アンプには、コンボタイプとセパレートタイプという2種類があります。コンボタイプというのは、いわゆる一体型のアンプです。自宅にある個人練習用のアンプなどはおそらくこのタイプがほとんどでしょう。一方セパレートタイプは、スピーカー部分とその他の部分が分かれたタイプで、リハーサルスタジオやライブハウスのアンプはこのタイプが多いと思います。このセパレートタイプのアンプの、スピーカー部分ではない部分を「アンプヘッド」と呼びます。まさしく頭のようにスピーカーの上に置かれていることが多いですよね。このアンプヘッドには、音色を整える部分と、整えられた音を増幅する部分があり、それぞれプリアンプ、パワーアンプと呼ばれます。つまりプリアンプとパワーアンプが一体となったものがアンプヘッドであるともいえます。ちなみにセパレートタイプのアンプのスピーカー部分はキャビネットと呼ばれることもあります。
おすすめの小型真空管アンプヘッド – エレキギター博士
では、アンプヘッドを持つとどんなメリットがあるでしょうか?結論から言ってしまうと「音作りが安定する」ことに尽きます。スタジオやライブハウスに置いてあるアンプと相性が合わず、自分の望んだ音色が作れなかった経験はだれでもあるでしょう。こんなときにマイアンプヘッドを、置いてあるキャビネットと接続すれば、いつもとかなり近い感覚での音作りが可能です。エフェクタータイプのアウトボードプリアンプも同様の使い方が可能ですが、この場合はパワーアンプは置いてあるアンプのものを使う必要があり、どうしてもそのアンプの特性の影響を受けてしまいます。この意味では、アンプヘッドを持ち込む場合もキャビネットの特性は当然無視できないので、キャビネットまで持ち込むのが理想といえます。が、とくに対バンライブなどでは、セッティング等の問題でキャビネットまで持ち込むのは困難なため、アンプヘッドの持ち込みが現実的といえるでしょう。
運搬の面でも、一昔前はアンプヘッドのみでもかなり重量があり、大きいものがほとんどであったため、車が必須でした。が、近年は技術の向上により小型で高性能のアンプヘッドも増えてきたため、エフェクター感覚で電車で運ぶのも可能になっています。
アンプヘッドを選ぶ際には、どのようなポイントがあるでしょう。まずは、好みの音がすること。これは言うまでもないでしょう。アンプヘッドはベース本体と同じくらい音に影響を与えます。いろいろ試して好みの音のものを見つけてみましょう。次にサイズです。前述のように、重く持ち運びが困難なものから、軽量なものまで様々なサイズのものがあるため、サイズ的に無理のないものを選びましょう。
そして、この他にも確認すべき点があります。それはW(ワット)数です。これはアンプヘッドの出力の大きさを表す数字で、音量に影響します。数字が大きくなるほど大きな音量が出せると捉えていいでしょう。また、聴覚上同じくらいの音量でもW数の大きいヘッドで鳴らしたほうが、よりいい音色が得られます。モデルによっても音量感はかわるのであくまで目安ですが、個人練習で仕様するのであれば50Wもあれば十分でしょう。100Wあると、小さい会場でのドラムレスでのアコースティックライブなどでも活用できます。ドラムの入るバンドでは300W程度は欲しいところです。また、バンド全体のバランスを考えたときに、ベースアンプにはギターアンプの倍のW数が必要とも言われます。ちなみに、キャビネットにはモデルごとに許容入力があり、これを上回るW数のアンプヘッドを接続するとキャビネットの故障に繋がります。特に、自身のヘッドをスタジオやライブハウスのキャビネットに接続する場合はよく確認するようにしましょう。
また、Ω(オーム)の記号で表されるインピーダンスも確認しておいたほうがいいでしょう。ベースアンプに多いトランジスタやデジタルのアンプヘッドの場合、アンプヘッドのインピーダンスは接続するキャビネットのインピーダンス以下でなければいけません。と、難しく書いてしまいましたが、アンプヘッドは4Ωのものが多く、キャビネットは4Ωもしくは8Ωのものが多いです。どちらの場合も、アンプヘッドのインピーダンスがキャビネットのインピーダンス以下となっているため問題なく接続できます。ただしここで気をつけたいのが、4Ωのアンプヘッドと8Ωのキャビネットを接続すると前述の出量W数が約半分になってしまうことです。例えば4Ω300Wのアンプヘッドと8Ωのキャビネットを接続すると、実際の出力は150W程度となり音量が下がります。
可搬性に優れた小型のアンプヘッドに絞って、具体的なおすすめモデルを紹介します。
HOTONEの超小型ベース用アンプヘッド「Thunder Bass」、特徴はリーズナブルな価格とそのサイズでしょう。本体の大きさはコンパクト・エフェクターとほとんど変わらないサイズで、さらに同ブランドから出ているキャビネット「Nano Legacy Cabinet」に繋いでも、ほとんど場所を取らず省スペースでの演奏が可能です。コントロールは2ボリュームに3バンドEQを搭載、小さいながらも「ampeg SVT」シリーズを基に作られたというドライブサウンドは迫力があります。直接ヘッドフォンを繋いでヘッドフォンアンプとして使うのもいいでしょう。独特のレトロなデザインでインテリア性も高いです。
