コロナ工場で作られる、フェンダーUSAジャズベースについて[記事公開日]2018年3月19日
[最終更新日]2022年03月31日

AMERICAN PROFESSIONAL JAZZ BASS

AMERICAN PROFESSIONAL JAZZ BASS カラーバリエーションは6種類。Candy Apple Redのみローズウッド指板のみで、その他はメイプル指板と両方用意されている
5弦、フレットレス、4弦左用あり

2017年にデビューした「アメリカン・プロフェッショナル(アメプロ)」シリーズは、現代のプロミュージシャンの要求に耐えるサウンドと演奏性、そして安定性を備え、かつ上位機種としては手に入れやすい価格帯を実現しています。

このシリーズのための新色「ソニック・グレイ」を筆頭にカラーバリエーションがありますが、

  • ナチュラルカラーにはアッシュボディ
  • 3トーンサンバーストにはアルダーボディ

というように、カラーによってボディ材が決められています。、指板はメイプルとローズウッドから選択できます。

機能や特徴
V-MODピックアップ 名匠マイケル・バンプ氏(フェンダー社勤続約30年。マスタービルダーとしてのキャリアは17年)の設計。うねる低域と明瞭な高域のある、古き良きフェンダーのトーンを実現。回路はパッシブ。
スリムCネック 現代のプレイヤーが求める演奏性を追求したネックグリップ。素早い移動が可能で、ストレスのない演奏ができる。
ナロートールフレット このシリーズから採用された、狭くて高いフレット。押弦のしやすさとピッチの正確さに優れ、スラップでは「バチン!」とアグレッシブに反応する。
フルーテッド・チューナー 新設計ギア式チューニングペグ。音の伸びとチューニングの安定度を向上。ナットに対して従来より低いアングルから弦がかかるため、開放弦の鳴りが安定する。
HiMassヴィンテージ・ブリッジ 強固な設計で安定しており、サスティンが伸びる。
Posiflexグラファイト・サポートロッド 強化したトラスロッド。ネックを強固に安定させる。

表:American Professional Jazz Bassの特徴


Ty Dolla $ign | Feedback: Episode 3 | Fender
多くの5弦ベースがアクティブ回路を採用する中、American Professionalからはパッシブの5弦がリリースされています。アメプロのフォーマットには高機能なペグとブリッジ、そして頑強なネックがあり、本体がしっかりしているためプリアンプの補正がなくてもしっかりとしたローBが出せる、というわけです。

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AMERICAN ORIGINAL ’60S / ’70S JAZZ BASS

AMERICAN ORIGINAL JAZZ BASS

2018年のウィンターNAMMで発表された「アメリカン・オリジナル」シリーズは、’50S、’60S、’70Sといった「ざっくりとした年代」ごとの特徴に、現代の音楽シーンを見据えた演奏性を融合させたモデルです。この前身だった「アメリカン・ヴィンテージ」シリーズは、特定の「年式」を可能な限り再現するマニアックなものでした。アメリカン・オリジナルの登場は、「年式」から「年代」へ、「フェンダーUSAのヴィンテージ系モデルに大きな路線変更が行われた」のだと考えられます(高品位のヴィンテージ・レプリカは「フェンダー・カスタムショップ」からリリースされています)。

年代の特徴を感じられる楽器は、演奏するジャンルによっては使いやすく感じることがあり、またプレイヤーの感性を刺激しやすいことがあります。現代的な弾きやすさがありつつこのような恩恵を受けられる、新しい可能性のあるシリーズだと言えるでしょう。

AMERICAN ORIGINAL 60s JAZZ BASS AMERICAN ORIGINAL ’60S JAZZ BASS

「アメリカン・オリジナル」シリーズの特徴は、

  • ピックアップやそのほかの部品を「アメリカン・ヴィンテージ」シリーズから継承
  • 年代の特徴を再現したネックグリップと、現代的な仕様の指板
  • ボディ、ネックともにニトロセルロースラッカー塗装が施される(例外あり)

