YAMAHAの代表的なベース「BB」の歴史は1977年、広範囲(=Broad)の意味を込めた「Broad Bass」のモデル名でスタートしました。この40年と言うもの、BBはロック、ポップスを中心に幅広い音楽性で、また世界中のベーシストに愛用されています。
時代ごとに求められる音や演奏性に合わせブラッシュアップを受けてきたBBですが、現代版はその40周年を記念して2017年に大幅なアレンジを受け、トラッドなスタイルに現代的な仕様を載せた高性能なベースとして仕上がっています。
現在のBBはこれら共通仕様をもとに、4つのシリーズで展開しています。
最も求めやすい価格に設定されている「200」シリーズは、エレクトリックベースの伝統的な設計を前提に、オーソドックスかつシンプルに仕上げられています。こうしたベースを扱った経験は他のベースにも活かすことができるため、4弦の「BB234」は今からベースを始める人の1本目として最適です。また5弦の「BB235」は、これから5弦ベースに挑戦する人におすすめです。
参考:「《初心者必見》 1本目にオススメの4弦エレキベースを厳選!(ページ内リンク「BB234」)」
一段階グレーの上がった「400」シリーズは、
が採用されています。現代版BBの高い演奏性を持ち、かつ剛性と音響性能に優れるため、これから始める人が気合を入れて買う一本目としても、中級以上の人が試しに買ってみる一本としても良好です。
またBBでは唯一のメイプル指板モデル(BB434M)、5弦モデル唯一のブリッジ構造(後述)というように、ミドルクラスならではの個性を楽しめる興味深いシリーズです。
参考:「《初心者必見》 1本目にオススメの4弦エレキベースを厳選!(ページ内リンク「BB434/BB434M」)」
上位グレードの「700」シリーズは、最高グレード「Pro」シリーズと同じ構造の本体、同じピックアップを備え、さらに高性能プリアンプを備えて強化したアクティブ・ベースです。本体はボディ構造、ネックジョイント、ブリッジ構造でYAMAHAの独自構造が採用され、強度が頼もしい5層構造ネックと相まって、タイトかつ強力な「鳴り」を創出します。
ボディ背面側のバッテリー警告灯
※画像はTRBX
700シリーズのプリアンプは、3バンドEQを備えるオーソドックスな使いやすいもので、これに「アクティブ/パッシブ・スイッチ」が加えられます。ピックアップは「Pro」シリーズ(パッシブ)と同じものですから、パッシブ・モードは決してオマケではない、メインとしても使える音を持っています。
また、ボディ背面側にバッテリー警告灯を備えており、バッテリーチェックのためにいちいち電池を取り外す必要がありません。最悪、演奏中に電池切れが起きてしまっても、パッシブに切り替えれば演奏を続行できます。
BBの最高グレードである日本製「Pro」シリーズ(先述)は、独自技術と独自構造で豊かな響きを得る、YAMAHAの製品開発を象徴するベースです。独自構造の「マイター・ボルティング」、「コンバーチブルタイプ・ブリッジ」、「3プライボディ構造」を採用した本体に、独自技術「I.R.A.」の処理を施して鳴りの良さを増強、さらにボディとの相性を考慮した「YGDカスタムV7ピックアップ」を搭載したうえでシンプルにまとめた、いわば「最強のパッシブ・ベース」です。プロの要求に応える性能があり、またしっかり作った日本製でありながら、若い人にも手に入れられる現実的な価格を実現しています。
BBシリーズを…
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「TRBX」は、アクティブ・ベースの名機TRB(後述)を出発点に、抜群のフィット感と幅広いトーンを持たせた、演奏性と機能性を重視したベースです。力強いハムバッカー・ピックアップを採用していることもあって、ロック/ポップスで特に使用しやすい方向付けが施されています。
全機種共通で、強度と振動伝達に優れるメイプル&マホガニー5層構造ネック、肉厚なダイキャスト製ブリッジプレートにスチール製サドルという設計を採用。「硬いネックで一瞬でも早くボディに振動を伝え、またゴツいブリッジでしっかり振動を受け止める」という現代的なベースのセオリーを踏襲しています。
