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ビクター・ウッテン(Victor Wooten)

Victor Wooten 2017年のアルバム「Trypnotyx」

ビクター・ウッテンは(Victor Wooten)本名 Victor Lemonte Wootenはアメリカ・バージニア州ハンプトン出身のベーシストです。主にジャズ・フュージョンのジャンルで活動し、スラップ・タッピング・コード弾きなどを駆使した、非常に高い演奏技術をもったプレーヤーとしてしられています。

【使用機材】fodera monarch victor wooten signature bass、fodera yin yang bass
【所属バンド】

biography

1964年9月11日、5人兄弟の末っ子として生まれます。4人の兄も全員楽器を演奏する音楽一家で、ビクターも3歳の頃から長兄レジ・ウッテンにベースの指導を受け5歳になる頃には人前での演奏もするようになります。
1970年代には4人の兄と「ウッテンブラザーズバンド」を結成しレコードデビューを果たし、大御所ソウルシンガー、カーティス・メイフィールドの前座も務めます。


[EXCLUSIVE]Wooten Brothers – Sex in a Pan
ウッテンブラザーズバンドのスタジオライブ映像です。冒頭からビクターのグルーヴ感溢れるベースを聴くことができます。ちなみにサックスをプレイするルディ・ウッテンは、残念ながら2010年に他界してしまい、4人での演奏となっています。

この後も順調にキャリアを積み重ねていき、1989年にはバンジョー奏者のベラ・フレック、兄でドラマーのロイ・ウッテン、ハーモニカ/キーボード奏者のハワード・レヴィと「ベラ・フレック・アンド・フレックストーンズ(Bela Fleck and the Fleckstones)」を結成します。このバンドは、ブルーグラスを基調としながらも、ジャズやフュージョン、ファンクも取り入れた独特のサウンドで人気を集め、グラミー賞も幾度も受賞しています。


Bela Fleck & The Original Flekstones – “sister minister” – Mountain Jam Ⅶ – 6/3/11
カントリーなどのイメージが強いバンジョーですが、フレックストーンズはそのイメージとはかけ離れた現代的な演奏を聴かせてくれます。3:20あたりからビクターの素晴らしいベースソロも聴けます。

またビクター個人名義のソロ活動も精力的に行い、1996年のほぼビクターのベースのみで録音された1stアルバム「A Show of Hands」から、サックスのボブ・フランセスチーニ、ドラムのデニスチェンバースとのトリオ編成が中心の最新作「TRYPNOTYX」まで、9枚のソロアルバムを作成しています。
さらに様々なユニットにも名を連ね、特にスティーブ・ベイリーとの「ベース・エクストリームス」、スタンリー・クラーク、マーカス・ミラーとの「S.M.V.」といったベーシスト同士のユニットでの活動が印象的です。

プレイスタイル

すべてのテクニックが非常に高度なビクターですが、その中でも印象的なものをいくつか紹介していきます。

スラップ

ビクターのスラップには「ロータリー」と呼ばれるテクニックが多用されます。この「ロータリー」は親指サムピングのダウン&アップとプルを連続で行うことにより、1ストロークで3つの音を出すテクニックです。さらに、ビクターの場合はこれに、人差し指と中指のプルを連続して行う「ダブルプル」と呼ばれるテクニックも組み合わせることがあり、親指サムピングダウン→親指サムピングアップ→人差し指プル→中指プルという手順で1ストロークで4つの音の発音を可能にしています。これに左手のハンマリング・プリング等を絡めることで非常に音数の多いテクニカルなスラップフレーズとなっていくのです。


Victor Wooten wows with his performance of The Lesson solo live on EMGtv
ビクターのソロパフォーマンス動画です。4:30あたりからスラップによるフレーズが展開されています。ロータリー等を駆使することにより、右手の見かけの動き以上に音数が多く聴こえますね。

タッピング

タッピングを多用するのもビクターのプレイの特徴の1つです。タッピングというとロックギタリストが速弾きに利用するテクニックという印象が強いかもしれませんが、ビクターの場合は、ベースでコードを弾く時に複数の指を同時にタップするという使い方が多いようです。さらにそれを応用して、左右の手を同時に使い、まるでピアノのソロ曲のようにベースライン・コード・メロディをベース1本で演奏することもあります。