と言うところです。ジャズベースは60年代と70年代の2タイプがリリースされています。それぞれがどういうものかを見てみましょう。

1) 木部

AMERICAN ORIGINAL ’60S JAZZ BASS AMERICAN ORIGINAL ’70S JAZZ BASS
ボディ/ネック アルダーかアッシュ/メイプル アッシュ/メイプル
バックコンター 浅い 深い
ボディ/ネック塗装 ニトロセルロースラッカー ウレタン
ネックシェイプ 60s “C” 1975 “U”
ナット幅 1.48インチ (37.59 mm) 1.475インチ (37.46 mm)
指板 ラウンド貼りローズウッド メイプル

表:アメリカン・オリジナル2機種の木部仕様比較

木部は各年代の使用に忠実です。’60Sはボディカラーに対してボディ材が決まっていますが、’70Sではどの色調でも、3トーンサンバーストでもアッシュ材が使われます。

アメリカン・オリジナル・シリーズの標準仕様は「ボディ/ネックともにラッカー塗装」なのに、’70Sの塗装が「ウレタン」となっているところが面白いところです。

  • ラッカー塗装:オープンな、広がるような鳴り
  • ウレタン塗装:引き締まった鳴り

と言われます。’70Sは「キュッと締まったタイトなサウンドを出したい」という考えのようです。

2) ピックアップ

ピックアップについては、アメリカン・ヴィンテージ・シリーズを継承しています。

  • ’60S:ピュア・ヴィンテージ64・ジャズベース
  • ’70S:ピュア・ヴィンテージ75・ジャズベース

それぞれのピックアップは、ワイヤーやコイルなどの全てが各年代のレシピ通りで、製造法も当時のものに従う、というマニアックな仕様です。

3) ルックス上の特徴

上:American Original ’60s Jazz Bass(3-Color Sunburst)
下:American Original ’70s Jazz Bass(3-Color Sunburst)

AMERICAN ORIGINAL ’60S JAZZ BASS AMERICAN ORIGINAL ’70S JAZZ BASS
ピックガード 4Pブラウンシェル。G弦側に指置き 3P、黒白黒あるいは白黒白。E弦側に指置き
インレイ ヴィンテージ・クレイドット パーロイド・ブロック
ヘッド ヘッド裏にストラップピン ヘッドだけ飴色
その他 リアピックアップからブリッジにアース線 ネックバインディング

表:アメリカン・オリジナル2機種の外観仕様比較

ルックス的にも、各年代の特徴が再現されています。「フィンガーレスト(指置き)」の付き方が’60Sと’70Sで違うのが面白いですね。また、’70Sが「ヘッドだけ飴色」というのも面白いポイントです。「永年の使用でメイプルが焼けて変色してきたが、フレットを交換する際に指板を削ったのでココだけ白い」という状態を再現しています。

4) 共通仕様

’60S、’70Sに共通して、

  • 指板R:5インチ (241 mm)、ヴィンテージ・トールフレット、牛骨ナット
  • 4点留めネックジョイント
  • トラスロッドはヒール側

という仕様です。現代的な平たい指板に、アメリカン・プロフェッショナル・シリーズの「ナロートール・フレット」に通じる細くて高いフレットが打ち込まれます。70年代に3点留めになったネックジョイントは、現代の標準と考えられている4点留めで統一されています。ヒール側のトラスロッドを調節しようとすると、いちいちネックを外さなければならないのが難点ではあります。しかしこの設計はロッドがネックの端まで達しており、ジョイント部のネック剛性に有利です。


Annie Clements Demos The ’60s Jazz Bass® | American Original Series | Fender
リア全開&トーン半分でジャコの音、フロント全開でプレベっぽい音というように、ブライトからダークまで、幅の広いサウンドが出せます。ペグが「逆巻き」になっているところもこの年代の特徴です。解説しているアニー・クレメンツ氏はこのベースを「自分とエンジニアが好むブライトさがある」と評しています。ブライトな成分は、いらなかったらトーンで削ればいいんですが、その反対はなかなか困難なんです。

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AMERICAN ELITE JAZZ BASS/AMERICAN ELITE JAZZ BASS V

AMERICAN ELITE JAZZ BASS

最新鋭のジャズベース「アメリカン・エリート」は、現在考えられる最高の演奏性、利便性、そしてサウンドを手に入れた、フェンダーUSA最上位グレードです。

1) ヘッド部

AMERICAN ELITE JAZZ BASS:ヘッド部分

銀文字でFenderロゴと「JAZZ BASS」のモデル名表示のみ、登録商標を示す「®」もないというシンプルなヘッドが、「フェンダーUSA最新鋭最高グレードの証」です。軽量なペグはストリングポストが「テーパー加工」されており、弦をキッチリ巻きつけることができます。