ナット幅のネックはモダン・ベースとしてはスリムで(4弦:38mm、5弦:43mm)、運動量の多いフィンガリングに有利です。ブリッジの弦間ピッチもなかなか狭く(4弦:19mm、5弦:18mm)、素早い弦移動やテクニカルなスラップに有利です。カッタウェイは深く、24フレットまでしっかり使えます。
グレードには3段階あり、それぞれに4弦と5弦がラインナップされています。
3つのシリーズは、だいたいこのような関係になっています。
「300」シリーズは、
という仕様を盛り込んだベースです。独特な「パフォーマンスEQスイッチ」が大きな特徴で、5WAYスイッチの操作で5つのイコライジングを呼び出すことができます。
300シリーズに搭載される「パフォーマンスEQ」スイッチは、各ポジションでベースの奏法やパートに合わせたイコライジングを呼び出す回路です。
通常ならいくつもツマミを操作しなければできない切替を、一瞬にして呼び出せるわけです。便宜上、各ポジションには演奏法をイメージさせる名前が付けられています。これを「1の硬めから、3のノーマルを通過して、5の丸い音へ」のように把握すれば、直感的な操作も可能です。
一段階グレードが上がった「500」シリーズは、
を採用したモデルです。操作系の「ボリューム、バランサー、3バンドEQ」という編成は、現代アクティブ・ベースの標準的な仕様です。パッシブに切り替えた際に音量差が無いように設定されているので、楽曲やフレーズで音色切替として作用させても良いですし、これに慣れておけばアクティブの音作りが身に付き、上位機種「TRB」などへの持ち替えもスムーズです。初めてのアクティブとしても、二本目以降のアクティブとしてもおすすめです。
また、BB700シリーズ(先述)のプリアンプ同様、「アクティブ/パッシブ切替」と「バッテリー警告灯」を備えており、大変便利です。
TRBX最高グレードの「600」シリーズは、「500」シリーズを出発点に、ボディ材をアルダー&メイプルに変更したモデルです。このボディ材によって、
グレードの高いベースにふさわしい二つの個性が与えられます。なお、このボディはTRBXの出発点である上位機種「TRB」と同じ木材構成となっています。
“I Play Yamaha”-Abraham Laboriel
ギターのようにベースを奏でる巨人、エイブラハム・ラボリエル氏。左手のタッピングと右手のストロークとの組み合わせで、一人で弾いているとは信じられない演奏です。
TRBXシリーズを…
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4弦「TRB1004J」、5弦「TRB1005J」、6弦「TRB1006J」
「TRB」は、弦長35インチの「スーパーロングスケール」を採用したYAMAHAの名機です。拡張した弦長により、上から下までどんな音域でもクッキリとアウトプットできるようになっています。スマホやイヤホンなど小口径のスピーカーでもじゅうぶん効き取れる、あるいは多弦ギターやグランドピアノなどの低音と美しくアンサンブルできる、現代の音楽における大きなメリットがスーパーロングスケールにはあります。その半面、弾きこなすにはある程度の腕前が要求されます。
現在、4弦、5弦、6弦の3タイプがラインナップされていますが、基本構造はだいたい共通しており、
といった構成です。このような中上級者向けのベースは多機能になる傾向がありますが、TRBでは「クッキリとしたアクティブの音」を目指しており、パッシブのモードはありません。そのぶん操作系がシンプルにまとまっていて、演奏に集中しやすくなっています。特に多弦のプレイヤーに厚く支持されてきた実績もあり、使える5弦/6弦を探しているベーシストには特にお勧めです。
今度はアーティストモデルに注目していきましょう。YAMAHAのベースは、世界的な達人たちのトレードマークとしても知られています。レギュラーモデルを出発点にしているモデルもありますが、各アーティストの要求を満たすために設計を見直した、高性能なベースとして仕上がっています。3モデルで4弦、5弦、6弦と弦数が分かれているのが面白いところです。
「アティテュード」は、達人ビリー・シーン氏の「音楽に対する姿勢(attitude)」を現したベースです。スプリットコイル・ピックアップをボディ中央に、ネック側に「ウーファー・ピックアップ」を配置し、それぞれを別個にアウトプットする「ステレオ・アウト」を備えるなど、アーティストモデルだからこその尖った設計が特徴です。
