モダンスタイルのベースを完成させたのがスペクターであるとすれば、より発展させ、ミュージックシーンに定着させたのがワーウィックでしょう。
ワーウィックのスタンダードモデルであるストリーマーなどのボディシェイプなどを見れば、スペクターから強い影響を受けていることは明らかです。
スペクターの成功を受けて、1980年代、多くのメーカーがモダンスタイルのベースの製造を始めました。当初、ワーウィックもそんなスペクター・フォロワーの1つにすぎませんでした。
その中で、どうしてワーウィックは多くのベーシストの支持を集めることができたのでしょう?
ここではワーウィック・ベースならではの魅力についてお話してみたいと思います。
どのようにワーウィックは誕生し、成長して行ったのでしょう?まずはそこからチェックしてみましょう。
ワーウィックの創業者である、ハンス・ピーター・ウィルファーは、当時の大手楽器メーカー・フラマスの創業者の家に生まれました。
そのおかげで、幼いころからさまざまな楽器に触れることができました。また、製造工場にも自由に出入りすることができましたので、自然とあらゆる楽器製作のノウハウを身につけていました。
そんなハンスがもっとも興味を持ったのが、エレキベースでした。特に、1970年代後半に登場したモダンスタイルのエレキベースに強い関心を持つようになります。
これが、ワーウィック・ベース誕生のきっかけとなりました。
最初にハンスが作ったエレキベースは、その斬新なヘッドレスデザインで注目を集めていたスタインバーガーを模したものでした。
密かに人気が高まりつつあったヘッドレス・ベースのコピーモデルを作ったのはハンスだけではありません。ワッシュバーンなどの大手メーカーもすでに商品化し、一定の成功をおさめていました。
なので、ここまではオリジナリティのあるアイデアであったとは言えません。
ハンスは、単にデザインを模倣するのではなく、そこにオリジナルのアイデアを組み込むようになります。それが、現在のワーウィック・ベースの特徴となっているウェンジの使用や、順反りと逆反りの両方に対応することのできるオリジナル・トラスロッドの採用でした。
優れたベースを模倣しつつも、そこにオリジナルのアイデアを加えて改良したり、個性を加える。この時点でワーウィックの基本的な姿勢は完成していた、と言えるでしょう。
基本的なボディシェイプや設計については、スペクターが生み出したモダンスタイルがベースとなっています。小型で、曲面をうまく使用することによって、プレイヤーの体にフィットする快適な演奏性を実現しています。
ただ、モダンスタイルのボディシェイプについては、現在、多くのメーカーで採用されていますので、ワーウィック・ベースならではの特徴とは言えないでしょう。
今や定番スタイルの1つとなった、モダン・ベースをより活かすためのオリジナルパーツを搭載することによって、はじめてワーウィックならではの個性が出てきます。
当時、多くのメーカーでよりサウンドの幅を広げるために、フロントにプレシジョンベースタイプのピックアップを、そしてリアにジャズベースタイプのピックアップを搭載したPJレイアウトが流行していました。
スペクターの定番モデルであるNSモデルでもこのピックアップレイアウトが採用されています。
しかし、ワーウィックではほとんどのモデルで、ジャズベースタイプのピックアップを2基搭載したJJレイアウトを採用しました。
フロントにもよりレンジの広いジャズベースタイプのピックアップを採用することによって、アクティブイコライザーをさらに過激に効かせることが可能となりました。
このピックアップレイアウトやサーキットの採用は多くのベーシストから支持され、以降のモダン系ベースのサーキット設計に大きな影響を与えています。
もう一つの大きなポイントが、オリジナル設計のブリッジです。サスティンブロックと組み合わせた構造を採用することによって、これまでのベースにはないほどのロングサスティンを得ることに成功しています。
さらに、弦高のみでなく、弦間も簡単に調整することが可能となっていますので、セッティングの自由度もより高くなっています。
一見しただけでは、一般的なモダン系ベースと大きな違いがないように感じられてしまいがちなワーウィック・ベースですが、さまざまなところに他にはない個性を秘めているのです。
どのようなアーティストによってワーウィック・ベースはプレイされているのでしょう?
そのファンキーでテクニカルなプレイによって、世界中の音楽ファンを魅了し続けているTMスティーヴンスのプレイを支え続けているのがワーウィック・ベースです。
ストリーマーを中心にさまざまなモデルを使用しています。
TMスティーブンス
https://www.youtube.com/watch?v=ogCpJCi4WeU
ジュディアンドマリーのベーシストとして活躍し、現在ではプロデューサーとしても活躍の場を広げている恩田快人もワーウィック・ベースを愛用しています。
素晴らしいものから多くを学び、そこにオリジナルのアイデアを加える…その姿勢があったからこそ、ワーウィックは多くのプレイヤーに支持されるベースを数多く生み出すことができたのかもしれません。
それでは、現在のワーウィック・ベースのラインナップを確認してみましょう。
ワーウィックブランドで最初にラインナップされたモデルであり、モダン・ベースのスタンダードとも呼ばれる名器です。高い人気から、多弦モデルや、さまざまなピックアップレイアウトのモデルも用意されています。モデルによって価格帯にも幅があることから、予算に応じて選ぶことができる、という点も魅力の1つでしょう。
Streamerシリーズを…
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ストリーマーに次ぐ、ワーウィックのスタンダードモデルがサムベースです。ボディシェイプをよりコンパクトにし、アレンジを加えることによって、より高い演奏性を実現しています。
サウンド面の特徴としては、ピックアップの配置がよりブリッジ寄りになったことにより、固めで速いアタックを得ることが可能となっています。この特徴から、速弾きや高速スラップなどにより適したベースに仕上がっています。
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一般公募の「ワーウィック・デザインコンテスト」における優秀作品が元になったモデルがカタナです。ワーウィックらしいモダンなスタイルでありながら、個性的で、非常にバランスに優れたボディシェイプとなっています。
長く伸びたホーンと2基のハムバッカーピックアップが特徴的なモデルがコルベットです。ハムバッカーピックアップを採用することによって、従来のワーウィック・ベースよりへヴィなサウンドを実現しています。
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