2) ネック部

ネックにはバインディングが巻かれ、また指板にはブロックインレイが打ち込まれ、70年代風のルックスになっています。トラスロッドはヒール部に開口しており、「スポークホイール」によってネックを外すことなく反りの調整ができます。

ネックグリップはローポジションの「モダンC」からハイポジションの「D」へと徐々に変化する「コンパウンド・バックシェイプ」、指板はナット部の9.5インチからエンド部の14インチまで徐々に変化する「コンパウンド・ラジアス」となっており、各ポジションでの理想的な演奏性が確保されています。ジョイント部のヒールはナナメに大きくカットされており、高い音を出すのもラクラクです。

指板にはローズウッドの代わりにエボニーが使用されますが、ローズの代わりだけあって真っ黒というよりやや茶色がかった色調のものが使用されます。アクティブのベースは鋭い立ち上がりとフラットな特性が求められる傾向にありますから、「ローズからエボニーにしてむしろ正解」と考えられています。

3) 電気系

AMERICAN ELITE JAZZ BASS:ボディ

「アメリカン・エリート」の目玉の一つ「第4世代ノイズレスピックアップ」を搭載しています。シングルコイルにこだわり抜いてきたフェンダーが、「その上質なトーンを損なうことなく邪魔なノイズをどれだけカットできるか」に挑戦した、最新の成果です。サウンドはピュアで美しく、プリアンプに頼らなくても十分以上の仕事ができます。

操作系はシンプルながら十分で、

  • マスターボリューム、パンポット(バランサー)
  • トレブル+ベース(スタックポット)、ミドル+パッシブトーン(スタックポット)
  • アクティブ←→パッシブ切り替えスイッチ

となっています。アクティブ3バンドEQはブースト/カット両方に働き、積極的なサウンドメイクが可能です。パッシブ・モードもオマケではなく「ガチ」で、パッシブトーンがあるため普通のジャズベとしてじゅうぶん使用できます。


Chris Chaney Demos The Fender American Elite Jazz & Precision Basses | American Elite | Fender
演奏性の高いネックと、サウンドの幅が広い電気系。フェンダー最新鋭最高グレードの名前は伊達ではありません。

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アーティストモデル

JACO PASTORIUS JAZZ BASS

Jaco Pastorius Jazz Bass

「アンチピックガード派」を世に生み出した、あまりにも有名なジャコ・パストリアス氏のシグネイチャーモデルは、氏のトレードマーク「Bass of Doom」をイメージしながら、「最初からこういう設計だった」という仕様です。ピックガードを留めるネジ穴などなく、ネックのサイドポジションはフレットのマーカーラインを中心に埋められます。スラブ貼りされたパーフェロー指板は、保護のためにウレタンコートが施されます。

金属パーツ、電気系ともにアメリカン・ヴィンテージ・シリーズのものを受け継いでおり、60年代の雰囲気とサウンドをしっかり再現しています。ご本人が使っていた「Bass of Doom」を可能な限り再現したレプリカは、フェンダー・カスタムショップからリリースされています。


ベーシスト、ジャコ・パストリアスのドキュメンタリー!映画『JACO』予告編
ベーシストが主役たり得る社会を作ったのは、まぎれもなくこの人。ジャコが残した音楽は、いまなお私たちの心をとらえて離しません。

USA GEDDY LEE JAZZ BASS

USA Geddy Lee Jazz Bass

世界最強と言われるプログレッシブ・ハードロック・バンド「RUSH」所属ベーシスト、ゲディー・リー(Geddy Lee)氏のシグネチャーモデルで、これまで作られたカスタムショップ製の2台と、永らく愛用している72年製、3本のジャズベースをいいとこどりで組み合わせています。

「Custom Thick C」と名付けられた薄いネックシェイプ、9.5インチRのメイプル指板にミディアムジャンボフレットという本体に、ご自身シグネイチャーピックアップを載せ、さらにはHi-Massブリッジに対しても自身のこだわりを盛り込む作り込み方です。


Rush – The Spirit Of Radio (From “Snakes and Arrows”)
プログレッシブ・ハードロック・バンド「RUSH」はカナダ出身、全世界4,000枚というセールスを誇ります。3人でやっているとはとても思えない音の厚みですね。

