ジョー・ラリー

【出身地】アメリカ メリーランド州
【生年月日】1963年12月3日
【使用ベース】 : musicman stingray、fender jazzbass、hofner 500
【所属バンド】 : FUGAZI、Ataxia

ポスト・ハードコアの雄・Fugazi(フガジ)

80年代にワシントンを中心に圧倒的な支持を集めたハードコア・バンド、マイナースレット。「禁煙、禁ドラッグ、禁フリーセックス」というストレートエッジ思想の提唱者であるイアン・マッケイが、マイナースレット解散後に結成したバンドがFugazi(フガジ)である。スピードを追求したような疾走感あるサウンドが特徴だったマイナースレットから大きくサウンドを変化させたフガジ。ポスト・ハードコアという時代を作り出したサウンドの根底には常に、ジョー・ラリーというベーシストの紡ぎ出す独特のグルーヴがあった。

マイナースレット解散後のワシントンDCでは、80年代ハードコア・パンクの中心的レーベル、ディスコード周辺でDo It Yourself、すなわちDIYの精神による様々な表現が試みられていた。
ジョー・ラリーもそのムーヴメントの中で、イアン・マッケイ(Vo&Gu)、ブレンダン・キャンティー(Dr)とフガジを結成。のちにギー・ピチョトー(Gu)も参加、4人編成となる。
“Fucked Up, Got Ambushed, Zipped In”というベトナム戦争時の隠語の頭文字をバンド名に掲げたフガジ。マイナースレットから一転して低音を強調した横ノリのグルーヴで踊らせる曲が多くなり、活動の方法も通常のライヴハウス以外の場所を使用してライヴを行うなど、その後のシーンに大きな影響を与えていく。

7songs〜Ataxiaまで

88年「7songs EP」「margin walkar EP」をリリース。現在では「13songs」という1枚のアルバムとしてリリースされている2枚のEPはワシントンのハードコア・シーンが次のステージに移行しつつあることを宣言していた。「waiting room」における「タメ」と「ハネ」の効いたグルーヴィなベース・リフによるイントロ、「Give me the cure」の重苦しく唸るフレージングなど、今聴いても鮮烈なベース・ラインがつまっている。

その後90年に傑作との呼び声高い1st「Repeater」をリリース。「Brendan #1」では細かいフレーズで大きなグルーヴを生み出していくリズム功者ぶりを発揮している。「Styrofoam」でのギターを「上手く乗せる」プレイも見逃せない。

フガジとしては01年の「The Argument」までに6枚のアルバムをリリース。その後バンドは惜しまれつつ無期限の活動休止に入っている。ジョーはその後ソロアルバムや、ジョン・フルシアンテによるプロジェクト「Ataxia」にも参加している。(作品としては「AW1」「AW2」をリリース。)

ジョー・ラリーの使用機材

ジョーの使用ベースはミュージックマン・スティングレイ・ベースフェンダー・ジャズベース。ソロ以降はhofnerのヴァイオリン・ベース500も使用している。アンプはampegやギャリエンクルーガーを使用。これらを組み合わせることで、輪郭のくっきりしたトレブリーでありながらマイルドさも兼ね備えたジョー独特のサウンドを生み出している。

名盤:END HITS

Bob Marley & the Wailers「Exodus」

フガジとしては結成当時の勢いをパッケージした「13songs」や「Repeater」を傑作に挙げる人が多いのではないだろうか。もちろんこの2枚は反論の余地も無い、ロック史に残るべき大名盤である。だが、ベーシストにはジョーのプレイが円熟味を帯びているこのアルバムを推したい。
1曲目の「Break」でのギター・リフに絡むアルペジオからして凄味が違う。3曲目の「Recap modotti」ではリズムのウラを強調したシンコペーションでグルーヴにアクセントをつけ、「Arpeggiator」ではメロディアスかつスピーディなリフを刻み続けたりと、ジョーは縦横無尽の大活躍。前述のAtaxiaの2枚のアルバムもスリリングな呪術的グルーヴに溢れているので興味のある方はこちらも是非。