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ギブソン サンダーバード・ベースについて

ギブソン サンダーバード・ベース

ギブソンといえばギターのイメージが強い、という方が多いかと思います。確かにエレキギターであればレスポールやSG、アコースティックギターであればJ-45やハミングバードなど多くの名器を生み出していますので、その印象が強烈なものとなるのは当然のことでしょう。
しかし、ギブソンは非常に優秀なエレキベースメーカーでもあります。

その代表モデルがギブソンのギター、ギブソン・ファイヤーバードの姉妹機として発表されたサンダーバードでしょう。その個性的なデザインとサウンドは多くのベーシストを魅了し続けています。
残念ながらライバルであるフェンダーのプレシジョンベースや、ジャズベースのようなスタンダードになり得ることはできていません。しかし、まったく違った方向性を持ったサンダーバードでしか出すことのできないサウンド、表現することのできない個性があります。

ここではそんなサンダーバードについてお話してみましょう。

サンダーバードの特徴

ギブソン・サンダーバードは非常に多くの特徴を持っています。まずはこれらがどのようなメリット、デメリットを持っているのかを考えてみましょう。

唯一無二の特徴的なシェイプ

サンダーバード・ノンリバース・モデル ノンリバース・モデル

サンダーバードには初期に採用されていたノンリバースシェイプと呼ばれているものと、現在も使われているリバースシェイプと呼ばれているものの2種類が存在しています。
1962年の発売当初に採用されていたノンリバースシェイプは、自動車・工業デザイナーであるレイモンド・ディトリックによるものでした。まったく楽器とは関係のないジャンルのデザイナーを採用することによって、これまでとはまったく異なるシェイプが生み出されました。

この個性的なデザインは多くの支持を集めましたが、ライバル社であるフェンダーが同社のギターであるフェンダー・ジャズマスターとの類似性を訴え、裁判を起こします。(類似点は低音弦側のカッタウェイの形状と言われていますが、それほど似ているとは思えず、ギブソン側はまったく意識していませんでした。)
その結果、ギブソンはシェイプの変更を余儀なくされてしまいます。苦肉の策として考案されたのが、ボディ形状の上下を反転させたリバースシェイプでした。

サンダーバード・リバース・モデル リバース・モデル

ギブソンとしては予想外の形で変更されたデザインですが、結果としてこのリバースシェイプは高い人気を集め、現在まで採用され続けています。
その一方で、ノンリバースシェイプは製造期間の短さ(1963〜1966年)からコレクターズアイテムとして現在、かなりの高値で取引されています。

スルーネック、セットネックの採用

サンダーバードのもう一つの特徴が、スルーネックやセットネックの採用でしょう。

サンダーバード・スルーネック
スルーネック

ノンリバースシェイプでは、ネック材がボディの末端まで貫通したスルーネックという構造が採用されていました。スルーネックは他のネック接合方法よりも、より長いサスティンを得ることができ、ハイポジションのプレイアビリティを高めることができる、という大きなメリットを持っています。これが、ノンリバースサンダーバードのサウンド面、プレイアビリティ面の最大の魅力となっています。
ただ、デメリットがないわけではありません。まず、ネックにトラブルが発生した場合の修理は非常に困難です。また、製造コストがかかることから、高額になってしまう、という点も大きなデメリットと言えるでしょう。

そんなノンリバースシェイプのモデルに対して、現行品にも採用されているリバースシェイプではセットネック構造が採用されています。ボディとネックをそれぞれ別々に製造し、接着剤などで固定する、というこの構造は、多くのギターなどでも採用されているスタンダードな方法と言えるでしょう。スルーネックのようなサスティンやプレイアビリティは実現することはできませんが、トラブル時の交換も可能ですし、製造コストを下げることにも成功しました。

1969年に諸事情から一度生産が打ち切られてしまいますが、1987年に再生産がスタートしました。この再生産開始時に採用されていたのはリバースシェイプですが、ネック接合はスルーネックが採用されています。この時点で、今日のサンダーバードは完成したと言えるでしょう。現在でもこのスペックのサンダーバードは製造・販売が続いています。

2ピックアップレイアウト

一部のモデルを除いて、サンダーバードでは2ピックアップレイアウトが採用されています。それぞれ、オリジナル設計のハムバッカーが使用されており、これがサンダーバードならではの太く、重いサウンドを生み出しています。

