今回はアンプについてです。アンプは、楽器から出た音が最終的に発音される重要な機材ですが、メーカーによって音やツマミの数・種類が違ったりし、使い方に悩んでいる方も多いのではないでしょうか。そこで今回はベースアンプの種類や使い方について書いていきます。
まず、アンプとはどういう言葉でしょうか?これは「amplifire(アンプリファイア)」という英単語の略で、この単語には「増幅」という意味があります。つまり、楽器から来た信号を増幅するのがアンプの本来の役割です。が、これに加え音質・音量を調整する機能や、調整・増幅された信号を最終的に音として再生するスピーカー機能を備えたものを総称してアンプと呼んでいます。
ちなみに音量を調整したり音質をコントロールするなど音を整える役割を担う部分をプリアンプ、プリアンプで整えられた音を増幅する役割を担う部分をパワーアンプと呼びます。
ベースアンプにはどのような種類のものがあるのでしょうか。詳しくみていきましょう。
ベースアンプは大きく分けて、スピーカーとプリアンプが別れた「セパレート・タイプ」、スピーカーとプリアンプが一体となった「コンボアンプ」の2種類があります。
リハーサルスタジオやライブハウスに置いてあるのはたいていこのタイプで、比較的大型なものが多いです。ヘッドアンプと呼ばれる部分と、キャビネットと呼ばれる部分に分かれています。
ヘッドアンプではプリアンプとパワーアンプの2つの機能を担います。キャビネットはいわゆるスピーカー部分で、楽器から送られてきた信号を音として再生する役割です。
スタックタイプのメリットとしては、
などが挙げられます。同程度のスペックだと後述のコンボタイプより高値になる場合が多いようです。
ヘッドアンプ部分とキャビネット部分が一体化されたのがコンボ・タイプです。ビギナー用の小型のものからセパレートタイプに匹敵するするような大きなものまで、様々な大きさのものがあります。
メリットとしては、一体化されていることによる、扱い・運搬など総合的な取り回しのよさが挙げられます。これからベースアンプを手にいれるという人は小型のコンボアンプを手にいれると良いでしょう。
真空管を用いたアンプを「チューブ・アンプ」、トランジスタを用いたアンプを「ソリッドステート・アンプ」と言い、それぞれ特徴が異なります。
電気信号が真空管により増幅されます。プリアンプとパワーアンプともに真空管を用いたものをフルチューブアンプ、プリアンプのみに真空管を用いたものをプリチューブアンプと呼びます。太く暖かい音色が特徴です。真空管はデリケートな扱いが必要で、寿命があるため交換が必要になってきます。
電気信号がトランジスタにより増幅されます。硬めのクリアなサウンドが特徴です。トランジスタには基本的には寿命がなく、真空管に比べメンテナンス等の手間は少なくなります。
エフェクターなど他の機材とも共通しますが、エレキベースとエレキギターは基本的には同じ構造なので、ギターアンプにベースを繋いでも音は出ます。ただ、ベースらしいいい音は出にくいでしょう。これは簡単な理由で、ギターアンプはベースの低音を再生しやすい作りになっていないからです。鳴らした瞬間に壊れたりすることはないと思いますが、やはりアンプにも負担になるのでベースの音を出すときはベースアンプを使うようにしましょう。
ギターアンプの種類と選び方 – エレキギター博士
逆にベースアンプをギターに使うというケースはいくつか見られます。1952年に登場したフェンダーの名機BASSMANは、多くの著名なギタリストにこぞって愛用されましたが、元々はベースアンプとして開発されたものです。
アンプには、ボリュームなど様々なツマミが付いています。これらはアンプのメーカーなどにより表記や使い方が変わるのですが、比較的多く見られるものの使い方など解説していきます。
Volumeツマミは、1つしか付いていないものとインプットボリューム・アウトプットボリュームの2つあるものがあります。小型のコンボアンプは1つ、大型のものやセパレートタイプのアンプは2つのものが多いです。
1つのものは単純にボリューム調整のツマミとして使ってもらえれば問題ないです。
2つものは、インプットボリュームが楽器から送られてきた信号をアンプにどれくらいどれくらい入力するのか、アウトプットボリュームがアンプからの音をどれくらい出力してスピーカーを鳴らすのか、という機能のツマミだと思ってもらえるといいと思います。インプットボリュームを歪まない程度に上げて、最終的な音量をアウトプットボリュームで調整という使い方をするとドライブ感のある元気な音になることが多いようです。
