スティング(Police)

スティング Sting「The Last Ship」

1951年10月2日 イギリス ニューカッスル・アポン・タイン出身
スティングことゴードン・マシュー・トーマス・サムナーは、ポリスのベーシスト兼ヴォーカリスト。
学生時代にビッグ・バンドやジャズ・ロック・バンドでプレイしており、その活動の中でスチュアート・コープラント(Dr)、ヘンリー・パドゥバーニ(Gu)と出会いポリスを結成。その後アンディ・サマーズ(Gu)も合流し4人編成となったが程なくしてヘンリーが脱退、3人編成となり、黄金のトリオとして数々の名曲・名演を生み出していく。

【使用ベース】 : Spector NS-2 , 1957 Fender Precision bass 他
【所属バンド】 : Police

Biography

ポリス(Police)

 1978年「アウトランドス・ダムール」でデビュー。シングル・カットされた名曲「ロクサーヌ」ではミニマルで音数をそぎ落としつつも最大限に自身の歌を活かすプレイを聴かせている。この歌を引き立てつつ曲にグルーヴや疾走感をもたらすシンプルなプレイこそスティングの真骨頂であり、以降アルバムごとにそのスタイルは研ぎすまされていく。続くセカンド・アルバム「白いレガッタ」に収録された「孤独のメッセージ」におけるスティング&スチュアートのレゲエ~パンク~ロックを行き来するようなリズム、曲を通して体感できるドライヴ感は、ポリスが他のロック・バンドと違うインテリジェンスな感性とそれを表現しうる実力を兼ね備えた音楽集団であることを示していた。アルバム「ゼニヤッタ・モンダッタ」「ゴースト・イン・ザ・マシーン」を発表した後、ポリスは最後のスタジオ・アルバムとなる「シンクロニシティー」を発表。スティングの無駄のない的確なポイントに音を差し込むフレージングが全編に渡って冴え渡る。ちなみに言うまでもなくスティングはヴォーカリストとしても超一流であり、すべてのアルバムで素晴らしい歌を聴かせてくれる。この歌心こそが最高の歌伴ベースを生み出せる秘密なのかもしれない。

ソロ

 ポリス活動停止後、ジャズ・ミュージシャンを集め、「ブルー・タートルの夢」を発表。このアルバムではベースにダリル・ジョーンズを起用し、自身はギターをプレイしている。大ヒット曲「イングリッシュマン・イン・ニューヨーク」を収録したアルバム「ナッシング・ライク・ザ・サン」では再びベースを手にしており、以降積極的にアルバムを発表している。また、ソロ活動期あたりから積極的にサム・ピッキングを多用するようになり、今ではスティングのトレード・マークのようになっている。


Sting – Englishman In New York

ポリス再結成

 2007年、結成30周年を記念してポリスを再結成。アンディ・サマーズ、スチュアート・コープラントとの「黄金のトライアングル」は時を経てなお色褪せない輝きとソリッドなグルーヴを生み出し、世界中を熱狂させた。

使用機材

spector-ns2 Spector NS-2

 ポリス時代ぼベースはスペクターNS-2を愛用。フランジャーコーラスといった空間系エフェクトを深めにかけたサウンドを効果的に使用していた。レコーディングではフェンダー・ジャズ・ベースやフレットレスもプレイしている。ピッキングは指・ピックを使い分け、前述のようにソロになってからはサム・ピッキングがメイン。近年愛用しているのはフェンダー・テレキャスター・ベース。シグネイチャー・モデル「Sting P-Bass」も市販されている。

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プレイスタイル

スティングのベースプレイは、音数を抑え「間」をいかしたプレイが特徴といえるだろう。休符の入れ方が巧みで、まさに「休符は弾かない音符」というイメージのプレイだ。これはレゲエのベースに影響を受けていると考えられる。実際ポリスの音楽はホワイト・レゲエと呼ばれていたり、近年レゲエアーティスト「シャギー」とのコラボレーションアルバムを制作するなど、スティングとレゲエとの関わりが深いのは明らかだ。またポリス結成以前はジャズを演奏していたこともあり、ジャズの影響も感じられ、アップライトベースを演奏するシーンも時折見受けられる。
余談ではあるが、ソロ活動以後のスティングは、自らはベースを弾かず他のベーシストをバンドに招き入れることも多い。この中にはダリル・ジョーンズやクリスチャン・マクブライドなどジャズ・フュージョン界のビッグネームも名を連ねており、これもベーシストとしては必聴といえるだろう。ダリル・ジョーンズのプレイは「Bring On the Night」、クリスチャン・マクブライドのプレイは「All This Time」などのアルバムで聴くことができる。

具体的な奏法では、とくにソロ活動以後に多用しているサム・ピッキング(親指によるピッキング)が特徴的だ。この奏法は、太い音色が得られるメリットがあるが、2フィンガーに比べ速いフレーズに対応しにくいというデメリットがある。が、前述のように休符を生かし音数を抑えたスティングのプレイにはあまり速いフレーズは出てこないため、この奏法がうってつけであるといえる。


Sting – Seven Days
1993年の5thソロアルバム「Ten Summoner’s Tales」に収録された楽曲。5/8という変拍子のリズムで、隙間を生かしたベースラインを聴くことができる。また、この楽曲もサム・ピッキングでプレイされていることが確認できる。

名盤:シンクロニシティー

 ポリスの最後のスタジオ・アルバムにして最高傑作の呼び声も高い名盤。「オー・マイ・ゴッド」における空間系サウンド、「キング・オブ・ペイン」のミニマムにして最大限のグルーヴを生み出すセンスや、全編に渡ってスティングの歌に寄り添うようなライン作りは、ベーシスト的にも聴きどころが多い。「シンクロニシティーI」及び「シンクロニシティーII」はぜひとも聴いてほしい名曲。かの有名な「見つめていたい」も収録、こちらも必聴。