エリック・エイヴァリー

1987年、ライヴ・アルバム「ジェーンズ・アディクション」でデビューしたジェーンズ・アディクション。後にオルタナティヴ・シーンの伝説となるこのバンドの屋台骨を支えたベーシスト、それがエリック・エイヴァリーである。
ロラパルーザの創始者であり、多くのミュージシャンからリスペクトされるカリスマ、ペリー・ファレル(Vo)、空間を自在に彩るデイヴ・ナヴァロ(Gu)、現代最高峰のアイデアとスキルを持ち合わせたスティーヴン・パーキンス(Dr)というロック界屈指の強者ミュージシャンを擁するジェーンズ・アディクションの中で、曲をイメージを決定付けるリフの数々を生み出して来た彼もまたモンスター級のベーシストであり、ジェーンズ・アディクション解散後にアラニス・モリセットやトレント・レズナーがエリックのベースを必要としたのも、彼のバンド時代の圧倒的存在感を考えると納得である。

【本名】エリック・アダム・エイヴァリー
【生年月日】1965年4月25日
【出身地】カルフォルニア ロサンゼルス
【使用ベース】 : Fender Precision Bass
【所属バンド】 : ジェーンズ・アディクション、ナイン・インチ・ネイルズ、アラニス・モリセット

ジェーンズ・アディクション:Discograhy

ジェーンズ・アディクション

ライブアルバム:ジェーンズ・アディクション

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1987年、トリプルXレコードからリリースされた「ジェーンズ・アディクション」は、メタリックかつサイケデリックな空気感をそのままパッケージしたライヴ・アルバムであり、バンドのエネルギーをそのまま作品化するという選択が功を奏して、凄まじい熱量を誇るおそるべきデビュー作となった。メジャー移籍後の作品も傑作揃いだが、バンドの勢いをえげつないほど表現しているという点においてはこのアルバムが一番だろう。「ナッシングス・ショッキング」にも収録されたジェーンズ屈指の名曲「ジェーン・セイズ」も収録。

ナッシングス・ショッキング

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1988年、満を持して発表されたメジャー・デビュー作「ナッシングス・ショッキング」は、インディーからのエネルギーを持ち込みつつ、メジャーのサウンド・プロダクションを駆使してジェーンズの唯一無二とも言える世界観を世に知らしめた傑作となった。エリックの曲全体にうねりを生むリフの数々はベースそのものを聴くだけでも全く退屈を感じさせないものになっている。そして何と言ってもEの解放弦を活かした「マウンテン・ソング」におけるリフは、ベーシストならばすぐに真似してみたくなる魔力を秘めた名フレーズ、必聴である。

リテュアル・デ・ロ・ハビテュアル

ジェーンズの最高傑作であり、90年代オルタナティヴ屈指の名盤。ベースがどうこう言う訳ではなく、冒頭を飾る「ストップ」はロック史に残る名曲なので是非聴いて欲しい。空間を切り裂くメタリックなギター、疾走感と怒濤のフィルが交互に入れ替わるドラム、ペリー・ファレルの呪術的なヴォーカル、そこにエリックのソリッドなベースが合わさることによって、恐るべき破壊力を持ったキラー・チューンとしてジェーンズのライヴでも一番の盛り上がりをみせる代表曲となった。後述するようにエリックのベース無くしてこの傑作は生まれなかったであろう名フレーズ満載の1枚。生み出された傑作とは裏腹に、バンド内部は既に不仲が表面化しており、このアルバムを最後にジェーンズは解散してしまう。その後何度か再結成を果たしているが、エリックは一度ツアーに参加したものの脱退。現在は参加していない。

Deconstruction

Deconstruction(ディコンストラクション)はジェーンズ解散後にデイヴ・ナヴァロとともに結成。ジェーンズにも通ずる音楽性でファンを喜ばすものの、アルバム1枚で活動停止。デイヴのスポークン・ワード的なヴォーカルがメタル・オルタナティヴ的サウンドに妙にハマっており、メロディーを全面に押し出したヴォーカルでないぶん、ベースやギターのリフの自由度はジェーンズよりも濃い目。

ディコンストラクション活動休止後はポーラー・ベアーでの活動や、アラニス・モリセットのサポート、ナイン・インチ・ネイルズへの参加(現在は脱退)、ソロ・アルバム「ヘルプ・ウォンテッド」の発表など精力的に活動中。

エリック・エイヴァリーの使用機材

メインで多く使用されているのはフェンダー・プレシジョン・ベース。現在はDeluxe Jaguar Bass(フェンダー・ジャガー・ベース)、アンプには同じく Fender Bassman などを使用している模様。
前述のとおり曲の印象を決定付けるフレージングを特徴とするプレイ・スタイル。稀にではあるが、スラップをリフに織り交ぜることもある。長身でベースを低く構える姿はまさにロック・ベーシスト然といった風貌で多くのベーシストたちを虜にした。

名盤:リテュアル・デ・ロ・ハビテュアル

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全ての曲のクオリティがおそろしく高く、メンバー間の不仲が決定的になっている中でレコーディングされたとは信じ難い名盤。「ノー・ワンズ・リービング」でのさりげないスラッピング、「エイント・ノー・ライト」の疾走感溢れるメイン・リフ、「ビン・コート・スティーリング」でのグルーヴィなドラムとの絡みなど聴きどころ満載。そして10分を超える大曲「スリー・デイズ」ではイントロ~Aメロのフレーズが物悲しさと美しさを引き立てており、このフレーズなしでは成立しないというほどの存在感を放っている。ベース的観点を差し引いても聴くべきロックの金字塔的名作。