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クリス・スクワイア(Chris Squire)

クリス・スクワイア(Chris Squire、本名 Christopher Russel Edward Squire)はイギリス・ロンドン出身のベーシスト。プログレッシブバンド「Yes」のメンバーで、ピック弾きによるトレブリーな音色と、幅広い音域を使い動き回る、いわゆる「リードベース」スタイルのベースラインで知られています。

【使用機材】Rickenbacker 4001
【所属バンド】Yes

biography

1948年3月4日イギリス・ロンドンで生まれます。
1965年、のちにYesのギタリストとなるピーター・バンクスらとともにリズム・アンド・ブルースバンド「The Syn」を結成し、翌年プロデビューしますが、1967年11月にはバンドは解散します。同年12月には新しいバンド「Mabel Greer’s Toyshop」を立ち上げます。このバンドにはピーターも参加しており、1968年2月にはボーカルのジョン・アンダーソンも合流。さらに音楽雑誌のメンバー募集広告を見たドラムのビル・ブルーフォードの加入でYesの母体が出来上がっていきます。
この後キーボードのトニー・ケイも加わり同年8月には初めてYesの名前でのライブを行います。その後イギリスツアーをキャンセルした「スライ・アンド・ザ・ファミリー・ストーン」の代役でのライブ出演や、「クリーム」のオープニング・アクトなどの活動で注目を集め、1969年にはアメリカ・アトランティックレコードとの契約を結びます。

Yesデビュー、スティーブ・ハウの加入

同年アルバム「Yes(イエス・ファースト・アルバム)」でYesはレコードデビューを果たします。この作品はセールス的にはヒットには至りませんでしたが、ジャニス・ジョップリンの前座やロックフェスティバルへの出演などで徐々に注目を集め始め、1970年に、ピーター・バンクスに代わりスティーブ・ハウをギタリストに迎えリリースされた3rdアルバム「The Yes Album(イエス・サード・アルバム)」で初のUKチャートトップ10入りを果たします。
1971年7月のコンサートを最後にキーボードのトニー・ケイがバンドを去り、代わりにリック・ウェイクマンが加入し、Yesのメンバーは、後に黄金メンバーと賞される、クリス・スクワイア、ジョン・アンダーソン、ビル・ブルーフォード、スティーブ・ハウ、リックウェイクマンというラインナップとなります。
このメンバーで製作された4thアルバム「Fragile(こわれもの)」、5thアルバム「Close to the Edge(危機)」はYesを代表する作品となっています。

Yes 4thアルバム「Fragile(こわれもの)」


YesSongs #7:Yes – Roundabout
4thアルバム「Fragile」に収録されたYesの代表曲です。日本でも近年アニメの主題歌に用いられ再注目されました。冒頭のハンマリングを交えたリフなど、ベースラインも印象的なフレースが多いです。

この後も、キング・クリムゾンへ加入するため脱退したビル・ブルーフォードに代わりアラン・ホワイトを打ラムに迎え作成したライブアルバム「Yessongs(イエスソングス)」(一部ビル・ブルーフォードがプレイした楽曲もあり)や6thアルバム「Tales from topographic Oceans(海洋地形学の物語)」など連続してヒット作品を生み出していきます。1975~6年には当時のYesのメンバーそれぞれがソロアルバムをリリースするという企画が立ち上がり、クリスも純粋なソロ作品としては唯一の作品「Fish Out of the Water(未知への飛翔)」をリリースします。


BPL12:Chris Squire “Hold Out Your Hand”
クリスのソロアルバム「Fish Out of the Water」に収録された楽曲。このアルバムではクリス自身がメインボーカルも務めています。

Yesはこの後もメンバーチェンジを繰り返しながら活動を続けますが、1980年10thアルバム「Drama(ドラマ)」のリリース後に一旦活動を休止します。この間、クリスはドラムのアラン・ホワイト、元レッド・ツェッペリンのギタリスト、ジミー・ペイジとセッションを行い、バンド「XYZ(ex Yes zeppelin:元イエスと元レッド・ツェッペリンの意)」を結成します。しかしXYZはレコードリリースには至らず、1983年には再びクリスとホワイトが中心となり「シネマ」というバンドを結成。そしてこのバンドが母体となり同年にYesは再始動することとなります。

2000年以降

この後も2000年代まで、メンバーチェンジやバンドの分裂などを繰り返しながら活動は継続していき、クリスは一度もYesを離脱していない唯一のメンバーとしてバンドを支え続けてきました。またYesが活動休止をしていた2006年には、クリスの原点ともいえるバンド「The Syn」を再結成しアルバムをリリース、2007年にはクリスマスアルバム「Chris Squire’s Swiss Choir」を作成、2012年にはジェネシスのギタリスト、スティーヴ・ハケットとのユニット「Squackett」としてアルバム「A Little Within a Day」をリリースするなどの活動も行います。

