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ポール・マッカートニー

【本名】ジェームズ・ポール・マッカートニー
【生年月日】1942年6月18日
【出身地】イングランド
【使用ベース】 : hofner、Rickenbacker、Fender Jazz Bass
【所属バンド】 : The Beatles

解散してもなお世界中の音楽好きを魅了し続け、フォロワーを増やし続けているザ・ビートルズのベーシスト・ヴォーカリストにして希代のソングライター、ポール・マッカートニー。ジョン・レノン(Gu&Vo)とのソング・ライティング・チームは数々の名曲を生み出し、ロックの可能性を大きく押し進めた。そんな中で「ロック・バンドにおけるベースの在り方」を定義付けたのは、このポール・マッカートニーだと言っても過言ではない。時にドライヴするようなラインで曲を牽引し、時に裏メロでヴォーカルに対するカウンターを入れるなど、見事としか言いようのない歌伴ベースの名演を数えきれないほど生み出してきたレジェンドの足跡を追ってみよう。

ポールマッカートニーの軌跡

プリーズ・プリーズ・ミー~ウィズ・ザ・ビートルズ

please-please-me Please Please Me のシングル・アートワーク

ジョンを中心としたザ・ビートルズの前身バンド「クオリーメン」での活動を経てシングル「ラヴ・ミー・ドゥ」でデビューしたザ・ビートルズは、続いてリリースされたシングル「プリーズ・プリーズ・ミー」の大ヒットにより早くもイギリスで人気バンドの仲間入りを果たす。満を持して発表された1stアルバム「プリーズ・プリーズ・ミー」で驚異的な成功をおさめたザ・ビートルズ。トップ・ノーツのカバー曲「ツイスト・アンド・シャウト」を聴けば、ポールのベースを歌わせるライン作りはデビュー・アルバムの時点で完成していたことがよく分かる。続く2ndアルバム「ウィズ・ザ・ビートルズ」収録の「オール・アイヴ・ゴット・トゥ・ドゥ」では当時では珍しかったベースにおけるコード弾きを取り入れるなどベーシストとして革新的な一面も覗かせている。

ハード・デイズ・ナイト~ヘルプ!

3rdアルバム「ハード・デイズ・ナイト」は日本では「ビートルズがやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!」のタイトルでお馴染みの映画「ハード・デイズ・ナイト」のサントラとして制作された。「すてきなダンス」でのヴォーカルに寄り添うようなメロディ、「キャント・バイ・ミー・ラヴ」でのグルーヴ感溢れるベース・ラインなど歌心満載のプレイが存分に楽しめる。4thアルバム「ビートルズ・フォー・セール」の冒頭を飾る「ノー・リプライ」、続く「アイム・ア・ルーザー」の叙情的な流れはあまりにも美しく、レノン・マッカートニーのソング・ライティングの素晴らしさを改めて感じさせてくれる。「アイム・ア・ルーザー」でのポールのウォーキング・ベースもベーシストとしては聴き逃す訳にはいかないだろう。5thアルバムであると同時に映画「ヘルプ!4人はアイドル」のサントラとなった「ヘルプ!」、タイトル曲となった「ヘルプ!」は説明不要なほど有名な曲(と言ってもビートルズはほとんどの曲がそうとも言えるが…)であるが、いつまでも色褪せないコーラス・ワークは今だに世界中の人々を心躍らせている。名バラード「イエスタデイ」はこのアルバムに収録されている。

ラバー・ソウル~リボルバー

rubber-soul the beatles rubber soul

6thアルバムとなる「ラバー・ソウル」からビートルズは一気に音楽性の幅を広げ始める。レコーディング手法の工夫や、シタールなど新たな楽器の導入やサイケデリックな雰囲気を作品に取り入れるなど、よりアーティスティックな方向にシフトしていった。「嘘つき女」ではファズで激しく歪ませたポールのベースを聴くことが出来る。「イン・マイ・ライフ」の美しさは感涙もの。
7th「リボルバー」はよりサイケデリックな音楽性にシフトしていくアルバムであり、ビートルズの革新的な側面を味わえる作品である。「タックス・マン」のダンサブルなリフに時折差し込まれるスピーディなフィルでは、ポールのテクニカルな一面を確認できる。「トゥモロー・ネバー・ノウズ」の呪術的ともいえるグルーヴ感は現代のエレクトロニック・ミュージックにも通ずるものがある。ここで聴けるポールのシンプルながらグルーヴの中心になって曲を牽引するポールのプレイは必聴である。