ADAM CLAYTON JAZZ BASS

ADAM CLAYTON JAZZ BASS

1980年のデビュー以来、人事異動なく活動を続け、なおかつ世界中肩支持されることで「奇跡のロックンロールバンド」との呼び声が高い「U2」のボトムを支えるアダム・クレイトン氏。堅実かつ安定的にビートを刻む氏のスタイルはシンプルでありながら、なかなか貫くことが難しいアティテュードでもあります。

氏のシグネイチャーモデルは、シャーウッド・グリーンメタリックのマッチングヘッド、可愛らしいロリポップチューナー、というルックスはクールでありながらキュートさも感じられます。カスタムショップ製のピックアップによるサウンドもさることながら、特別製ブリッジを採用し、フェンダーUSAのジャズベースで唯一「裏通し」ができます。弦ごとに伝統的なトップロードと裏通しを選択でき、目的に合わせたセッティングができます。


U2 – With Or Without You (U2 At The BBC)
D、A、Bm、G(半音下げチューニング)の8ビートで弾きとおす、「裏方の鏡」とも言うべき輪をかけた堅実な名演。ダイナミクスだけで楽曲の盛り上がりを操作する職人芸です。

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過去のラインナップ

こちらは現行ラインナップの前身となった、生産完了モデルです。これらのラインナップがあって、現在のフェンダーUSAができているわけです。今でも中古市場で散見しますし比較的安価に入手できますから、興味のある人はチェックしてみてください。

アメリカン・スタンダード・ジャズベース生産完了

Fender American Standard Jazzbass

2016年までの間フェンダーUSAのもっともスタンダードなラインナップだったのがアメリカン・スタンダード(American Standard:通称アメスタ)シリーズです。アメスタ・シリーズのジャズベースでは60年代前半のスペックを基本としながらも、ピックアップやブリッジなどに改良を加え、2012年以降はピックアップにカスタムショップ製のものを採用することによって、よりハイクオリティなサウンドを得ることに成功。モダンなサウンドを出力することが可能となっています。2017年アメリカン・プロフェッショナル・シリーズの登場によって生産完了となっています。
アメリカン・スタンダード・シリーズの中でも通常ラインナップのほかに「左利きモデル Left-Hand」「5弦モデル V」「フレットレス・モデル Fretless」が用意されています。


American Standard Jazz Bass Demo

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アメリカン・デラックス・ジャズベース生産完了

Fender American Deluxe Jazzbass

アメリカン・エリートシリーズが登場する前のモダンスタイルのスタンダードモデル、という位置付けだったのがアメリカンデラックス(American Deluxe:通称アメデラ)ジャズベースです。最大の特徴はアクティブサーキットを搭載することによって、より幅広いサウンドメイクが可能になった、という点でしょう。さらに、パッシブ回路への切り替えも可能となっていますので、あらゆるスタイルの音楽に対応することのできる万能なベースに仕上がっています。こちらも5弦モデルが用意されています。

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アメリカン・ヴィンテージ・ジャズベース生産完了

Fender American Vintage Jazzbass 左3本:American Vintage ’64、右3本:American Vintage ’74

ヴィンテージスタイルのジャズベースを忠実に再現したモデルがアメリカンヴィンテージ・ジャズベースです。

  • 60年代前半のモデルを再現した「American Vintage ’64 Jazz Bass」
  • 70年代のモデルを再現した「American Vintage ’74 Jazz Bass」

の2種類がラインナップされており、それぞれ当時のスペックをほぼ完ぺきに再現しています。ヴィンテージサウンドに憧れているけれど、高価で手が出ない…という方にとってばベストな選択肢となるのではないでしょうか?


American Vintage ’64 Jazz Bass Demo

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アメリカン・スペシャル・ジャズベース生産完了

Fender American Special Jazzbass

フェンダーUSAの廉価モデルに位置するのがアメリカンスペシャル・ジャズベースです。70年代のジャズベースを基本として設計されていますので、廉価モデルでありながら独特な個性を持ったサウンドを出力することができるベースとなっています。
ジャズベース初心者にはもちろんのこと、トッププレイヤーでも満足することのできる素晴らしい一本であると言えるでしょう。

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