G&Lのエレキベースについて[記事公開日]2015年3月19日
[最終更新日]2022年03月31日

G&Lのエレキベース

フェンダーの創始者レオ・フェンダーが最後に辿り着いた理想のベース、それがG&Lです。ギター&ベース・ビルダーとしての情熱を具現化するためにレオ・フェンダーが設立したG&Lには、彼と共に進化していったベースの変遷の全てが凝縮され、彼が亡くなった後でも、彼の理想と共に素晴らしいベースを生み出し続けています。
ベーシストなら一度は手にしてみたいG&Lの特徴とラインナップを紐解いていきたいと思います。

G&Lの歴史

ネックとボディを別々に製作した後にジョイントするという画期的なアイデアと、ストラトキャスター、テレキャスター、プレシジョン・ベースやジャズ・ベースといった人気モデルを手掛けてフェンダー社を発展させたレオ・フェンダーは、65年に健康上の理由からフェンダー社をCBSに売却しました。
フェンダーを離れた後、ミュージックマン(現在のアーニー・ボール・ミュージックマン)を設立。現在でも高い人気を誇るベース、スティングレイを発表するものの、その後ミュージックマンも譲渡。
そしてフェンダー社初期に共に楽器製作を出掛けたジョージ・フラートンと共にG&Lを設立します。

フェンダー〜ミュージックマンと渡り歩きさらにG&L設立したレオ・フェンダーには、会社経営よりも技術者として最高の楽器を生み出していたい、というビルダーとしての熱い想いがあったようです。
そんな彼が最後に製作に関わったG&Lのベースにはフェンダー、ミュージックマンを経たレオ・フェンダーの知識と技術をすべてが注ぎ込まれています。

言わばG&Lのベースは彼の最高傑作である、と言っても過言ではないでしょう。

G&Lベースの特徴

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引用元:G&L Official Site

G&Lベースと言えば、L-2000やASATベースに代表される驚くほど高出力なピックアップと、3つのコントロールと3つのスイッチの組み合わせによって、レオ・フェンダーが創り上げて行ったベースの歴史を次々と再現するようなサウンドの幅広さ。
そのレンジの広さ故、音作りにはコツがいるものの、コツさえつかめばカラフルなサウンドを自在に操れるようになり、生涯手放し難い1本になるでしょう。
生音で弾いただけでバキバキと身体に響いてくるパワフルさも人気の秘密です。

その一方で、シンプルにベース本来の魅力をシンプルに紡ぎだすSB-2、JB-2といったプレシジョンベースジャズベースのような、レオ・フェンダーの生み出したベースたちの流れを汲むモデルもラインナップされています。

G&Lベースのラインナップ

USAシリーズ

L-2000

G&L Bass L-2000

G&Lの顔とも呼べるモデルがこのL-2000。プレシジョンを思わせるボディはストレスなく体にフィットするように設計され、ネックもジャズベースのように細めのグリップを採用することで、オールラウンドなスタイルに対応できるプレイヤビリティを獲得。ハムバッカーを2個搭載したアクティブ・サーキットは音抜けの良さとパワフルなサウンドを両立しています。

最大の特徴はレオ・フェンダーが生み出した数々の名機のサウンドを凝縮した3つのスイッチ。
それぞれ、シリーズ/パラレル/タップの切り替え、アクティブ/パッシブ&トレブル・ブーストの切り替え、そしてピックアップ・セレクターとなっています。これにボリューム、トレブル、ベースの3つのコントロールが加わることで幅広いサウンドメイクを可能にしているのです。
純粋なパッシブ・ベースから持ち替えると、最初はそのパワフルすぎるサウンドに戸惑うかもしれませんが、スイッチによる音作りに慣れると手放せなくなるはず。スイッチとコントロールの組み合わせ次第でジャズベ、プレベ、そしてミュージックマン・スティングレイといったフェンダーの歴史とサウンドを感じられる究極の1本と言えるでしょう。
ちなみに1ピックアップ・モデルであるL-1500もあります。

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ASAT

G&L Bass ASAT

テレキャスター・タイプのシングル・カッタウェイのボディにL-2000と同じエロクトロニクスを搭載したモデル。当然L-2000同様、3つのスイッチにより幅広いサウンドメイクが可能ですが、やはりそのボディ形状からイメージされるとおりの野太くバキバキとした力強いサウンドが最大の魅力。
コントロール類をフルテンにすると、あまりの高出力におののいてしまうほど出音は強力です。

キャラクターの強いアクティブ・サーキットが同一であることからL-2000とサウンドの特徴は似通ってくるものの、演奏性の高さで選ぶならL-2000、無骨でキュートなルックスながらさらにやや太いサウンドを欲するならASATといったところでしょうか。

SB-2

G&L Bass SB-2

レオ・フェンダーが原点に立ち戻って製作に望んだと言われるベースであり、L-2000、ASATシリーズと並ぶG&Lの代表的モデルの1つ。
プレシジョンを思わせるボディ・シェイプ、フロント・ピックアップにはハムバッカー、シングル・ピックアップにはジャズベース・タイプのシングルコイルを搭載。ベースが本来持つべき力強いサウンド、弾きやすさをシンプルに追求したレオ・フェンダーの傑作。

G&Lと言えば汎用性の高いサウンドメイクが可能なアクティブ・ベースのイメージは強いですが、このSB-2はその逆を行く2ボリュームのみのパッシブ・ベース。トーン・コントロールすら付いていません。
しかしながら、これぞG&Lと呼べるファットで抜けのいい低音が体感でき、しかもこのサウンドがあれば何もいらないという潔さ。
G&Lの野太いサウンドには憧れるけど、ツマミやスイッチが多すぎて敬遠していた方はこちらを試してみてはいかがでしょうか。

JB-2

G&L BASS JB-2

L-2000やL-1500といったG&Lの「顔」ともいえるLシリーズのボディにジャズ・ベース・タイプのピックアップをマウントしたパッシブ・ベースがJB-2。
スイッチのない2ボリューム、1トーンのシンプル操作。プレイヤビリティの高いボディシェイプと上品でいて強力な低音が魅力。
SB-2同様、シンプルにG&Lのサウンドを出したいベーシストにはこちらがオススメです。

tributeシリーズ

G&L Bass Tribute Series

USAシリーズのエレクトロニクスはそのままに、日本、もしくはインドネシアで組み立てられるtributeシリーズ。G&Lのサウンドを損なわなずにコストパフォーマンスに優れたベースを提供してくれます。
L-2000、L-2000の5弦ベースであるL-2500、SB-2とJB-2がラインナップされています。

rusticシリーズ

厳選されたアッシュを使用したボディ、6点止めのネック・ジョイントやウルトラ・ライト・ペグなど最先端の技術を凝縮したG&Lの最上位機種。
現在はL-2000のみがラインナップされています。

レオ・フェンダーの魂、G&Lを弾くベーシスト

トム・ハミルトン

https://www.youtube.com/watch?v=YcNGjUEkhkM
昨今G&Lを使用しているベーシストで有名なのはエアロスミスのトム・ハミルトン。シグネイチャーのラメ入りの鮮やかなブルーASATベースでバンドの屋台骨を支え、フロントマンであるスティーヴン・タイラーやジョー・ペリーに負けずとも劣らない存在感を発揮しています。

柴田直人


ANTHEMやLOUDNESSのベーシストとして知られる柴田直人氏もG&Lユーザーの1人。テクニカルなプレイが多いバンドの中にあって、G&Lのバキバキとしたサウンドで豪快かつタイトなリフをキメまくっています。