ちなみに、インプットボリュームをゲイン(GAIN)、アウトプットボリュームを単にボリュームと表記してあるアンプもあります。
イコラーザーとは高音域・低音域など音域ごとのブースト・カットをする機能のことをいいます。ツマミを時計回りに回すと対応する音域がブーストされ、反時計回りではカットされます。この調整により楽器全体の音色が変わってきます。
ツマミの数もアンプにより異なりますが、少なくとも低音(bassやlow)・中音(middleやmid)・高音(highやtreble)の3つのツマミが付くものがほとんどです。さらに中音域をlow midとhigh midの2つに分けたものや、presenceまたはbrightなどと表記される、高音域よりさらに上の音域の調整ができるものもあります。ちなみに調整できる音域の数はバンドという単位で表されます。
これらを調整するときに大事なのが、まずはツマミをブーストもカットもされていないフラットな位置に調整することです。この状態が自身の楽器をアンプに繋いだときの一番自然な音色となります。そして、ここから不要な音域をカット、もう少し欲しい音域をブーストという具合で調整していくんです。例えば、フラットな状態でこもった音に感じたら低音をカット、ゴリゴリした音にしたければ中音をブーストという感じです。
ちなみにイコライザーのツマミは、真上を指したいわゆる12時の位置でフラットになる場合がほとんどですが、特にpresenceのツマミなどは、反時計回りに回しきった状態がフラットになる場合もあるので気をつけましょう。
AMPEG SVT-3PROに搭載される10バンドEQ
また、とくに大型のアンプにはグラフィックイコライザーと呼ばれる、10バンドほどに分かれた細かい調整のできるイコライザーが付いているものもあります。こちらも使い方は同じです。
通常のイコライザーとグラフィックイコラーザーの両方が付いているアンプでは、まず通常のイコラーザーで大まかな音を作り(このときグラフィックイコラーザーのほうは必ずフラットにしておきます)、グラフィックイコライザーで細かい調整をするようにすると音が作りやすいです。
楽器のインプット(入力口)が複数あるアンプもあります。これはベース本体がアクティブかパッシブかによって使い分けるもので、アクティブ・パッシブと書いてあればわかりやすいですが、high・lowとあったり0db・-15dbと書いてあるものもあります。この場合、以下のように繋いでおくとよいでしょう。
この他にも、音の粒を揃えるコンプレッサーや、音を歪ませるディストーション・オーバードライブなどの機能がつくアンプもあります。
リハーサルスタジオやライブハウスに常設されることの多いベース用アンプを紹介します。
AMPEG SVT-3PRO
古くからベーシストに愛される定番中の定番で、とても多くのスタジオに置いてあるアンプです。中でもヘッド部分は「SVT‐3PRO」という機種が広く使われているようです。こちらはプリアンプ部分に計5本の真空管が使われたプリチューブアンプになっており、ロック等に合うドライブ感のある音が特徴です。EQはbass・middle・trebleの3バンドのパラメトリック・イコライザーに加え9バンドのグラフィック・イコライザーも付いていて、多種多様なセッティングが可能です。さらに、3バンドイコライザーのうちmidとして扱われる音域は、frequencyというツマミによって5種類の中から選択可能です。
AMPEG SVT-3PRO – Supernice!ギターアンプ
ampegのアンプはローリングストーンズのメンバーににも長年愛用されてきました。この動画でもベースアンプにはampegが使われているの確認できますね。ちなみに現在ストーンズでベースを弾いているのはダリル・ジョーンズというベーシスト。ジャズ・フュージョンのセッションベーシストとしても有名です。
Hartke HA3500
アルミを用いたスピーカーコーンが印象的なアンプです。リハスタでは「HA3500」というヘッドがよく使われています。プリアンプは真空管とトランジスタそれぞれを使ったものが両方搭載されており、好きな割合でブレンドすることが可能です。EQは10バンドのグラフィックイコラーザーになっており、さらにLOW PASS CONTOURとHIGH PASS CONTOURという2つのツマミがありますが、これらもLOW・HIGHそれぞれに対応したイコライザーと捉えてしまっていいでしょう。そしてコンプレッサーも搭載されています。アルミコーンスピーカーの特性も相まって、スラップ奏法等に相性のよさそうなモダンなサウンドになっています。