サージェント・ペパーズ・ロンリーハーツ・クラブ・バンド~ホワイト・アルバム

sgt-peppers Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band

8thアルバムは架空のバンド「サージェント・ペパーズ・ロンリーハーツ・クラブ・バンド」のショウという設定で制作された世界初のコンセプト・アルバムとなる8th「サージェント・ペパーズ・ロンリーハーツ・クラブ・バンド」。アルバム・タイトルともなった1曲目では激しいリフとランニング・ベースで曲を牽引し、「ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンド」の流れるようなベース・ラインは美しいヴォーカル・メロディを引き立てるなど、バンドの創造力の深化に伴ってポールのプレイも一層冴え渡っている。続いて発表されたのがビートルズ唯一の2枚組アルバム「ザ・ビートルズ」。通称「ホワイト・アルバム」としてファンに親しまれているこの作品は「バック・イン・ザ・U.S.S.R」や「オブ・ラ・ディ、オブ・ラ・ダ」「ヘルター・スケルター」など名曲揃い。ポールのベース・プレイも存分なボリュームで味わえる作品である。


The Beatles – Hello, Goodbye

イエロー・サブマリン~レット・イット・ビー

let-it-be the beatles let it be

アニメ映画のサントラとして制作された「イエロー・サブマリン」には、タイトル曲の「イエロー・サブマリン」や「愛こそすべて」を収録。そして新作「ゲット・バック」の制作にとりかかるも制作は難航。その後改めてバンドの終焉を見据えながら制作されたとされる「アビイ・ロード」が制作された。冒頭を飾るのは数々のミュージシャンに
カバーされた「カム・トゥギャザー」。ポールの繰り出す一度聴いたら忘れられない印象的なリフが、曲全体のヒリヒリとした空気感を生み出している。ベーシストなら一度はコピーしたくなる名リフである。その後前述した「ゲット・バック」のセッションをプロデューサーであるフィル・スペクターが完成させたのが「レット・イット・ビー」である。


Paul McCartney ‘Get Back’ (with Brittany Howard from Lollapalooza 2015)

ビートルズ解散~ウイングス

1970年のビートルズを解散後、ソロ活動を始めたポールは2枚のアルバムを発表した後に、妻であるリンダ・マッカートニーと共にウイングスを結成。映画「007 死ぬのはやつらだ」の主題歌となった「リヴ・アンド・レット・ダイ」やアルバム「バンド・オン・ザ・ラン」など数々の名演を残した。ウイングスの活動は1981年まで続き、解散後もソロ・アーティストとして精力的に活動を続けている。


Paul McCartney & Wings – Band On The Run

使用機材

hofner-500-1

ポールと言えばhofner 500-1があまりにも有名。ヴァイオリン型のボディが目を引く、甘く太いトーンが特徴的なベース。その他にもRickenbacker、Fender Jazz Bassなどを使用。アンプはVOXのAC-100などを使用していたようである。ちなみにポールは左利きであるため、言うまでもなくベースはレフティ・モデルである。

カールヘフナー(Karl Höfner)のギターについて

プレイスタイル

ポールのベースの特徴は、ベースラインがメロディアスなことに尽きるだろう。これは、ベースを弾くときもいわゆる手癖で演奏せず、まずは頭の中で浮かんだベースラインをメロディーとして思い浮かべ、それを楽器で再現するという、ボーカリスト的な思考で演奏していたためと考えられる。ボーカリスト・メロディメーカーとしても、いうまでもなく超一流のポールならではの感覚といえるだろう。
ビートルズ時代に焦点を当てて、年代ごとのポールのベースラインをさらに詳しく見ていこう。