Victor Wooten AMAZING solo – Hartke”Norwegian Wood”
ビートルズの名曲「ノルウェーの森」を、両手タッピングを駆使してベース1本で美しく演奏しています。

ルーパーの使用

ルーパーを使用したソロパフォーマンスも頻繁に行われます。ちなみにルーパーとはエフェクターの一種で、その場で録音したフレーズを繰り返し再生してくれるものです。いくつかのフレーズを重ねて録音することも可能です。ちなみにビクターはBOSSの「Loop Station RC-300」というルーパーを使用しています。


Victor Wooten gives amazing solo bass performance EMG
最初にルーパーで伴奏を構築し、その上でベースソロを繰り広げています。冒頭の部分から、ベースライン→コード→パーカッションのようなアタック音の順で音が重なっていくのが確認できます。

そしてビクターがなにより素晴らしいのは、これらのテクニックをすべて音楽的に聴かせてくれることでしょう。どんなに複雑なスラップのリフでもグルーヴ感を損なわず、速弾きをしてもメロディアスに聴こえる。当たり前のようですが、楽器を演奏する上で最も難しく重要なことですよね。


Victor Wooten Amazing Grace
アメリカの伝統的な賛美歌で、ビクターの代表的なソロパフォーマンス曲の1つです。冒頭のハーモニクスの美しいメロディ、本編でのメロディの合間に織り交ぜられるベースラインのグルーヴ感、後半の早いフレーズなど聴き所が満載です。

使用機材

Yin Yang Standard Fodera「Yin Yang Standard」

ビクターの使用するベースで有名なものといえば、「陰と陽」を表す白と黒の模様が印象的な、フォデラ製の「Yin-yang bass」でしょう。このベースは、フォデラのモナーク(monarch)と呼ばれる、フロントピックアップにプレシジョンタイプのピックアップ、リアにジャズベースタイプのピックアップが搭載された、いわゆるPJタイプのモデルを基に作られています。独特の白黒の模様は、東洋易学に傾倒していたビクターがフォデラに直接依頼したもので、塗装ではなく、白の部分にひいらぎ、黒の部分にエボニーという2つの木材を組み合わせることによりデザインされています。ピックアップはEMG、アクティブサーキットはフォデラのカスタムサーキットがそれぞれ搭載されています。

また、ビクターはこの他にもフォデラのベースを多数所持しており、とくにYin-yang bass以前のメインベースであったモナークタイプのベースはよく知られています。このベースはフォデラの工房が誕生した1983年にビクターの手に渡り、現在に至るまで使用されています。そしてこのベースの1本後に手に入れたフォデラは、通常の4弦ベースより4度高いA-D-G-Cに調弦されたテナーベースとして使用されています。このベースもモナークモデルですがピックアップの配列はジャズベースタイプになっています。なおこれら全ての楽器には、フォデラのシグネイチャー弦が張られることが多いようです


Victor Wooten – Yesterday(The Beatles Cover)| Part 6
テナーベースによって演奏されたビートルズのイエ。スタデイです。テナーベースならではの高音が印象的ですね。この演奏ではスラップやタッピングなどの特殊な奏法は一切見られず全編オーソドックスな2フィンガーですが、ビクターの歌心が発揮された非常に美しい演奏になっています。

アンプはハートキーを使用することが多く、中でもヘッドにはLH1000、キャビネットにはHyDrive410とHyDrive115という組み合わせがよく見られます。LH1000はプリアンプ部分に真空管回路、パワーアンプ部分にソリッドステイト回路が使用されており、コントロールはボリュームとブライトスイッチ3バンドのイコライザー、リミッターというシンプルなものになっています。
10インチスピーカーが4発マウントされたHyDrive410と15インチスピーカーが1発搭載されたHyDrive115は、どちらも「ハイブリットコーン」と呼ばれるコーンが特徴となっています。このハイブリットコーンは、外周には暖かい低音を再生するペーパーコーンを、内周には中音~低音を際立たせるアルミコーンが採用されており、アルミコーンとペーパーコーンそれぞれのよさを併せ持った物となっています。