ジョージ・ポーターJr

ジョージ・ポーターJr Runnin Partner

【本名】George Porter Jr.
【生年月日】1947年12月26日
【出身地】ニューオリンズ
【使用ベース】 : Fender Precision Bass
【所属バンド】 : The Meters

ニューオリンズ・ファンクのレジェンド

超ゴキゲンなファンキー・ミュージックで、70年の結成以降、多くの音楽ファンを躍らせ、幾多のバンド&ミュージシャンたちをファンクの世界に引き込んでいったニューオリンズが産んだファンキー・モンスター「ザ・ミーターズ」。そのミーターズをアート・ネヴィル(Key)とともに牽引してきたベーシストがジョージ・ポーターjr.である。

1966年に、ミーターズの前身バンドであるアート・ネヴィル&ザ・ネヴィル・サウンズを結成。ジョージの相方を務めるドラマーはジョセフ”ジガブー”モデリステ。ジョージ&ジガブーのコンビが後にニューオリンズ・ファンクというジャンルを世界的に有名にしていくことになる。ライヴハウスで着々と場数を重ね、グルーヴに磨きをかけていったネヴィル・サウンズは、売れっ子プロデューサーのアラン・トゥーサンの目にとまり、アラン・プロデュースの作品のバックを務めながら知名度とスキルを急速に上げていった。そして、バンドはミーターズに改名。ついに自分たちの作品を発表する機会を得る。

数々のライヴ、レコーディングで研ぎ澄まされたグルーヴを爆発させたデビュー・シングル「Sophisticated Cissy(ソフィケイテッド・シシー)」で一気にブレイクを果たしたミーターズは、勢いそのままに1stアルバム「THE METERS(ザ・ミーターズ)」をリリース。ニューオリンズ出身の超ファンキーなグルーヴを繰り出すバンドは一躍人気バンドになっていく。のちにニューオリンズ・ファンクのレジェンドとなるジョージとミーターズの快進撃はここから始まることとなる。

記念すべきデビュー作・ザ・ミーターズ

ザ・ミーターズ ザ・ミーターズ

1stアルバム「The Meters(ザ・ミーターズ)」で聴けるジョージのプレイは、主として絶妙なタメから大きくハネるギターとのユニゾン・フレーズだ。ギターとユニゾンさせることで強調されるファンキーなリフの数々はいまなお世界中の人々を踊らせるに足る極上のダンス・チューンである。そしてギターがウワモノにまわると、ジョージのフレージングがグッとメロディアスなラインに移行したり、逆に極端にシンプルなリフでギターを引き立てる。この絶妙なバランス感覚が楽曲へ歌心を注入することに成功している。

「ミーターズでどれか1枚選ぶなら」と問われれば、相手がベーシストであってもそうでなくても後述する5thアルバム「Rejuvenation(ニューオリンズ・ファンクの覇者)」を勧めるが、ジョージのプレイを紐解いていくうえでは、このミーターズのデビュー作をスルーするわけにはいかないだろう。ミーターズがニューオリンズ・ファンクの覇者になるための第1歩が刻まれているのだから。

現代のフロアでも凄まじい存在感を発揮するであろうフロア仕様の超強力ファンク・ナンバーが詰まった名デビュー作。ヒット・シングル「Sophisticated Cissy(ソフィケイテッド・シシー)」「Cissy Strut(シシー・ストラット)」を収録。

ニューオリンズ・ファンクの覇者、そしてファンキー・ミーターズへ

1stアルバム以降
2nd「Look-KA-Py-Py(ルッカ・パイ・パイ」
3rd「Struttin(ストラッティン)」
4th「Cabbage Alley(キャヴェイジ・アレー)」
をリリースし、着実にキャリアを積み上げていった。