初期

初期のビートルズは、当時流行していたロックンロールを演奏するバンドとしてデビューし、アルバムの半数近くはカバーの楽曲が収録されていた。ポールのベースもロックンロールベースの定番ラインをなぞったものや、シンプルなルート弾きのラインが多い。が、その中でも2ndアルバム「With the Beatles」に収録された「All My Loving」ではポールらしいベースラインが聴ける。この曲のラインは四分音符でコードトーンやスケールトーンを弾く、いわゆるジャズのウォーキングベースと同じ手法で作られており、メロディアスなラインになっているのと同時に、前に進んでいくような独特のノリを曲に与えている。


All My Loving – Ed Sullivan
1分にも満たない動画だが、転がるように前へ進んでいくフィーリングをぜひ体感して欲しい。

中期

1965年の6thアルバム「Rubber Soul」あたりからビートルズのサウンドは明らかに変化し始め、ポールのベースラインも個性的なものが多くなってくる。同アルバムでは8ビートのリズムに乗せてウォーキングベースのような音選びをしている「No Where Man」や、イントロの1音目からルート音以外の音を弾き、その後も独特の太いトーンでまるでチェロのようなメロディアスなベースラインを展開する「michelle」などが印象的だ。

続く7thアルバム「Revolver」では1曲目の「Tax Man」のイントロから印象的なポールのベースリフが聴ける。このリフはルート・オクターブ・4度・5度・7度というとてもシンプルな音使いだが、思わず歌いたくなってしまうほどインパクトがあり、楽曲の顔になっているといっても過言ではないだろう。Bメロ部分のベースラインも16分音符を交えたテクニカルなものになっており、ポールの技術の高さがうかがえる。また「Rain」でのハンマリングを多用したうねるようなベースラインも印象的だ。この曲もイントロのリフが耳に残るが、「Tax Man」のリフとほぼ同じ音使いになっている点が興味深い。


The Beatles – Rain
ハンマリングを多用した自由に動くラインで曲にうねりを与えている。リンゴのタム回しも独特で、この2人のリズムセクションにしか出せないグルーヴといえるだろう。

世界初のコンセプトアルバムとして知られている8thアルバム「Sgt Pepper’s Lonely Hearts Club Band」では、「With a Little Help from My Friend」のベースが必聴だろう。ベーシックなルートや5度にスライドにより6度や9度の音を交える音使いで、非常に明るいイメージのベースラインとなっている。さらに比較的高めの音域を選択していることにより、いい意味での軽さが生まれていることも、ポップな曲調にとてもマッチしている。

後期

後期のポールのベースラインの中で出色のものといえば、ともに12thアルバム「Abbey Road」に収録された「Come Together」と「Something」だろう。どちらもポールのベストプレイとして挙がるほど評価の高い演奏である。ちなみにこの2曲は、両A面のシングル盤として発売されており、アルバムでも冒頭1・2曲目に収録されている。
「Come Together」は「Tax Man」同様リフが印象的な楽曲で、音使いはコードトーンのルート・マイナー3度・5度のみだが、これらの音を絶妙なスライドで繋ぐことにより独特のサイケデリックな雰囲気を醸し出す素晴らしいフレーズとなっている。ロック史に残る名リフといっても過言ではないだろう。


The Beatles – Come Together
冒頭から聴けるポールのリフがとても印象的でブルージーなメロディと相まって独特のスモーキーな雰囲気を作り上げている。この楽曲を歌うとき、メロディではなくベースラインを歌ってしまう方も多いのではないだろうか。

「Something」は「Come Together」と対照的に繰り返しのフレーズはほとんど聴けず、自由に動き回るベースラインとなっている。音数は非常に多いが、うるさくはなく(作曲者のジョージは「ベースが弾きすぎる」と指摘したというエピソードも残っているが)、曲の第2のメロディともいえるような美しいベースラインとなっている。まさにベースラインをメロディとして捉えた結果に生まれたフレーズといえるだろう。


The Beatles – Something
ポールのベースプレイはジェームス・ジェマーソンからの影響を受けているといわれているが、この曲のベースラインはそれが特に強く感じられるラインとなっている。もう少し16分音符のシンコペーションを増やすと、まるでモータウンのベースラインのようになるだろう。

ポールマッカートニーの音源を…

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