【生年月日】1952年9月24日
【出身地】アメリカ マサチューセッツ
【使用ベース】premier 2弦スライド・ベース
【所属バンド】モーフィン
ベース、サックス、ドラムという変則トリオによるオルタナティヴ・ロック・バンド「モーフィン」。その中心人物がベーシストであり、ヴォーカリストでもあったマーク・サンドマンである。マーク・サンドマンの最大の特徴はベースの弦を2本しか張らず、更にボトルネックによるスライド奏法という「2弦スライド・ベース」。
後にも先にも彼を超える2弦スライド・ベース奏者は現れていない。それは、彼のプレイがあまりにも完成されていたこと、そしてそのサウンドのインパクトゆえに、誰が2弦スライド・ベースに挑戦してもマーク・サンドマン/モーフィンのサウンド、フォロワーにしかなりえないということの表れであると言えよう。
真のオリジネーター
89年にサンドマン、デイナ・コーリー(Sax)、ジェローム・デュプリー(Dr)というトリオで結成されたモーフィン。ジャズではさほど珍しくないトリオ編成だが、オルタナティヴ・シーンが盛り上がりを見せ、何でもアリであった90年代ロックの中でも異色の存在であった。とりわけ2弦スライド・ベースというサンドマンのプレイ・スタイルがワン・アンド・オンリーなサウンドを生み出し、92年のデビュー・アルバム「グッド」でのダーティかつジャジー、ハード・ボイルドな楽曲は早耳のリスナーを中心に人気を拡大していった。アルバム・タイトルにもなった1曲目を飾る「グッド」でのスライド・ベースによる今までリスナーが体験したことないようなリフと、不穏なサックスのメロディ、ジャジーなドラム、そしてサンドマンのバリトン・ボイスによるヴォーカル。もはやこの1曲でモーフィンの世界は完成されていたといっても過言ではない。
翌93年には2nd「キュア・フォー・ペイン」を発表。2曲目の「ブエナ」で聴けるようにサンドマンのスライド・ベースはますます鋭さを増し、バンドのテンションも異常なまでに高い。
アンダーグラウンドを中心に着実に支持層を広げていくモーフィンは95年に「グッド」、97年には「ライク・ア・スイミング」を発表。真のオルタナティヴ・バンドとして活躍の場を広げていたが、99年のライヴ中にサンドマンはステージ上で心臓発作をおこし他界してしまう。
彼の死後、テクニックに優れたベーシストは数多く現れているが、彼を超えるオリジナリティを持ったベーシストは現れてはいない。
未聴の方は是非一度、彼のプレイに耳を傾けて欲しい。
マーク・サンドマンの使用機材
ある日酔っぱらったベーシストがビール瓶でベースを演奏していたのをヒントにスライド・バーでベースを弾き始めたサンドマン。その過程で、不必要な弦にスライド・バーが触れてしまうことを防ぐために弦を1本だけ張って弾くようになる。その後弦を2本に増やすことでオープン・チューニングも活用するようになることで、モーフィンでの名演の数々が生まれていった。
その2弦スライド・ベースとして使用されていたのが15ドルで購入したというpremier製のベース、通称「ツー・ストリング・スライド」。ピック・アップはプレジション・タイプのものをフロントとリアに半分ずつ取り付けている。
名盤:イエス
サックスとスライド・ベースの軽快なユニゾンで幕を開ける「ハニー・ホワイト」からスライド・ベースでしか生み出せないリフで曲を牽引する「スクラッチ」へとなだれ込むという冒頭の流れはまさに完璧。「オール・ユア・ウェイ」での気怠くもグルーヴィなフレージングも見事。そしてアルバム・ラストを飾る「ゴーン・フォー・グッド」のヴォーカルは泣けてくるほど素晴らしい。
ロック界にはこんなに素晴らしいベーシストがいた、ということを再確認出来る90年代オルタナティヴの傑作。
モーフィンの音源を…