「スプライン・ジョイント」のボディは、3Pの頑丈さと1Pの豊かな鳴りを共存させます。これにA.R.E及びI.R.A処理が加えられることで、永年弾き込まれたかのようなボディ鳴りが得られます。さらに独自のネックジョイントが加わり、ひじょうに高い振動伝達効率を実現しています。ハイポジションのスキャロップ加工は、速弾きやタッピングなど、テクニカルなプレイに有利です。
ウーファー・ピックアップはビリー氏とYAMAHAの共同開発で、トーンポットに「ハイカット」スイッチが仕込まれます。スプリットコイルはビリー氏のシグネイチャーモデルで、ボリュームポットにステレオ/モノラル切替スイッチが仕込まれます。
The Winery Dogs – Captain Love (Official Music Video)
スーパートリオ「ザ・ワイナリー・ドッグズ」。3人とも達人、そして3人とも歌います。どこで聞いてもそれとわかるビリー氏のサウンドは、このアティテュード・ベースで作られています。最近ではスーパーバンド「SONS OF APOLLO」で、特注のダブルネックを使用する機会が増えました。
「BBNE2(BBNE II)」は、エリック・クラプトン氏などビッグアーティストとのプロジェクトで知られるネイザン・イースト氏のシグネイチャーモデルです。モデル名こそ「BB」ですが、旧式のBBから分化して独自の進化を遂げています。
こうした仕様から、豊かなサスティンに優れ、抱え心地が良く、ノイズに悩まされることがなく、ワンタッチでスラップ用のサウンドにでき、Lo-B弦がクリアに響く、たいへん高性能なベースに仕上がっています。
“I Play Yamaha” – Nathan East
BBNE2は、一本ですべてのことができるポテンシャルを持ち、またEQの狙う周波数帯が的確で、プロミュージシャンからも高く評価されています。
ジョン・パティトゥッチ氏は、大物ミュージシャンのプロジェクトをいくつも成功させている、生きながらにしてすでに伝説となっているベーシストです。氏のシグネイチャーモデル「TRBJP2」はTRBを基に、氏の要求を満たすさまざまな仕様が採用されています。その中から、ネック、ボディ、電気系に注目してみましょう。
TRBJP2最大の特徴は、弦長35インチ、26フレット、6弦、という達人仕様のネックです。スーパーロングスケールは各弦の張りが強くなり、全音域でクリアなサウンドが得られます。
腕前が要求されるベースですが演奏性は高く、特許を取得したという6点留めボルトオンジョイントは、ハイポジションの演奏性とジョイント部の剛性を両立させています。また、ペグを軽量化することで、ヘッドに偏りがちな重量バランスを大きく改善させています。
このほか強い弦張力に耐えるため、トラスロッドを2本収め、ヘッド裏に厚みを持たせるなどの設計が採用されています。
ボディの木材構成は、「メイプル+アルダー+アッシュ+メイプル」という4層構造です。「二つの木材の個性がミックスされた振動を、表裏のメイプルでまた内部へとはじき返す」というコンセプトで開発されたといいます。1弦ホーン部はトップのメイプルがカットオフされ、スラップの演奏性を高めています。
アル二コV採用のオリジナルピックアップ、マスターボリューム、バランサー、3バンドEQを備えるプリアンプ、というオーソドックスな内容です。しかしピックアップの仕様、EQが操作する周波数帯については、パティトゥッチ氏が納得するまで研究が重ねられました。アクティブに慣れたベーシストなら操作しやすく、またツマミをひねればわかる「ちょうどよさ」があります。
“I Play Yamaha”- John Patitucci
演奏者が達人だからでもあるんですが、高音から低音まで素直に耳へ届く、とても優秀なサウンド。機能性に加え、ゴールドハードウェア、ホワイトパーロイドペグ、白蝶貝とアバロン貝を使ったポジションマークなど、エレガンスを感じさせる美しいベースです。
以上、YAMAHAのベースをチェックしていきました。ラインナップは入門機から一流アーティストの商売道具まであり、懐の深を感じさせます。スペックのわりに価格が抑えられているのもポイントです。楽器店や展示会で見かけたら、ぜひチェックしてみてください。
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