そしてミーターズが果たした語られるべき大仕事の1つがドクター・ジョンの作品「In The Right Place(イン・ザ・ライト・プレイス)」へのレコーディング参加だろう。「Right Place long Time(ライト・プレイス・ロング・タイム)」という大ヒット曲を含むニューオリンズ・ファンクの傑作の演奏に携わったことで、ミーターズは知名度と人気を高めていった。また、この頃からミーターズはヴォーカル入りの曲が多くなってきている。

そしてついに辿り着く。覇者に。ニューオリンズ・ファンクの覇者になったのだ。5thアルバムはご機嫌すぎるファンク・チューンにソウルフルな名盤となった。この作品についてら後ほどゆっくりと語らせていただく。

その後、シリル・ネヴィルの参加、ローリング・ストーンズのツアーのオープニング・アクトを務めるなど、凄まじい勢いで進化していったミーターズだが、77年に解散。それがネヴィル・ブラザーズへと派生していく。そして88年に再結成を果たし、ファンキー・ミーターズとして現在も世界を踊らせている。

https://www.youtube.com/watch?v=mc8g41fB28k

ソロ&セッション・ワークス、そして愛用のフェンダー・プレジション

ミーターズで超ド級にファンキーなグルーヴ・ラインを繰り出し続けるジョージだが、その魅力はファンク・ベースだけではない。アラン・トゥーサンの「サザン・ナイツ」やブロウニング・ブライアントの「ブロウニング・ブライアント」などではメロディアスかつ、歌に寄り添うような玄人好みのプレイで楽曲を支えており、プレーヤーとしての懐の深さ・引き出しの多さを感じずにいられない。ソロ名義のアルバム「Runnin’ Partner(ランニング・パートナー)」ではヴォーカルやギターを披露したりとなかなかの芸達者でもある。ジョイ・ライドというバンドでも作品を残しているので(「Searching for Joy Ride」)、興味のある方はこちらもチェックしてみるといいだろう。

ちなみにジョージの愛用ベースといえばフェンダー・プレシジョン・ベース。指の先端の方で中低音の効いたフレーズをバシバシと繰り出すその様はまさにファンク・マシーン。フェンダー・プレシジョン・ベースの特徴を引き出して極上のグルーヴを数々の作品に落とし込むそのサウンド作りも、ベーシスト諸兄には多いに参考になるハズ。

名盤:Rejuvenation(ニューオリンズ・ファンクの覇者)

Rejuvenation Rejuvenation

1曲目の「peaple say」のゴキゲンなカッティングに切り込んでくるヘヴィ&ファンキーなリフだけでノックアウトされる全ベーシスト必聴のド名盤。リフ自体はシンプルだけど1音1音の重さがハンパない。ブリッジ部分にさりげなく高速ユニゾンを挟み込んでくるセンスもさすが。2曲目の「Love Is For Me」では、甘いソウル・バラードで絶妙な歌伴を聴かせる。とくにサビ前のワンコードで裏を強調したフレーズが嫌が応にも高揚感を煽ってきてグッとくる。裏を強調といえば4曲目の「What’scha Say」のAメロも抜群のグルーヴで歌メロに華を添えている。続く5曲目の「Jungle man」ではタメの効いた隙間の多いフレーズで強力な横ノリを演出。7曲目の「It Ain’t No Use」はソウルフルなヴォーカルのバックで聴かせるファンキーな裏メロ、タイトなユニゾン・フレーズ、ブリッジ部分で繰り出される切れ味の鋭い16分のレーズなど、ジョージの持ち味がいかんなく発揮されており11分を超える長尺のナンバーながら全くそれを感じさせない完成度の高さに圧倒される。

全編に渡って楽しめるグルーヴの洪水は、ベーシストならば1度は体験すべきアルバムであり、そして何より良質なファンク・チューンが並ぶ。「ミーターズってインストでしょ、インストは
ちょっと苦手で…」と言う方も、このアルバムはヴォーカル・アルバムとしても十分楽しめる作品なのでご安心あれ。ニューオリンズ・ファンクの入門編としても最適なキャッチーさも兼ね備えた非の打ち所がない傑作。

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