帯になるとブランドによっては日本製も手に入れられます。
BB434
BB434M
YAMAHAの定番「BB」の「400」シリーズは、王道のパッシブベースを独自構造で強化し、かつ求めやすい価格帯に収めたベースです。1本目にふさわしいベースとして紹介したこともあるモデルですが、これから長く付き合っていく2本目としても、余りある性能を持っています。
上位モデルにも採用されている「メイプル+マホガニー5層ネック」、「マイター・ボルティング」、「コンバーチブルタイプ・ブリッジ」といった本体の構造は、ネックとボディを一体化させ、また弦振動のエネルギーロスを軽減することで強烈な「鳴り」を生み出します。
従来のモデルより小型軽量化したボディは抱えやすく、またボディが軽くなったぶんペグを軽量化することでヘッド重量も抑えられています。楽器本体の重量バランスが適正に取られることで、長時間のライブでも疲れにくいのがメリットです。ネックグリップは従来品より薄い形状が採用されており、シンプルなルート弾きにも動きの多いテクニカルなプレイにも適しています。
また、メイプル+マホガニーの5層ネックで、良いサウンドと、多層構造による頑丈さを合わせもっているのもポイントです。
BB435
開発に遊び心やチャレンジ精神が反映されているのも、「400」シリーズの特徴です。ポップで個性的なカラーリング「ティールブルー」は日本名で「鴨の羽色」と言い、万葉集での使用例が2首あるほか昔から着物にも使われてきた、実は日本的なカラーリングです。
また5弦モデル「BB435」ではLo-B弦のサドル位置を下げて重低音を美しく響かせる「オフセット設計」が採用され、4弦にはメイプル指板モデル「BB434M」があり、このシリーズにしかない個性を演出しています。
4弦モデル「BB734A」
5弦モデル「BB735A」
YAMAHAは、誰よりも「音」を追求して積み上げた独自技術や特殊な工法を武器に、外見だけでなく中身でも主張するベースで存在感を発揮しています。「BB」シリーズは、1977年のデビューから40年以上の歴史を誇るYAMAHAの代表機種です。その上位機種となる「700」シリーズは、最上位機種「Pro」シリーズ同様の本体設計、同じピックアップを備え、アクティブ化させたハイスペックモデルです。
MY FIRST STORYのNobさんもご愛用のようですね。
BB「700」シリーズは、ベースの伝統をリスペクトしながらも、独自の構造によって「弦振動の伝達効率」を大きく向上させ、パワフルさとクリアな輪郭を併せ持ったサウンドを実現しています。
3プライボディ構造:メイプル板の表裏をアルダー材で挟む、という3層構造。
マイター・ボルティング:ボルトオン・ジョイントに加え、45度の角度で2本のネジを追加。
高性能ブリッジ:ブリッジで弦を固定する「トップロード」と、45度の角度でボディを貫通させる「裏通し」の両方が選べる。
「3プライボディ構造」と「マイター・ボルティング」は、弦振動を余すことなくキャッチして本体を行きわたらせ、豊かな「鳴り」を作ります。「45度の裏通し」は弦にストレスをかけず、理想的な弦振動を生み出します。ブリッジはブラス製サドルで深みのある低音域を、スチール製ブリッジベースで輝きのある高音域を立たせています。
しかもこのサドル、オリジナル形状になっていて、向きを変えることで弦のあたる接点の違いでも音色を変化させることが出来るのです。ネジとスプリングはステンレス製で、耐久性も充分です。音質と振動伝達を追求したこのような構造は、他にはないYAMAHAのオリジナルです。
700シリーズはしっかり鳴るこの本体に、
こうしたスペックが乗ることで、音が良く、弾きやすくて頑丈なベースに仕上がっています。
また、アクティブ・ベースにとって電池残量は死活問題です。700シリーズはボディバック側にバッテリー警告灯を持ち、電池残量が心細くなってくると赤く点灯して知らせてくれます。また、万が一電池切れを起こしても、パッシブで使用すればちゃんと音が出ます。
YAMAHA BB734A/735Aを…
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4弦モデル「TRBX604FM」
5弦モデル「TRBX605FM」
YAMAHAの「TRBX」シリーズは、スリムなネック、狭めた弦間ピッチ、24フレットの指板、立体的にカットしたボディという本体を特徴とする、演奏性に優れたベースです。特に音数の多いテクニカルなプレイを目指すなら、このようなベースがいいでしょう。サウンドバリエーションも豊富なので、さまざまなジャンルで使用可能です。
TRBXの最高グレードである「600」シリーズは、ヘッドとボディトップにフレイムメイプルがあしらわれた美しい外観が、ステージでも動画でも存在感を主張します。
TRBXは演奏性を尖らせた設計で、運動量の多いテクニカルな演奏に挑戦しやすい抜群の弾きやすさを実現しています。
もちろんサウンド面にも隙はありません。TRBX「600」シリーズは、音響性能を狙った本体と優秀な電気系で優れたサウンドを生み出します。
プリアンプはBB700シリーズと同様の多機能で、3バンドEQとアクティブ/パッシブ切替スイッチを備えています。またバッテリー警告灯により、不慮の電池切れリスクが軽減されています。
YAMAHA TRBX 604FM/605FMを…
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長野県松本市を拠点とする「バッカス」は、オーソドックスな親しみやすいスタイルを基本に、高い基本性能を持つベースを低価格でリリースしています。上位グレードに当たる「クラフト」シリーズは、海外の工場で木工を行い、本社工場でキッチリと組み込むという生産体制で、高い品質と裏腹のコストパフォーマンスを実現しています。
