Strandberg Boden Bass Prog 4st – Amazon
スウェーデン発「.strandberg*(ストランドバーグ)」は、エレキギターの分野で「ヘッドレス+ファンフレット+多弦+超軽量」という新しいジャンルを提唱し、大きな成功を収めました。人間工学(ergonomic)に準拠した「エルゴノミック・ギターシステム(ergonomic guitar system)」というコンセプトは数々の全く新しい設計を生み出し、演奏者の身体的なストレスを大幅に解消した全く新しいギターを作り上げたのです。そして2019年初頭、このストランドバーグが遂にベース市場に参入しました。「エレキギターで積み上げたノウハウをもとに、イチから作り上げた」というストランドバーグのベースに、今回は注目していきましょう。
.strandberg* Boden Bass Launch Teaser
エレキギターでは(イイ意味で)「変態さん御用達」のイメージも濃厚なストランドバーグ。弾きやすくて超軽量な本体、そしておいしいところがしっかり出るサウンドは、テクニカル路線からシンプルな演奏まで、幅広く使えます。
「人間工学」とはカンタンに言うと、「物体を人間の都合に合わせて設計する」という考え方です。ストランドバーグはこの人間工学にのっとり、「演奏する上で、身体にかかるストレスをいかに失くすか」を徹底的に追及しています。その中でも「重たい楽器は身体に負担がかかる」という考えから「本体の軽量化」には妥協が無く、
という、エレキギターを上回る恐ろしい軽さを実現しています。この「軽さ」には新しい「弾きやすさ」が盛り込まれ、またそれらの要素が「美しいサウンド」を得るためのポイントにもなっています。斬新なパーツ類は合理的な生産体制にも寄与しており、数々の要素が高い次元でうまく影響し合っています。
ストランドバーグ・ボデンベースは4弦と5弦で2機種ずつ、合計4モデルが第一弾としてリリースされました。まずこれらに共通する特徴をピックアップしていきましょう。
Boden Bass Original 4 Natural
ストランドバーグの全機種で採用されている「ヘッドレス・デザイン」は、1980年代にネッド・スタインバーガー博士が考案した、弦楽器に一つの支流を作った革命的な発明でした。これにはネック先端部の重量が大幅に軽減されることで「軽量なベースでヘッド側に偏りがちな重量バランスを改善しやすい」という大きなメリットがあります。
いっぽう、ヘッドは弦振動を受けることでサウンドに寄与する重要な部位です。だからここを失ったことで、サウンドが悪くなってしまうのではないかというと、そんなことはありません。ヘッドの共振が無いことでサウンドを複雑にする要素が一つなくなった、むしろ「ヘッドレス特有」と言われるスッキリとしたサウンドになります。
ヘッドにあったペグの機能はブリッジ側へ移動し、ヘッド側では弦を固定するのみとなります。ネックの先端部にはヘッドの名残といえる若干の広がりが設けてあるので、クリップチューナーを使用でき、吊り下げ型のスタンドにも掛けられ、また演奏時にはナット付近のポジションを手触りで感じられます。
ポジションを移るにつれフレットがどんどん傾いていくのが「ファンフレット」です。弦ごとのスケール(弦長)が徐々に変化する、すなわち複数の弦長が共存することから「マルチスケール」とも言われます。ボデンベースのファンフレットは7フレットが「ニュートラルポイント(フレットが弦と直交する、傾いていない地点)」で、そこから離れていくに従ってフレットの傾きが大きくなっていきます。弦長については
と設定されており、低音側がやや長め、高音に向かって徐々に短くなっています。弦長が長ければ張力は強くなり、短くなれば弱くなります。通常のフレットを打ち込んだベースでは高音弦の張力が強め、低音弦の張力はやや弱い、というのが一般的なバランスですが、ファンフレットの採用によってこのアンバランスさが解消されます。通常のベースに比べて低音弦には張りが生まれ、高音弦はラクに押さえられる、各弦の張力が均一化され、上から下まで均一なサウンドが得られ、また均一な弾き心地になる、というわけです。
フレットワイヤーにはジェスカー社のステンレス製のものが採用され、バキバキのスラップが映えるクリアな音像が得られるほか、摩耗に強くてくすみにくいので、いつもピカピカです。
今のところファンフレットの傾きに基準はなく、各社が各様の設定を採用しています。ストランドバーグにおいては「スーパーロングスケールの低音弦から、高音弦に向けて徐々に短くなっていき、G弦はロングスケールを下回る」というベースに対し、ギターでは「1弦がフェンダースケールで、低音弦に行くにしたがって伸びていく」という設定です。ギターとベースでファンフレットのコンセプトに違いがあって、面白いですね。
ストランドバーグの特徴として最も顕著なのが、台形の断面をもつネックプロフィール、その名も「エンデュアー・ネック(EndurNeck)」です。初めて触った時はかなりびっくりする感触ですが、「親指を支点にして押弦するときのネック裏は、平面の方が曲面よりストレスが少ない」という人間工学的な考えに基づいた形状で、意外なほどすぐ手に馴染みます。ある程度の厚みが残してあるのも「厚いものを掴んだ方が、薄いものより力が出やすい」という人間の手のしくみに従った設計です。さらに、厚みのピークをローポジションでは低音側、ハイポジションでは高音側へと徐々に変化させています。これは低音から高音まで、各ポジションでの理想的な押弦のフォームになりやすい形状で、世界初の斬新な握り心地ながら「演奏者ならば、弾けば分かる」と言われる演奏性を達成しています。