HOTONE Thunder Bassを…
Aアマゾンで探す R楽天で探す Sサウンドハウスで探す YYahoo!ショッピングで探す 石石橋楽器で探す
IBANEZの「P300H」は、2.3kgの重量で300W/4Ω・150W/8Ωの出力を持つベース用の小型アンプヘッドです。ロウ・ミドル・ハイの3バンドイコライザーの他にファットコントロールというノブが搭載されています。このノブを時計回りに回すと、低音域と高音域がブースすると同時に中音域がカットされスラップ奏法等に適したドンシャリサウンドを作り出すことができます。またリミッタースイッチも搭載されています。ここで紹介するモデルの中でも随一のリーズナブルな価格となっており、初めてのベース用アンプヘッドにもオススメのモデルです。
Ibanez P300H – Supernice!ギターアンプ
TRACE ELLIOTの小型ベース用アンプヘッド「ELF」、特筆すべきはやはりそのサイズでしょう。重さわずか730g・大きさも17×10×3cmと、手のひらにも乗るサイズ感でギグバッグどころかポケットに入れることも可能です。出力も200W/4Ω・130W/8Ωとパワフルです。ロウ・ミドル・ハイの3バンドイコライザーが搭載されています。上述のP300H同様、手に入れやすいリーズナブルな価格であり、アンプヘッド入門機種にも最適です。
TRACE ELLIOT ELF – Supernice!ギターアンプ
TC ELECTRONICの「BH250」は、1.8kgのコンパクトサイズながら250Wの出力を持ち、さらにはチューナーや「Tone Print」と呼ばれる機能まで搭載されている多機能なベース用小型アンプヘッドです。このTone Printは簡単にいうと、ユーザー自身がこのみのエフェクターを1種類、アンプヘッドへ追加できる機能です。初期状態ではコーラスのエフェクターが搭載されていますが、フランジャー/ビブラート/ドライブ/コンプレッサーなどのエフェクターをTC ELECTRONICのサイトから無料でダウンロードし、PCやスマホからBH250本体にアップロードすることが可能です。
TC ELECTRONIC BH250 – Supernice!ギターアンプ
RH450
「ベーシストを機材のセッティングから解放して、演奏に集中できることを支援する」ことをコンセプトに据えられたTC ELECTRONICのベースアンプヘッド「RH」シリーズ。小型軽量ボディに、3つのセッティングをボタンやフットスイッチで瞬時に切り替えられるメモリー機能、4バンドEQにマルチバンドコンプレッサーSpectraComp、歪みサウンドを加えるTubeTone、TweeterToneと、非常に多機能となっているのが特徴です。
TC Electronic RH450 – Supernice!ギターアンプ
TC Electronic RH750 – Supernice!ギターアンプ
PHIL JONES BASS「D-400」は、デジタルパワーアンプとアナログプリアンプのハイブリッド構成により、1.3kgと小型ながらも PHIL JONESならではのナチュラルでワイドレンジなサウンドを得られます。出力も350W/4Ωとパワフルです。LO-BASS・HI-BASS・LO-MID・HI-MID・TREBLEの5バンドイコライザーが搭載されており、幅広い音作りが可能です。シンプルながらも実践的な作りといえるでしょう。
PHIL JONES BASS D-400 – Supernice!ギターアンプ
GALLIEN-KRUEGER「MB-500」は、1.7kgと軽量ながら、500W/4Ω・350W/8Ωという脅威のハイパワーを誇ります。イコライザーはBASS・LOW-MID・HI-MID・TREBLEの4バンドとなっており、さらにドンシャリサウンドを作り出すGALLIEN-KRUEGER独自の「CONTOUR」ツマミにより多彩な音色を得ることが可能です。BOOSTコントロールと2つのマスターボリュームの組み合わせで、うねりのあるドライブサウンドが得られ、このサウンドは付属のフットスイッチによりナチュラルサウンドと切り替えが可能です。
GALLIEN-KRUEGER MB500 – Supernice!ギターアンプ
まさにサウンドの中核をなすといっていいアンプヘッドですが、近年では小型が進み容易に持ち歩くことが可能になりました。自分の楽器に加えアンプヘッドも自分のものが使えれば、サウンドの安定性は保障されたといっても過言ではないでしょう。音作りで悩んでいる方はぜひ検討してみてください。