マルチエフェクターとは、歪み・空間系・コンプレッサーなど様々なエフェクターが一体化された機材です。アナログ回路を使用することの多いコンパクトエフェクターに対し、マルチエフェクターにはデジタル回路が使われています。このため、コンパクトエフェクターを何台も並べるよりも小さいボディサイズに、コンパクトエフェクター数十個に相当するエフェクト機能が内蔵されており、さらにこれらのエフェクトを組み合わせて作った音色を本体に記憶させ、瞬時に呼び出すことが可能です。ここではベース用のマルチエフェクターについて、使い方、代表的なモデルなどを見ていきます。
前述のように、マルチエフェクターは複数のエフェクトを組み合わせて作り上げた音色を本体にメモリーさせておくことが可能です。これを利用して、曲や場面ごとに必要な音色を記憶させ、その都度呼び出すと便利でしょう。またエフェクターに興味はあるけど、どのようなものがあり、どう使っていいのか分からないといった場合、まずマルチエフェクターを手に入れて、それぞれのエフェクターの効果を確認するといった使い方も有効でしょう。
また、例えば同じ歪み系のエフェクトが複数搭載されていることもあり、これらは有名な歪みエフェクターをシュミレートしたものになっていることも多いので、それらを比較するカタログ的な使い方も面白いかもしれません。さらに、内蔵されている複数のエフェクトを組み合わせて有名なベーシストや楽曲の音を再現したものがあらかじめ登録されているものもあり、これも音作りにおいてとても参考になるでしょう。ちなみにこのあらかじめ登録された音色はプリセットと呼ばれます。
ちなみに、マルチエフェクターには当然ギター用のものもあります。そして、ギターとベースの音が出るメカニズムは同じといってもいいので、ベースにギター用のマルチエフェクターを使っても音は出ます。が、ベース用のマルチエフェクターは、ベースにおいて効果的なエフェクトが搭載されていたり、低音域でエフェクトが掛かりやすいようになっています。よってやはりベースにはベース用のマルチエフェクターを使うのがよいでしょう。
ここからマルチエフェクターの代表的なモデルの特色を見ていきます。
MS-60Bは、コンパクトエフェクターとほぼ変わらないサイズの超小型マルチエフェクターです。もちろん、小さいだけでなく機能も充実しており、ダイナミクス系19種類、歪み系11種類、空間系8種類、その他14種類の計52種類のエフェクトを内蔵し、さらにFender Bassman、Ampeg SVT、Hartke HA3500、Acoustic 360、Aguilar DB750、Markbass Little Mark Ⅲの6種類の定番アンプをモデリングしたアンプモデルも内臓されています。
これらのエフェクトは4つまで同時使用可能です。作成した音色は50種類メモリーすることができ、このうち最初の30種類プリセットされた音色が登録されています。
ZOOM MS-60B – Supernice!エフェクター
B1onには、ダイナミクス・フィルター系21種類、歪み系14種類、空間系21種類、その他32種類、合計88種類のエフェクトが内蔵されています。さらにアンプモデルも充実しており、前述のMS-60Bでもモデリングされていた6種類に加え、SWR、Edenなど計12種類が内蔵されています。
これらのエフェクトは5つまで同時使用可能です。作成した音色は100種類メモリー可能です。
68種類のリズムパターンのリズムマシンや、最大30秒までメモリー可能なループマシンも搭載されており、個人練習やソロパフォーマンスの際に効果を発揮します。
また、「B1on」にさらにエクスプレッションペダルを搭載した、「B1Xon」というモデルもあります。このペダルは、ボリュームペダルや、ワウペダルとしてはもちろんのこと、ピッチや歪み加減をコントロールするペダルとしても使えます。
ZOOM B1on – Supernice!エフェクター
B3nは、ダイナミクス系19種類、歪み系15種類、空間系11種類、ベースシンセ3種類などの計70種類のエフェクトを内蔵、さらにFender Bassman、Ampeg SVT、SWR SM-400、Trace Elliot AH400SMX、Aguilar DB750の5種類の定番アンプと、それぞれに対応したキャビネットをモデリングしたアンプモデルも内臓されています。これらのエフェクトは最大7個同時使用可能で、作成した音色は150個まで保存でき、定番のベースサウンドも75種類プリセットされています。
68種類のリズムパターンのリズムマシンや、最大80秒までメモリー可能なループマシンも搭載されており、個人練習やソロパフォーマンスの際に効果を発揮します。
またアプリケーション「guitar lab 3.0」を利用すると、オンライン配信される最新のエフェクトを本体に追加することができます。またアプリケーション上での音色作成や保存も可能です。
ZOOM B3n – Supernice!エフェクター
StompLab IIBには、VOXのロングセラーアイテムであるモデリングアンプ「VT+」シリーズや、マルチエフェクター「Tone Lab」シリーズのサウンドエンジンを継承したエフェクトが61種類内蔵されています。これらは7~8種類まで同時使用可能で、作成した音色は20種類までメモリーすることができます。プリセットされた音色は100種類にもなり、これらはロック・ブルース・ポップスなど10の音楽ジャンルに分類されているので、ビギナーでもイメージするサウンドを素早く探し出すことが可能です。
ここで紹介する他モデルに比べて最も安価で、ベース用マルチの入門機種としても最適です。
VOX StompLab IIB – Supernice!エフェクター
本格的なサウンドを持ちポータビリティに優れた、BOSSが誇るプロ品質のベース用マルチ「GT-1B」。90種類のエフェクトが内蔵されており、99種類の音色をメモリーできるほかプリセットメモリーも99種類用意されています。もとの操作性も非常にシンプルなうえ、ジャンルや音のイメージで音色を探すことのできるEASY SELECT機能、さらにその音色を簡単に編集できるEASY EDIT機能を備え、直感的な音作りが可能です。さらにweb上でBOSS TONE CENTRALにアクセスすると、プロベーシストが作成した即戦力のセッティングを無料でダウンロードすることができます。
BOSS GT-1B – Supernice!エフェクター
TECH21のベース用アナログアンプシミュレーター「VT Bass DI」が組み込まれたマルチエフェクターです。このVT Bass DIは Ampeg SVTをシミュレートしており、3バンドイコライザーと、高音域
強調するBITEスイッチにより幅広い音作りが可能で、さらにクリーンなサウンドから図太い歪みサウンドまでを得られます。
エフェクトは、コーラス、オクターブ、オートワウ、ファズ、コンプレッサー、ブースターを内蔵しています。ブースターの接続位置は、VT Bass Diの直前か出力の最終段階か選択できるようになっています。これは、ブーストをかけることにより歪み具合も変化させるか否かに関わってきます。
TECH21 BASS FLY RIG – Supernice!エフェクター
マルチエフェクターとは異なりますが、積極的な音作りのできるプリアンプを使うのも面白いかと思います。
オススメのベース用プリアンプ・エフェクター
いかがだったでしょうか?マルチエフェクターは操作が難しいというイメージをもった方も多いようですが、近年のものは操作性も非常に高くなっています。値段が手ごろなものも増えてきているので、積極的に利用して多彩な音作りを楽しんでみましょう。