HARTKE HA3500 – Supernice!ギターアンプ
ベースはビクター・ウッテン。彼の演奏のレンジの広さやスピーディーさには、hartkeのアルミコーンスピーカーのレスポンスのよさが最適なのでしょう。
自宅での練習に適したアンプとはどんなものでしょうか?まずは、やはりサイズが重要ですよね。そしてヘッドフォンが繋げることもポイントになると思います。いくら小さい音でもベースの低音は思った以上に響きます。夜間の練習等の時はヘッドフォンでの練習がいいと思います。さらに、特にヘッドフォンでの練習のときに役に立つのが「AUX IN」などと呼ばれる、ベース以外の外部音源を繋ぐ端子です。これにパソコンやメトロノーム、iPodなどを繋げば、スピーカーやヘッドフォンからこれらの音も同時に再生されるんです。
このような機能を備えたものの中でも特にお勧めのものをいくつか紹介してみます。
VOX「Pathfinder Bass 10」は5,000円前後という極めてリーズナブルな価格を実現し、初めてのベースアンプにも最適なベース用コンボアンプです。老舗アンプブランドVOXの伝統的なルックスに、5インチ・スピーカーを2基搭載した10W仕様で、自宅練習には十分な迫力あるベースサウンドを鳴らすことができます。ベースサウンドを切り替えるブライトスイッチを搭載、ヘッドフォン端子を搭載し夜間のベース練習にも対応します。
VOX Pathfinder Bass 10 – Supernice!ギターアンプ
「Pathfinder Bass 10」に次いでリーズナブルなベース用コンボアンプが。Blackstar「FLY 3 BASS MINI AMP」です。こちらはクリーントーンとオーバードライブを切り替えるODスイッチを搭載、2チャンネルのアンプのように扱うことができます。ヘッドフォン端子を搭載、電池でも動作し、気軽に持ち運んでベースを練習することができます。とにかく予算を抑えて手に入れたいという人にもオススメです。
Blackstar FLY 3 BASS MINI AMP – Supernice!ギターアンプ
自宅用でもampegはやはり定番です。「BA-108 V2」は小型の8インチスピーカーですが低音がよく出るので、小さい音量でも迫力のあるサウンドが得られるベース用コンボアンプです。そしてボディーの側面が斜めにカットされており、ここを底面になるように置くとスピーカー面が斜めを向くようになり音が聴きやすくなります。コントロールは1ボリューム・3バンドEQとなっています。自宅練習用のベースアンプを探している方は、まずはこのモデルから試してみると良いでしょう。
AMPEG BA-108 V2 – Supernice!ギターアンプ
HARTKEは、ジャコ・パストリアス氏をはじめとする偉大なるベースプレイヤー達が愛用したことでも知られるベースアンプ・メーカーです。「HD15」は出力15W、「HD25」は出力25W、共に初心者のはじめての1台に適したベースコンボです、小型軽量ながらタイトでパワフルなサウンドで、低音域までしっかりと出力してくれるので、自宅でのベース練習はもちろん小規模のライブハウスにまで対応することができます。
本モデル最大の特徴は、スピーカーの中心にはアルミニウム製のコーンを、外周に紙製のコーンを使用していることです。外周のペーパーコーンが温かみのある低音を再生し、内側にあるアルミニウムがクリアな中音〜高音を再生することで、輪郭がハッキリとした力強いサウンドになります。このような特殊構造のスピーカーは「ハイブリットスピーカー」と呼ばれ、同社は特許を出願しています。
HARTKE HD15
HARTKE HD25 – Supernice!ギターアンプ
ORANGEの「Crush 25BX」は小型軽量ながら外部オーディオ入力/ヘッドフォン出力/ライン出力を搭載し、練習用アンプとして最適なベース用コンボアンプです。オレンジ色のボディが可愛らしい印象を与えますが、オシャレな外観とは裏腹に、ローミッドの効いた芯のあるサウンドを鳴らすことが可能です。定格出力は「25W」であり、自宅では十分すぎるほどの音量を確保できます。
