ギブソンの代表モデルといえば、ほとんどの方がレスポールを思い浮かべるのではないでしょうか?しかし、これはあくまでギターの場合の話です。エレキベースの場合はサンダーバードやSGベースの方のイメージが先行してしまいがちです。中にはレスポールベースの存在すら知らない、という方もいらっしゃるかもしれません。
ギターと比較すると、あまり認知度は高くはないレスポール・ベースですが、その完成度は非常に高く、多くのベーシストの間で評価され続けています。
そんなレスポールベースについてお話したいと思います。
最初にレスポールベースとはどのようなものなのかをご紹介してみたいと思います。
ギターとしてのレスポールは1950年代に登場したのに対して、ベースがラインナップされたのは1969年のことでした。この時期のギブソンの動きとして、真っ先に思い出されるのが1968年のレスポール・ギターの再生産開始でしょう。SGデザインへの大幅なモデルチェンジが原因で、レス・ポールとの契約が打ち切られたのが1961年のことでした。それから7年間もの間、ギブソンは代表モデルを失った状態となっていました。これが原因でギブソン人気が低下してしまったことを受け、1968年にレス・ポールとの再契約、そしてレスポールモデルの再生産がスタートします。
この時、同時に開発がスタートしたのがレスポール・ベースでした。これまでにギブソンはEBシリーズやサンダーバードなどのベースをすでにラインナップしていましたが、ライバルであるフェンダーのプレシジョンベースやジャズベースほどの人気を獲得することができずにいました。そこで、ベーシストではありませんが、稀代のアイデアマンであるレス・ポール氏にアイデアを求めることになったのです。
レス・ポールのアイデアと、ギブソンのこれまでのベース製作のノウハウによって初代レスポール・べースが1969年に満を持して発売されました。
1969 Gibson Les Paul Bass
1969年に登場した初代モデルの特徴をご紹介しましょう。
ボディシェイプはギターと同様にシングルカッタウェイが採用されています。ただし、ボディ材はギターとは異なり、マホガニーのみで、ネックにもマホガニーが採用されました。
スケールはギブソン・ベースのスタンダードである30.5インチが採用されています。このスペックは後のマイナーチェンジモデルにも継承されており、レスポール・ベースの基本となっています。
初代モデルの最大の特徴は、この時期から晩年にいたるまでレス・ポールのメインギターとなっていたレスポール・レコーディングモデルのサーキットが採用されている、という点でしょう。
低インピーダンスピックアップを搭載することによって、非常にノイズに強く、クリアなサウンドを実現することに成功しました。ただし、低インピーダンスピックアップは多くのローノイズという大きなメリットを持っているものの、そのままではエレキ・ベースに使用することはできません。そこで、専用回路も同時に搭載されています。結果として、この回路を搭載することによって、これまでにない幅広いサウンドを生み出すことに成功したのです。
この初代モデルは「レスポール・ベース・レコーディングモデル」と呼ばれ、現在でも非常に高い人気を集めています。
発売からわずか2年後の1971年には、早くもマイナーチェンジが行われました。ボディシェイプや材質、スケールなどには変更はありませんが、回路がリニューアルされ、スイッチによって高インピーダンスと低インピーダンスを切り替えることが可能となっています。これによって、さらにレスポール・ベースは幅広い場面で活躍することのできるサウンドを得ることに成功しています。
引用元:http://c-nelson.com/1973-gibson-les-paul-signature-bass/
これまでのレスポール・ベースとはまったく異なるスタイルで1973年にラインナップされたのが、レスポール・シグネイチャーベースです。もっとも大きな特徴はホロー構造のダブルカッタウェイボディの採用でしょう。これによって、より温かみのあるウッディなサウンドと、ハイポジションの優れた演奏性を実現することができました。さらに、フェンダーベースと同様の34インチスケールが採用されたことによって、よりタイトなテンション感での演奏も可能となりました。
1979年に一度すべてのレスポール・ベースの生産は終了してしまうことになります。ハードロックやへヴィメタルといった新しいジャンルの音楽に対応するために、大幅なラインナップの見直しが必要になったのです。
しかし、1990年代に入ると、クラッシックロックが再評価されるようになります。それに合わせてレスポールモデルが10数年ぶりに再生産されました。再生産とはいっても初期のモデルの復刻ではなく、よりギターに近いデザインが採用されました。さらに、現在主流となっているアクティブイコライザーを搭載したモデルや5弦仕様のものもラインナップされています。
このように一言で「レスポール・ベース」と言っても時代に合わせてさまざまな形に変化し続けています。
ギブソン・レスポール・ベースはどのようなベーシストに愛用されているのでしょう?
元祖ロッククイーンとの呼び声の高いスージー・クアトロは初期のレスポール・ベースを愛用しています。
ときにはゴリゴリと、そしてまたときには繊細に、とレスポールベースならではの繊細なサウンドを聞かせてくれます。
それでは、レスポールのラインナップをご紹介しましょう。
マホガニーバックにメイプルトップという、ギターとまったく同じ構造のボディを採用しているのがレスポール・スタンダードベースです。
高出力ピックアップに、パッシブとアクティブの切り替えが可能なサーキットが搭載されていますので、さまざまなサウンドメイクが可能となっています。
2006〜2007年にレギュラーラインとしての生産は終了してしまいましたが、数年おきに日本限定モデルとしてや、記念モデル、特別モデルとしてスポット生産がされています。
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スタンダードベースからトップ材のメイプルを廃したシンプルなモデルとなっています。そのおかげで、見た目のゴージャスさはなくなってしまいましたが、軽量で取り回しやすいベースとなりました。
また、スチューデントモデル的な位置づけですので、比較的安価で購入することができる、という点も魅力的です。
残念ながら、スタンダードベースと同様にレギュラーラインでの生産は終了しています。ただ、生産数が非常に多いことから、中古市場などでの入手は難しくないでしょう。
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ギブソンが起死回生をかけて原点回帰を果たした1960年代の末。再びレス・ポールとタッグを組んで生み出したレスポール・ベースは時代に合わせて形を変えながら、今日でも多くのベーシストを、そして音楽ファンを魅了し続けています。
ギブソン・レスポールのエレキギターについて – エレキギター博士
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