それぞれのピックアップを個別にボリュームの調整をすることが可能ですので、フロントピックアップを中心にすればメロウな優しいサウンドを、リアピックアップを中心にすれば固めの攻撃的なサウンドを、といった形で幅広いサウンドメイクが可能となります。

サンダーバードに魅せられたベーシスト

サンダーバードは豊かな低音とルックスからロック系のミュージシャンに愛されてきました。無骨で不器用なほど太く荒々しいサウンドであり、演奏時のバランスも安定しないため、スラップや速弾きに向いているとは決して言えません。しかし、持っているだけでサマになるそのルックスとスルーネックと大きなボディが生み出す存在感抜群の低音は反骨心旺盛なロック・ベーシストたちの心を捉えるに十二分な魅力に溢れていました。

ニッキー・シックス

サンダーバードと言って真っ先に思いつくのはモトリー・クルーのニッキー・シックス。ニッキー・シックスは自身のシグネイチャー・モデルであるサンダーバード、「ブラックバード」が発売されるほどのサンダーバード愛用者であり、サンダーバード=ロックのイメージを世界に植え付けた張本人です。
ニッキー・シックスのブラックバードにはブリッジ付近に指をひっかけるフックが取り付けられており、それを利用してベースを持ち上げながら演奏するというアクション性にも優れたアイデアを取り入れています。

ジョン・エントウィッスル


サンダーバード使用ベーシストとしって、ニッキー・シックスとともに忘れてはならないのがザ・フーのジョン・エントウィッスルでしょう。サンダーバードのボディにフェンダーネックを取り付けた通称「フェンダーバード」として愛用していました。その攻撃的なプレイスタイル、サウンドは後世のベーシストに大きな影響を与えています。

ギブソン・サンダーバードはそのあまりに強烈な個性から、スタンダードモデルにはなり得ないかもしれません。しかし、このベースでしか表現することのできないサウンド、そして音楽があるはずです。

その他

ShavoBass シャヴォ・オダジアン

その他にもシステム・オブ・ア・ダウンのシャヴォ、アッシュのマーク・ハミルトン、ニルヴァーナのクリス・ノヴォゼリック、エアロスミスのトム・ハミルトンや、ミニットメンのマイク・ワットなど錚々たるベーシストたちがサンダーバードを愛用しています。

サンダーバードのラインナップ

それほど豊富ではないものの、現在でも、サンダーバードにはいくつかのファミリーがラインナップされています。それぞれ、異なる特徴や魅力を持っていますので、チェックしてみましょう。

サンダーバードⅣ

サンダーバードⅣ・ベース

現行のもっとも基本となるモデルです。リバースシェイプにスルーネック、そして2ハムバッカーピックアップというスタンダードなスペックが採用されています。
現在、サンダーバードと言えば基本的にこのモデルのことを指すことになります。
1987年の再生産開始から、このスペックは変更されることなく、守られ続けています。

サンダーバードⅣを…
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サンダーバード・スタジオ

サンダーバード・スタジオ

サンダーバードのスチューデントモデル(廉価モデル)としてスポット生産されたのがサンダーバードスタジオでした。
サンダーバードⅣではネックにウォルナットのスルーネックが採用されているのに対して、スタジオではコストを抑えるためにボディと同じマホガニー材のセットネックが採用されています。

また、スタジオならではの特徴として、近年ベースのスタンダードのひとつになりつつある5弦モデルがラインナップされている、という点が挙げられます。

サンダーバード・ノンリバースシェイプ

サンダーバード・ノンリバースシェイプ

1963年の発売当初に採用されていた、ノンリバースシェイプの復刻モデルです。形状はノンリバースとなっていますが、前述のサンダーバードスタジオと同様にマホガニー材によるセットネックが採用されているなど、完全な復刻モデルであるとは言えず、スチューデントモデルの1つとしてラインナップされています。
こちらもスポット生産ですので、現在は製造されていませんが、市場に出回っている数はそれほど少なくありません。

ニッキー・シックス・サンダーバードⅣ

ニッキー・シックス・サンダーバードⅣ

サンダーバードを長年にわたってメインベースとして使用し続けているモトリー・クルーのベーシストであるニッキー・シックスのシグネイチャーモデルです。
以前はブラックバードと呼ばれるオリジナルモデルを使用していましたが、現在では通常のサンダーバード㈿にオリジナルデザインを施した、このシグネイチャーモデルが愛用されています。