ORANGE Crush 25BX – Supernice!ギターアンプ
小型で高性能なアンプを多く出しているphill jonesですが、double fourは中でも最も小さいサイズのベースアンプです。低音から高音までバランスのいいナチュラルな音が特徴で、このためウッドベースととも好相性です。カラーバリエーションも豊富なので、部屋の雰囲気に合わせて気に入った色を選ぶのもいいのではないかと思います。コントロールは2ボリューム・3バンドイコラーザーとなっています。
double fourを…
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このアンプの特筆すべきところはその多機能さでしょう。各辺とも30cmにも満たない大きさですが、コンプレッサー・コーラス・フランジャー・ワウ・ディレイ・リバーブの各エフェクト、チューナー、リズムマシン、さらに様々な定番アンプをシミュレートした切り替えスイッチまで搭載されており、電池(単3×6本)による駆動も可能と、まさにこれさえあればどこでも練習が可能です。コントロールは2ボリューム・3バンドイコラーザーとなっています。
ROLAND MICRO CUBE BASS RXを…
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VX50 BAは、親指大ほどの極小・長寿命・省電力の真空管「Nutube」を搭載した新世代のベース用コンボアンプ。マスターボリューム、ゲイン、4バンドEQ、コンプ、ドライブなど、コンパクトながら多彩なコントロールを装備し、真空管アンプならではの暖かみのある豊かなサウンドが得られると共に、多彩なサウンドメイキングにも対応しています。本物の真空管サウンドが得られながらも、メンテナンスフリーというのは大きなアドバンテージでしょう。外部入力端子、ヘッドフォン端子を装備し、夜間のベース練習や外部音源を繋いでのジャムセッションにも対応します。
VOX VX50シリーズ – Supernice!ギターアンプ
2004年からスタートしたフェンダーのポータブルなベース専用アンプ「Rumble」シリーズ。2014年のリニューアルでは5種類のコンボアンプ/2種類のアンプヘッド/4種類のキャビネットと豊富なラインナップを用意、2018年のリニューアルではWifi搭載の2種類のコンボアンプと、時代に合わせてアップデートを繰り返しています。
小型コンボアンプは2014年発売の「RUMBLE 15」、「RUMBLE 25」2機種。いずれもリーズナブルな価格で手に入れることができ、AUXインプット/ヘッドフォン端子を搭載しているので自宅練習にも適しています。
Fender Rumbleシリーズ – Supernice!ギターアンプ
ハイエンド機材に定評のあるTC ELECTRONICから「BG250-115」というベース用コンボアンプが発売されています。定格出力は「250W」であり、15インチスピーカーを積載しています。本体の重量も「16.6kg」とコンボアンプとしては軽量であり、練習スタジオからライブハウスまで、どこへでも持ち運ぶことが可能です。
最大の特徴は、同社お馴染みの「Tone Print」に対応していることです。パソコンやスマートフォンを使って様々なプリセットをアンプ本体にアップロードし、自由に使用することができます。これにより、最前線で活躍しているプロベーシストのサウンドを簡単に手に入れることができます。TC独自の機能を搭載した画期的なベースアンプと言えます。
TC ELECTRONIC BG250 – Supernice!ギターアンプ
アンプヘッドを持つメリットは「音作りが安定する」ことに尽きるでしょう。スタジオやライブハウスに置いてあるアンプと相性が合わず、自分の望んだ音色が作れなかった経験はだれでもあるでしょう。こんなときにマイアンプヘッドを、置いてあるキャビネットと接続すれば、いつもとかなり近い感覚での音作りが可能です。次のページでは、可搬性に優れた小型のアンプヘッドに絞って、具体的なおすすめモデルを紹介します。
いかがだったでしょうか?アンプを使いこなすには知識と同時に慣れも必要です。スタジオなどでいろいろなアンプを積極的に使い慣れていくと、音作りも早くなってくると思います。
おすすめのベース用アンプ – SuperNice!ギターアンプ