【本名】パトリック・ジョン・バジャー
【生年月日】1697年7月22日
【出身地】アメリカ、ボストン
【使用ベース】 : Washburn
【所属バンド】 : エクストリーム
泣く子も黙る天才ギタリスト、ヌーノ・ベッテンコートを擁するハード・ロック/ファンク・メタル・バンドとして90年代に一世を風靡したエクストリーム。その屋台骨を支え続けたのがパット・バジャーである。
当時ギター・キッズ達を興奮の渦に巻き込んだヌーノの超絶テクニックや、後にヴァン・ヘイレンに加入したヴォーカリストのゲイリー・シェロンにばかり注目が集まりがちなエクストリームであるが、そのボトムを担うパットのベース・プレイは超一流。ギタリストが有名すぎるために過小評価されている感があるが、ヌーノのテクニカルなリフに難なくユニゾンでついていくそのテクニックはまさに職人。
卓越したテクニックと美しいコーラス・ワークでバンドの骨格を生み出していた影のテクニシャン、パット・バジャーの足跡を追ってみたい。
エクストリーム
1st.アルバム「エクストリーム」
ゲイリーとドラムのポール・ギアリーがヌーノを誘いエクストリームを結成。最後のピースとして加入したのがギター・ショップで働いていたパットである。鉄壁の布陣が揃ったエクストリームは89年に1st「エクストリーム」でデビュー。その後の2枚に比べると音が軽く感じられるものの、楽曲のキャッチーさはズバ抜けている。「キッド・イーゴ」や「チィーチャーズ・ペット」などギターに絡むリフでのパットのベース巧者っぷりも随所に伺える。さほど名前が挙がらないように思えるが「プレイ・ウィズ・ミー」はバンド屈指の名曲である。
ポルノグラフィティ
エクストリームの最高傑作に挙げるファンも多い2ndアルバム。収録内容も大ヒット曲「モア・ザン・ワーズ」や「ゲット・ザ・ファンク・アウト」など名曲揃い。「ゲット・ザ・ファンク・アウト」での曲を牽引するグルーヴィなリフや、「イッツ・ア・モンスター」でのヌーノとのユニゾンをバシバシ決める様はいつ聴いてもスカッとさせてくれる。冒頭の「デカダンス・ダンス」では、ユニゾンにルート弾きを織り交ぜながらハードかつファンキーなプレイを支えるベース・ラインを構築している。
スリー・サイズ・トゥ・エヴリ・ストーリー
バンド初のコンセプト・アルバムとして制作された3rdアルバムであり、最も情報量の多い大作でもある。3部構成で「ユアーズ」「マイン」「トゥルース」という物事の3つの視点を描く壮大な内容となっており、最終章の「トゥルース」に向かって曲が展開されていく。「カラー・ミー・ブラインド」では単音でのシンプルなリフで重厚なノリを生み出し、「キューピッズ・デッド」では2分以上に及ぶヌーノのファンキーなリフに難なくユニゾンしてみせるテクニックを披露。全編に渡ってコーラスでも活躍を見せており、バンドにとって欠かせない存在であることを示している。
ウェイティング・フォー・パンチライン
前3作に比べバンドの生々しさが全編に押し出された作風で音像がシンプルになっており、結果としてベースの存在感がより際立つアルバムになっている。ヌーノのギターが隙間を活かすスタイルに寄ったためにパットのベース・リフがグルーヴの中心になっている。「ノー・リスペクト」でのスピーディなリフ、ギター・ソロでのセンス抜群のバッキングはベーシストなら一度は弾いてみたくなる爽快感に満ちている。「ゼア・イズ・ノー・ゴッド」「ヒップ・トゥデイ」「シャドウ・ボクシング」などバンドの新機軸となる楽曲も多数収録されており今後の展開に期待がかかる作品であったが、ヌーノはこのアルバムを最後に脱退、ゲイリーはヴァン・ヘイレンに加入しバンドは自然消滅。以降07年の再結成発表まで活動停止となる。ちなみにこのアルバムではドラムがマイク・マンジーニに交代している。
サウダージ・デ・ロック
07年に再結成を正式アナウンスしたエクストリームが08年に発表した5thアルバム。ソロ活動を経たヌーノ、ヴァン・ヘイレンでフロントマンとしてのスキル・アップを果たしたゲイリーのプレイは更なる深みを増し、パットのベースもそれに応えるべく素晴らしいグルーヴを聴かせる。1st~3rdの雰囲気に4thの生々しさを融合したようなバランス感覚のとれた作品であり、良質なハード・ロック・アルバムとしても楽しめる1枚。現在はエクストリームの活動と並行してバジャー名義でソロ活動も行っている。
使用機材
Washburnのベースを愛用、自身のシグネイチャー・モデルも発売されていたが、残念ながら現在は廃盤の模様。アンプはGALLIEN-KRUEGERなどを使用している。
名盤:スリー・サイズ・トゥ・エヴリ・ストーリー
一般的には「ポルノグラフィティ」が代表作として認知されているが、ベーシスト的には3rdの「スリー・サイズ・トゥ・エヴリ・ストーリー」を推したい。
前述したように「キューピッズ・デッド」でのリフの応酬はハイライトの一つであるが、その他にも「トラジック・コミック」のイントロにおけるメロディアスなライン作り、「ストップ・ザ・ワールド」でのソロなど随所に聴きどころがある。楽曲のクオリティも非常に高く、アルバムとしての完成度も高い。
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