2015年、TOTOと合同での北米ツアーが決定しますが、同年5月、急性骨髄性白血病の治療のためクリスはツアーには参加しないことが発表されます。そして6月27日アメリカ・アリゾナ州の病院で享年67歳で永眠します。
この後もYesのバンドとしての活動は続いていますが、アルバムのリリースはないため、Yes名義の作品のベースはすべてクリス・スクワイアによって演奏されています。

プレイスタイル

クリス・スクワイアは、シンプルなルート弾きやリフ系のフレーズをあまり弾かず自由にフレーズを展開していく、「リードベース」タイプのスタイルを持つベーシストとして知られています。特に高音域を利用したフレージングが特徴的で、ベースラインが、ボーカルのメロディとは別の第2のメロディに聴こえるような楽曲もあります。また、このベースラインがなくては楽曲が成立しなくなるような印象的なラインも多く、全般的に楽曲のなかでのベースラインの占める割合が非常に多いといえるでしょう。


Yes – Heart of the Sunrise(Symphonic Live 2003)
4thアルバム「Fragile」に収録された楽曲で、「燃ゆる朝焼け」という邦題でも知られています。4:30あたりからボーカルのバックでのメロディアスなラインが聴けます。0:40あたりでははベースソロも演奏されていますね。

またピック弾きによるブライトな音色も大きな特徴です。かなり高音寄りのイコライジングがされたセッティングで、ブリッジよりをピッキングしていることが想像でます。ベースの音は他の楽器の埋もれがちになってしまことも多いですが、クリスのプレイは他の楽器に決して埋もれることなく、どのようなラインを弾いているのかはっきりと聞き取ることができます。


Yes – Starship Trooper – Keys to Ascension
3rdアルバム「The Yes Album」に収録された楽曲。Yes初の組曲形式による楽曲で、この頃からバンドのプログレ色が濃くなってきました。アタック感の強いトレブリーな音色で演奏されています。

さらに、「メロディアスなフレーズ」、「高音の強調されたブライトな音」という、ベースらしくない特色を持ちつつ、ベースらしいボトム感は決して失わないという絶妙なバランス感覚が、クリスの最も優れた特徴ではないでしょうか。

使用機材

ベース

Rickenbacker 4001CS クリス・スクワイア・シグネチャーモデル:Rickenbacker 4001CS

クリス・スクワイアといえば、なんといってもホワイトのリッケンバッカー4001の使用が有名です。このモデルは他にもポール・マッカートニー、ディープ・パープルのロジャー・グローバーなどが愛用した名機で、メイプルボディ・メイプルのスルーネック構造のネックによる硬く抜けのよい音色が大きな特徴となっています。またクリスのリッケンバッカーは、フロントピックアップの音とリアピックアップの音を別々に出力できるステレオ出力になっており、歪み等のエフェクターを使用する際には、必ずエフェクトの掛かっていないドライ音も出力しミックスしていました。これによりトレブリーでありながらも軽すぎない、独特のサウンドが生まれていたのでしょう。
リッケンバッカーのエレキベースについて

wal製トリプルネック・ベース wal製トリプルネック・ベース

またwal製のトリプルネックのベースの使用も特徴的です。この楽器は一番下のネックが4弦フレットレス、真ん中が4弦フレッテッド、一番上がショートスケールの6弦ベース(通常の6弦ベースのチューニングではなく、G、D、Aにチューニングされた弦とそれぞれの1オクターブ上の複弦というチューニング)で構成されています。ネックの数が増えれば、当然ボディのサイズも大きくなり楽器の重量も増加していきます。ダブルネックのギターでも5~6kgはあるものが多いので、この楽器はおそらくそれ以上の重量があるものと予想されます。このような楽器を弾きこなせるのは、体の大きいクリスならではでしょう。


Yes – Awaken(Symphonic Live 2003)
8枚目のスタジオアルバム「Going for the One(究極)」に収録された約20分の大曲です。全編トリプルネックのベースで演奏されています。

エフェクター

Maestro Bass Brassmaster Maestro Bass Brassmaster

Maestro社の「Bass Brassmaster(ベース・ブラスマスター)」という歪みエフェクターの使用で知られています。このエフェクターの本来のコンセプトとしては、ベースでBrass(金管楽器)の音を出すというものだったようです。が、このような目的より、過激な歪みをもつエフェクターとして人気を集めました。現在こちらは生産を行っておらず、ヴィンテージ的な価値も加わり10万円以上の高値で取引されています。