マニ(ザ・ストーン・ローゼズ)

【本名】ゲイリー・マニー・モンフィールド
【生年月日】1962年11月16日
【出身地】イギリス マンチェスター
【使用ベース】Rickenbacker、Fender Precision Bass、Fender Jazz Bass
【所属バンド】ザ・ストーン・ローゼス、プライマル・スクリーム

イギリスが誇る現代屈指のグルーヴ・マスター、ゲイリー・モンフィールド、通称マニ。マンチェスター・ムーヴメントを牽引したストーン・ローゼス、そして進化し続けるロック番長プライマル・スクリームのボトムを支えるマニのプレイに影響を受けているベーシストは数知れない。世界を踊らせる生きる伝説の魅力に迫ってみたい。

ストーン・ローゼス

83年にマンチェスターにてイアン・ブラウン(Vo)とジョン・スクワイア(Gu)を中心に結成されたストーン・ローゼス。マニとレニ(Dr)はそれぞれ前任が脱退した後に加入。
87年にニュー・オーダーのピーター・フックのプロデュースによりシングル「エレファント・ストーン」をリリース。89年にはジョン・レッキーのプロデュースで遂に歴史的傑作「ストーン・ローゼス」を発表することとなる。「シー・バングス・ザ・ドラムス」のヒットにより、ストーン・ローゼスはイギリスでの注目度を一気に高めていく。
マニとレニによるグルーヴィなリズムとイアン&ジョンの浮遊感溢れるメロディは、世界を熱狂させるマンチェスター・ムーヴメントのきっかけとなる。特にマニがリッケンバッカーで紡ぎ出すトリップ感すら漂うグルーヴは、ローゼス以降のフォロワーたちの指針になったと言えるだろう。

セカンド・カミング〜ストーン・ローゼス解散

マッドチェスター、いやUKロックの金字塔となった「ストーン・ローゼス」から5年を経た94年、世界中が熱望した2ndアルバム「セカンド・カミング」がリリースされる。
ジョンの影響が色濃く反映されたこのアルバムはツェッペリン的なクラシック・ロックの流れを取り入れたことによりマッドチェスターの影を追い求めるリスナーの間では賛否の分かれる問題作となった。しかしながら完成度の高さは「さすがローゼス」と言わざるを得ないクオリティであり、マニのベースも1曲目の「ブレイキング・イントゥ・ヘヴン」からメロディアスで動きの多いラインによって7分という長尺の曲を全く飽きを感じさせないダンス・チューンに仕上げている。これほどまでの作品を作り上げておきながらも95年にレニ、96年にジョンが相次いで脱退。後任にロビー・マディックス(Dr)、アジズ・イブラヒム(Gu)という後のイアン・ブラウンのソロ・バンドの中核を担うメンバーを迎えつつも幾度かのライヴを経てストーン・ローゼスは解散を発表。文字通りマッドチェスター・ムーヴメントは終焉を迎えた。

プライマル・スクリームに加入〜バニシング・ポイント

ローゼス解散の96年、マニはかねてから親交のあったプライマル・スクリームに加入。アルバム「バニシング・ポイント」収録の「コワルスキー」「モーターヘッド」の2曲でプレイしたマニはプライマル・スクリームに新たなグルーヴとエネルギーを持ち込んだのである。00年にはマニがプライマルで全面的に製作に参加した初のアルバムとなる「XTRMNTR」がリリースされる。
マンチェスターから世界を踊らせ続けたマニのプレイは、エレクトロニカの影響を色濃く受けた「XTRMNTR」の楽曲と絶妙のマッチングをみせ、名実共に「プライマル・スクリームのマニ」としてファンに受け入れられた。

XTRMNTR〜イーヴル・ヒート

元々作品ごとに様々な音楽性をみせてきたプライマル・スクリームであるが、00年にリリースされた「XTRMNTR」ではエレクトロニカ色を強めた作風にシフト。グルーヴ感たっぷりのフロア仕様の楽曲群はマニのプレイと抜群の相性を見せ、「Kill All Hippies」「Exterminator」といった名演を引き出している。「Shoot Speed/Kill Light」での凶暴なまでにドライヴ感に溢れたフレージングも必聴。
02年にリリースされた「イーヴル・ヒート」ではエレクトロニカの要素を踏襲しながらもバンド・サウンドの比重も強まり、よりサウンドの幅を広げた作品となった。「ミス・ルシファー」はプライマル・スクリームのエレクトロ期屈指の名曲である。

ライオット・シティ・ブルース〜ストーン・ローゼス再結成

06年にリリースされた「ライオット・シティ・ブルース」から一気にシンプルなロック路線に回帰。ボビー・ギレスビー(Vo)本来のパンクなキャラクターと歌詞が存分に活かされたアルバムとなり、「カントリー・ガール」というヒット曲も生まれた。その勢いは08年の「ビューティフル・フューチャー」にも受け継がれ、マニのハード・ドライヴィンなベースはアルバム&ライヴでリスナーたちを熱狂させていたが、長年に渡って確執のあったイアン・ブラウンとジョン・スクワイアがマニの母親の葬儀をきっかけに和解。ストーン・ローゼスは世界が熱望した再結成に向けて動き出すことになる。
ストーン・ローゼスの再結成が現実的なものとなり、マニはプライマル・スクリームを友好的なかたちで脱退。12年の再結成ライヴを皮切りに同年のフジロックに来日。そして14年現在、新作の発表が待たれている。


Primal Scream – Country Girl (Alt. Version)

マニの使用機材

マニと言えばRickenbacker。ポール・マッカートニー、クリフ・バートンと並ぶRickenbackerの使い手であり、クセのあるこのベースでバシバシとうねりの効いたラインをキメまくる姿はまさにグルーヴ・マスター。Rickenbackerの特徴的なブリブリとした低音は、裏メロをとるラインでは曲の中で強烈な存在感を示し、シンプルなルート中心のプレイでは凶暴なまでのドライヴ感を生み出している。まさにマニのプレイとダンサブルなバンド・サウンドにマッチしたチョイスと言えるだろう。Rickenbackerの使用モデルは4005、3000、3001。
リッケンバッカー・ベース

その他にもフェンダー・プレシジョンベースフェンダー・ジャズベースも使用。アンプはローゼス初期はAmpeg、後期からプライマル時代にはMesa Boogieを愛用している。

名盤:セカンド・カミング

ローゼスといえばデビュー作の「ストーン・ローゼス」を挙げるファンも多いと思うが、マニの脂の乗ったベース・プレイを存分に堪能出来るという点では、是非この「セカンド・カミング」を
推したい。アルバム冒頭を飾る「ブレイキング・イントゥ・ヘヴン」での曲を牽引して踊りまくるベース・ライン。人力エレクトロ・チューン「ビギング・ユー」での圧倒的なグルーヴ、そして
「グッド・タイムス」での裏メロを奏でながら生み出すリズミックなラインなど、ベーシスト的には美味しいフレーズが満載。マンチェスター・ムーヴメント後期の傑作としても押さえておきたい
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