構造としては、ローステッド・メイプルとウォルナットの12枚重ねにカーボンファイバーの補強を内包しています。ここまでやることで「エンデュアー(苦難に耐えるの意)」の名に恥じぬ、反りやねじれに対しての尋常ではない強さを手に入れています。
ボデンベースのボディは、
といった、演奏性を重視した特徴を持っています。外形のインパクトも強く、遠く離れた場所からでもストランドバーグのベースやギターだと判別が付けられます。
木材構成については、内部をくり抜いたスワンプアッシュに4Aグレードのフレイムメイプルが貼りつけられます。スランプアッシュは硬質かつ軽量で、これにチェンバー加工を施すことで更なる軽量化がなされ、また「鳴り」に独特のエアー感が加えられ、サウンドが豊かになります。
ブリッジ、ペグなどの金属パーツ類には、航空機に使用するのと同じアルミニウムが使用されます。航空機グレードのアルミは充分すぎるとも言える「頑丈さ」に加え、空を飛べる「軽さ」を持っており、ストランドバーグの考える「軽量で機能的な楽器の部品」にはうってつけだったのです。
ヘッド側で弦を留めるパーツは、「弦を通してネジ締めで固定」というシンプルなもので、専用弦は使わず、いつもの弦をそのまま使用することができます。弦ごとに独立しているのは、各弦の分離を良くする効果もありますが、弦数の異なるパーツをいちいち作らなくて済む合理的な設計でもあります。
チューニング機能を持っている筒状のブリッジも各弦独立で、軽量かつシンプルな構造ながら、弦高調整とオクターブ調整はビシっと決まります。
ピックアップには「Nordstrand(ノードストランド)」製が採用されます。ノードストランドはキャリー・ノードストランド氏が一人で作るハイエンドベースで知られますが、手巻きピックアップのメーカーでもあります。キャリー・ノードストランド氏はベース奏者としてのキャリアもあり、メーカー勤務、果てはかのジョン・サー(Suhr Guitars)氏のもとで数年にわたりマスタービルダーを務めています。ヴィンテージサウンドを知り尽くしながら新しい設計を積極的に取り入れたピックアップは、サドウスキーやSTRなどハイエンドブランドで盛んに採用されます。
プリアンプについては、ピックアップと同じノードストランド社製の「Nordstrand 3-band Preamp」とダークグラス社の「ToneCapsule Preamp」が採用されます。どちらも現代のアクティブベースに求められる機能を持ちながら、さらに進歩した設計になっています。
STRANDBERG – BODEN BASS PROG
動画冒頭で低音側のホーンを片手で持ってひょいっと持ちあげる場面がありますが、この男性が怪力の持ち主だというわけではありません。それだけ軽いんですね。また、ピックで弾いてもスラップでも2フィンガーでも、一本芯の通った主張のあるサウンドが得られています。
では、ボデンベースのラインナップをチェックしていきましょう。まずカンタンにまとめると、標準機の「オリジナル」、プログレでの仕様を想定した「Prog」の2タイプそれぞれ4弦と5弦がリリースされる、計4モデルとなっています。
基本モデル「オリジナル」は、
を備えています。
「ゼン・ブレード」ピックアップはコイルを横たえる「サイドワインダー」スタイルで、明瞭さに優れ、ジャズ、カントリー、ロックなどさまざまなジャンルに馴染む多様性を持っています。電気系はトレブル(4kHz)、ミドル、ベース(50Hz)の15dBブースト/カットに加え、中域の周波数切り替え(1kHz / 400Hz)、ボリュームノブでアクティブ/パッシブ切り替え、トレブルカット(パッシブトーン)、バランサーを備える多機能を誇ります。
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プログレッシブ・ロックを想定した「Prog」は、
を備えています。
「ビッグ・リグ」ハムバッカー・ピックアップは、オフセット・ポールピースを特徴とするソープバータイプで、ヴィンテージトーンに敬意を払うオープンかつエレガントなサウンドが持ち味です。「トーンカプセル」プリアンプの3バンドEQは、ベース(70Hz)、ローミッド(500Hz)に加え、トレブルではなく「ハイミッド(2.8kHz)」を12dBブースト/カットさせるところに大きな個性を持っています。
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以上、「斬新」という言葉がこれ以上に合うベースはない、ストランドバーグのボデンベースをチェックしていきました。驚きの軽さと演奏性、そして美しいサウンドを、ぜひ体験してみてください。
ストランドバーグ、ヘッドレス、ファンフレットについては、こちらの記事も読んでみてください。
「.strandberg* (ストランドバーグ)」のギターについて – エレキギター博士
《ヘッドがない!》ヘッドレスギター特集 – エレキギター博士
《特集》ファンフレットのギターって、どんな感じ? – エレキギター博士
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