《独自技術と研究成果で築くオリジナリティ》YAMAHAのエレキベースについて[記事公開日]2020年3月18日
[最終更新日]2020年03月18日

YAMAHAのエレキベース

総合楽器メーカー「YAMAHA(ヤマハ)」は、オルガンメーカーとして明治22年(1889年)創業、明治33年(1900年)ピアノの製造を開始、という大変歴史の長い会社です。エレキベースは昭和41年(1966年)に製造開始、現在では世界中のベーシストに愛用されています。今回は、半世紀以上の歴史を誇るYAMAHAのベースに注目していきましょう。

初代から受け継がれる、事業への姿勢

YAMAHA創業者、山葉寅楠(嘉永4~大正5)氏は、事業に対する姿勢として

「自分は品物を販売するに掛引をせぬ。生産費を控除して代価を定め決して暴利を貪らぬ、而して品質に対しては絶対的責任を負ぶるを信条として、社会の信用を博する覚悟である。」
(販売にかけひきは使わない。生産費を抑えて価格を決め、暴利はむさぼらない。そして品質には絶対的に責任を負い、社会の信用を得る覚悟です)

と語っていました。

「高品質な製品を、求めやすい価格で提供する」という寅楠氏の姿勢は、氏なきあと100年以上経過した今なお受け継がれています。

代表機種「BBP34/BBP35」に見る、YAMAHAベースの特徴

YAMAHA BBP35 BBP35

YAMAHAは音響と木工に関する独自の技術と研究を積み上げており、製品開発において随一と言えるポテンシャルを持っています。代表機種「BB」の「Pro」シリーズは、YAMAHAがこれまでに培った技術と最新の技術をふんだんに投入した、楽器に求められる基本性能を高いレベルで達成した、いわば「最強のパッシブベース」です。サウンドは太く、またバンドで埋もれることなく、前へ飛んでいく抜けの良さを持っています。その特徴や独自構造、独自技術のいくつかを見てみましょう。

弾きやすさ、サウンド、頑丈さを両立する本体

YAMAHAのエレキベース BBP34:ヘッド

YAMAHAベース:ペグ BBP35:ペグ

現行のBBシリーズは、これまでのモデルよりやや小さめのボディを採用し、本体を軽量化しています。それにあわせてペグも小型軽量化してヘッド重量を抑え、重量バランスを整えています。軽くてバランスが良いので、長時間の演奏もラクです。サテンで仕上げられたスリムなグリップはリラックスしたスムーズな運指に有利です。ネックは頑丈ですが、BB400シリーズ以上ではより強い「メイプル+マホガニーの5層ネック」が採用され、温度や湿度の影響を受けにくくなっています。

PJ配列のピックアップは、十分な低音域と存在感のある中高音域を持つ「輪郭のはっきりとしたクリアなサウンド」を基本に、各シリーズのキャラクターに合わせて自社開発されています。

最強のベースを作るための独自構造・独自技術

マイター・ボルティング

マイター・ボルティング

通常のネジに加え、45度の角度で2本のネジを追加するネックジョイントで、弦振動のエネルギーロスを軽減し、ボディとネックが一体となった強烈な鳴り方を作ります(BB400シリーズ以上に採用)。

コンバーチブルタイプ・ブリッジ

コンバーチブルタイプ・ブリッジ

裏通しブリッジ

ブリッジ本体で弦を固定する「トップロード」方式と、ボディ裏から45度の角度での「裏通し」が選べるブリッジです。裏通しでは従来品より弦やパーツへのストレスが軽減され、弦振動の伝達効率が向上します(BB400シリーズ以上に採用)。「Pro」シリーズのブリッジではスチール製のブリッジプレートで明るい響きを作り、オリジナル形状のブラス製サドルで深みのある低音域を強調します。各種調節ネジは錆びにくいステンレス製です。

3プライボディ構造

3プライボディ構造

「メイプル材をアルダー材で挟む」という独自の3層構造では、硬質なメイプル材がアルダー材の持つ中音域をより豊かに響かせます。またボディ/ネック間での振動伝達効率が向上することで、バンドサウンドの中心位置に貢献する豊かな胴鳴りが実現します(BB700シリーズ以上に採用)。

ヤマハ独自技術「I.R.A. (イニシャル・レスポンス・アクセラレーション)」

「鳴り」を良くするためのイノベーション。完成後の楽器に適切な振動を与えることで、内在する塗料や接着剤等のストレスを軽減し、楽器の振動を促進させます。新品なのに弾き込んだ状態に近くなり、理想的なボディ鳴りを引き出します(BB「Pro」シリーズとATTITUDE LTD3で採用)。


Yamaha BB Series Demo | BBP35
本体の響きが活きている、太くて存在感のあるサウンドです。パッシブでは難しいと言われるLo-B弦の張りと迫力も、じゅうぶん伝わってきます。

YAMAHAのベースを使用するアーティスト

YAMAHAのベースはプロ/アマ問わず多くのベーシストに愛用されており、特にBBはロック/ポップスを中心に大活躍です。どんな人が使っているのか、かいつまんで見ていきましょう。


SILENT SIREN -「ALC.Monster」from 「SILENT SIREN LIVE TOUR 2019『31313』〜サイサイ、結成10年目だってよ〜
ベーシストはあいにゃんこと山内あいな女史。ファッション雑誌の読者モデル中心で結成されたという「サイサイ」こと「サイレント・サイレン」は、今や国内屈指のガールズバンドです。


おしゃかしゃま RADWIMPS MV
映画のサントラなどで異色の存在感を発揮するRADWIMPS。ベーシストは武田祐介氏。ベースが映える曲の代表といえば、やはりこれでしょう。


KIRINJI – killer tune kills me feat. YonYon
ベーシストは千ヶ崎学氏。踊れるナンバーにおけるモコモコ感のある太いベースサウンドは、BBの得意分野です。


東京事変 – 閃光少女<from ウルトラC>
プロデューサーとしても幅広く活躍する亀田誠治氏。ライブでのトレードマークとなっているホワイトのBBは、ツアーでの肉体的負担を軽くするための軽量化と高い演奏性を目指し、YAMAHAと共同開発したのだとか。


CHICKENFOOT “Oh Yeah” (Official Video HD)
サミー・ヘイガー&マイケル・アンソニー両氏(もとVAN HALEN)、チャド・スミス氏(Red Hot Chill Peppers所属)、そしてジョー・サトリアーニ師匠、というスーパーグループ「CHICKENFOOT(チキンフット)」。YAMAHAのBBは海を越え、伝説的なロックバンドのサウンドを支えています。

国内の著名BBアーティスト一覧:https://jp.yamaha.com/products/musical_instruments/guitars_basses/el_basses/bb_2017/artists.html#product-tabs
アーティストコメント一覧:https://www.youtube.com/watch?v=ynwAXkzm9eI&list=PL7bJ3L2-MwTk4aOap7nd5oissADPe64eC

YAMAHAベースのラインナップ

では、ラインナップをチェックしていきましょう。代表機種BBとTRB、TRB派生モデルTRBX、そしてアーティストモデルで構成されるベースのラインナップは、全てYAMAHAの自社工場で生産されます。これら製品群にはYAMAHAが蓄積してきた技術や開発力が注がれ、ほかにはないオリジナリティとなっています。