スペックやカラーリングに選択肢がたっぷりあるのも特徴で、パッシブ21フレットのトラッドなスタイルからアクティブ5弦24フレットのモダン高機能モデルまで、ボディ材や指板材の種類も多く、ボディ塗装では中間色やグラデーション、得意のオイルフィニッシュ、果てはバーナーで焼いて木目を引き立たせたものまであり、選ぶ楽しさが詰まっています。
WL4DX-ASH・ACは、達人の使用例が大変多い「ジャズべスタイルのアクティブ」。特にアッシュボディ仕様はスラッパーの大好物です。本機は最上位グレード「ハンドメイド・シリーズ」代表機種WOODLINEを踏襲した本体を基本に、指板をブロックインレイとパール柄バインディングで彩り、ボディは使い込むほどに味が出るオイルフィニッシュを採用。クールな透明ピックガードをあしらい、オリジナルピックアップとバルトリーニ製プリアンプを備えるという、機能性と美しさを併せ持ったベースの完成形として仕上がっています。
WL4DX-ASH・ACを…
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JMJ5-ASH-DE-M
堅実なつくりと独自構造「サークル・フレッティング・システム(CFS)」で知られる「フジゲン」の「JMJ」は、ジャズベのスタイルを出発点に、リアピックアップをハムバッカーに変更することで、新しい多様性に挑んだモデルです。4弦と5弦それぞれにアクティブとパッシブがあり、
共通点として、
という特徴があります。
アクティブはピックアップ:EMG、フレット数:24。パッシブはピックアップセイモアダンカン、フレット数:22、というように細部の仕様に違いがあり、サウンドの多様性を持ちながら、それぞれにしっかり方向性がつけられています。
JMJを…
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アイバニーズの「SR」シリーズは、デビュー以来30年以上の長きにわたって世界中のベーシストに愛用された実績を持つ定番機種です。スタンダードモデルの「SR500E」は、長きにわたって変わらないSRの曲線的なスタイルに、
という仕様を盛り込んだ、個性と機能性、演奏性とサウンドを高い次元で融合させたベースに仕上がっています。
自社製プリアンプはボリューム、バランサー、3バンドEQ、アクティブ/パッシブ切替といった定番仕様に加え、操作する中音域を250Hz、450Hz、700Hzの3つから選べる「3Way mid freq.」スイッチを備えています。中音域が3つから選べるという設計には、サウンドバリエーションが拡充できるだけでなく、「3つに絞ったことで、迷いにくい」というメリットがあります。
「SR500」シリーズはSR500E(4弦)、SR505E(5弦)、SR506E(6弦)がラインナップされていますが、3タイプともネックの太さに違いはあってもボディのシルエットが共通です。このボディ形状に対するアイバニーズの自信とこだわりが感じられる、面白いポイントです。
SR500Eを…
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エレキベースの元祖、プレシジョンベースやジャズベースの音の良さとかっこよさは、もはや普遍的であると言っても過言ではありません。数々の名プレイヤーが愛用した実績も手伝い、これらは今なお昔のままの姿で世界的に愛用されています。指板やパーツ類の仕様などまで昔のままの、いわゆる「ヴィンテージ・スタイル」は厚く支持されています。しかし、こと演奏性に限っては現代の仕様が優れていると考えられています。
そんなわけで、フェンダー「ハイブリッド(hybrid:混血)」シリーズは、「フェンダーの古き良きヴィンテージ・スタイルに、演奏性の高い現代的なネックを取り付ける」という発想から考案されました。しかも品質と仕上がりの良さに定評のある日本製です。
「MJハイブリッド・プレシジョンベース」は、
という構成で、プレベならではの無骨な佇まいと由緒正しいフェンダーサウンドに、現代的な弾きやすさを追加しています。50年代のスタイルと言うことで指板材はメイプルの一択ですが、カラーリングは7種類も要されており、選ぶ楽しさがあります。
MADE IN JAPAN PRECISION BASSを…
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先述のハイブリッド・シリーズは、現代的な弾きやすさを持つヴィンテージ・スタイルのベースでした。一方こちらの「モダン」シリーズは、最高レベルの演奏性、音質、多様性を盛り込んだ、最強最新鋭のベースです。
「MJモダン・ジャズベース」は、流線形を描くクールなボディトップを第一の特徴に、指板材には厳選されたローズウッドを使用しています。このほか、かつてのモダン系最高峰「アメリカン・エリート」シリーズの仕様であった、
これらの特徴が受け継がれており、この価格帯における常識を打破した高いスペックのベースに仕上がっています。
プリアンプは9v電池を二つ使用する18v仕様の高音質に、操作系はボリューム、バランサー、3バンドEQに加え、アクティブ/パッシブ切替スイッチとパッシブ・トーンを備えています。このため高級アクティブベースとしても、また完全なパッシブのジャズベースとしても使用できます。
MADE IN JAPAN MODERN JAZZ BASSを…
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以上、紹介したモデルは「若い人にとって現実的な選択肢になりやすい価格帯」を想定していますが、気に入ったのならもっと高いベースもチェックしてみてください。「身の丈に合わない高級品は、性能を持て余すのでは」などという心配は要りません。買えるのなら身の丈に合っていますし、そのベースでしっかり上達すればいいのです。
また、経験や知識、感覚を育てている段階だからこそ、最も大事なのは「実際に手に取って感触を確かめる」ことだといわれます。頭でっかちにならず、できれば目的外のベースにも触れてその違いを確かめ、長く付き合える相棒を見つけ出してください。