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ポール・シムノン

使用ベース】 : Fender Precision bass
【所属バンド】 : The Clash(ザ・クラッシュ)

【本名】ポール・ギュスターヴ・シムノン
【生年月日】1955年12月15日
【出身地】ロンドン

ベーシスト、ポール・シムノンの誕生

セックス・ピストルズと並ぶパンク・シーンにおける2大巨頭のひとつ、ザ・クラッシュ。一躍パンクにおけるアイコンとなったシド・ヴィシャスの刹那的な生き様と呼応するかのようにバンドとしての活動期間も非常に短かく、アルバムも1枚のみのリリースとなったセックス・ピストルズとは対象的に、「戦い続ける」ことを選んだザ・クラッシュは77年のデビューから86年の解散までに6枚のオリジナル・アルバムを発表した。ジョー・ストラマー(Vo,Gu)、ミック・ジョーンズ(Gu,Vo)という才能あふれるギタリストを2人擁していたザ・クラッシュであるが、その音楽性がただのパンクというカテゴリーで語られることのない幅広さを内包していたのは、レゲエ&ダブ・ミュージックからの影響をバンドに持ち込んだポール・シムノンのベース・プレイによるところが非常に大きい。
ザ・クラッシュ加入時にはベースもギターも弾けなかったというポール・シムノンは如何にしてミュージシャンたちから羨望のまなざしを浴びるベーシストになれたのかを、少しだけ紐解いていきたい。

白い暴動

1975年、ミック・ジョーンズのバンド「LONDON SS」が開催したヴォーカリストのオーディションにポール・シムノンが現れた。ヴォーカリストとしては起用されなかったものの、そこで2人の「ザ・クラッシュ」が運命的な出会いを果たすことになる。LONDON SSを解散したミック・ジョーンズはセックス・ピストルズのようなパンク・バンドを結成しようとメンバーを集め始める。ミック・ジョーンズからバンドに勧誘されたポール・シムノンは参加を決め、それまで弾けなかったベースを練習し始める。ジャマイカ音楽への馴染みが深かったこともあり、レゲエにおけるベース・プレイとラモーンズのコピーでベースという楽器をモノにしていった。

White Riot(白い暴動)
アルバム「White Riot(白い暴動)」

そして1977年、ザ・クラッシュは歴史的な1stアルバム「白い暴動」でデビューすることとなる。(歴史的な1stアルバム、という作品はロックの歴史において数多く存在するが、「白い暴動」はその中でも「初期衝動」というエネルギー量で他の作品とは一線を画す「絶対に聴いておくべき作品」である。)ちなみに「白い暴動」はオリジナルのイギリス盤とは別に、2nd「動乱〜獣を野に放て」の後に発売されたアメリカ盤も存在する。
某CMで一躍クラッシュの存在をお茶の間に広めた「アイ・フォート・ザ・ロウ」はこちらに収録されており、収録曲・収録順にもかなり違いがあるので、聴き比べてみるのも面白いかもしれない。

動乱、そしてロンドン・コーリング

続く「動乱〜獣を野に放て」。傑作デビュー・アルバムと大名盤「ロンドン・コーリング」に挟まれてしまったことで、あまり目立たなくなってしまっている感はあるが、「トミー・ガン」「すべての若きパンクスども」といった名曲が収録されており、「白い暴動」から引き継がれた勢いと、より幅を広げつつある音楽性が反映された素晴らしい作品である。とくに「ステイ・フリー」での歌に寄り添うような音選び、曲を牽引するグルーヴ感たっぷりのベース・プレイは必聴。ザ・クラッシュとポール・シムノンを知るためには避けては通れない作品なので是非聴いてみてほしい。

London Calling
The Clashのアルバム「London Calling」のジャケット
ステージでベースを叩き壊しているポール・シムノン

そして既に人気バンドの仲間入りを果たしていたザ・クラッシュトをさらに上のステージに引き上げたロック史に残る大名盤「ロンドン・コーリング」の発表にたどり着いたのは1979年の12月。バンドとしての地位を不動のものとした「ロンドン・コーリング」であるが、同時にポール・シムノン個人の知名度をグッと引き上げた作品でもある。そう、あまりにも有名な「ステージにベースを叩き付けるベーシスト」のジャケット写真。そのベーシストがポール・シムノン本人なのである。「ロンドン・コーリング」が名盤たる由縁、そしてポール・シムノンのベース・プレイの聴きどころについては後ほどゆっくりと説明させていただこうと思う。

ザ・クラッシュ、終焉へ

1980年12月、「ロンドン・コーリング」からわすか1年で発表された3枚組アルバムが「サンディニスタ!」である。LP3枚組36曲。「ロンドン・コーリング」も今でこそCD1枚のアルバムとしてリリースされているが発表当時はLP2枚組の大作であった。驚異的な創作ペースである。しかし順風満帆にみえたバンドの内側ではメンバー間の不和が表面化し始め、続く「コンバット・ロック」がオリジナル・メンバーが揃う最後のアルバムとなった。ミック・ジョーンズの脱退、トッパー・ピートン(Dr)の解雇の後に製作された「カット・ザ・クラップ」を最後にザ・クラッシュは解散を表明した。

その後はいくつかの客演をこなしつつ、画家としても本格的な活動を行っているポール・シムノン。2004年には、デーモン・アルバーン(Vo)、トニー・アレン(Dr)、サイモン・トング(Gu)とともに、ザ・グッド、ザ・バッド&ザ・クイーンを結成。2007年にはアルバムも発表されている。

ポール・シムノンの使用機材

ポール・シムノンはリッケンバッカー(4001)やヘフナー、ウォルのベースも使用してはいるものの、やはりフェンダー・プレシジョン・ベースの印象が強いことは否めないだろう。
アンプはAmpegをメインで使用していた模様。トレブル&ベースを効かせたピック弾きで紡がれる音色は、疾走感あるルート弾きでも、レゲエの影響の強いダブ風のフレージングでも存在感を放っていた。

名盤:ロンドン・コーリング

ベース云々と言うより前に「ロックを聴くならコレを聴け」的な名盤。もはや冒頭の「ロンドン・コーリング」のイントロのカッティングでノックアウトされること必至。
そしてその裏で、いや表で、あの有名すぎるベース・フレーズ。もう歌が始まる前にザ・クラッシュの圧勝である。とにもかくにも、「ロンドン・コーリング」での1音1音に説得力のあるシンプルかつグルーヴィなフレージングは天才的だ。このフレーズをコピーしたベーシストは世の中に3万人くらいはいるだろう。いや、もっと多いか。(笑)

続く「ブランニュー・キャディラック」での痛快なギターとのユニゾンを聴かせ、「ジミー・ジャズ」では軽快なウォーキング・ベースで踊らせる。こんな調子で休む暇なくベースの聴きどころが続いていく。そして10曲目の「ブリクストンの銃」はポール・シムノンが作曲、ヴォーカルも披露している。ポール・シムノンらしくレゲエの影響の濃いナンバーでダブっぽいベースのフレーズがなんともイカしたナンバーである。このようにこのアルバムの素晴らしさを数え上げたらキリがない。もちろん歌にもギターにもドラムにもそれぞれ聴きどころが満載。捨て曲なんて1曲もない。バンド全員で聴くべき大名盤だ。

クラッシュの音源を…